あまりの見事な腕前を目の当たりにし、言葉を失って立ち尽くす。
そんな圧倒された驚きと感心を表すのが、「舌を巻く」(したをまく)です。
意味
「舌を巻く」とは、相手の言動があまりに優れていて、驚き感心するという意味です。
単なる驚きではなく、圧倒されて言葉も出ないほどの強い感嘆を表します。
批判的な意味は含まず、相手への敬意がにじむ言葉です。
語源・由来
「舌を巻く」は、古代中国の学者にまつわる伝記に由来する言葉です。
前漢時代の学者・揚雄の伝記には、驚きのあまり舌を丸めて口の中にしまい込む「舌巻」という表現が見られます。
舌を丸めてしまうと言葉を発することができなくなることから、あまりの驚きで声も出ない状態を表す言葉として使われるようになりました。
この言葉は日本にも伝わり、平安時代ごろから驚きや感嘆を表す慣用句として定着しました。
使い方・例文
「舌を巻く」は、相手の優れた技量や言動に強く感心する場面で使われます。
- 新人の見事な手際に、ベテランたちも舌を巻いた。
- 審査員が舌を巻くほどの完成度だった。
- 彼の博識ぶりには、誰もが舌を巻く。
使うときの注意点
発音を強調するために舌を丸める「巻き舌」とは、まったく異なる言葉です。
「舌を巻く」は驚きや感心を表す慣用句であり、発声の技術を指すものではないため、混同しないよう注意しましょう。
類義語・関連語
「舌を巻く」と同じように、優れたものに強く感心する様子を表す言葉には、以下のようなものがあります。
- 脱帽する(だつぼうする):
相手の優れた実力を認め、素直に敬意を表すこと。 - 感嘆する(かんたんする):
深く心を動かされ、感心してため息をつくこと。
英語表現
be speechless with admiration
「感心のあまり言葉を失う」という意味で、あまりの見事さに驚嘆し声も出ない状態を表す表現。
The judges were speechless with admiration at her performance.
(審査員は彼女の演技に舌を巻いた。)
「舌」で語る驚きの度合い
日本語には、「舌」を使って言葉を発する能力の様子を表す慣用句が数多くあります。
よどみなく話す様子を表す「舌がよく回る」、言葉を失う様子を表す「舌が動かない」なども、話す機能としての舌に着目した表現です。
「舌を巻く」は、その中でも「本来なめらかに動くはずの舌が、驚きのあまり丸まって動かなくなる」という逆説的なイメージによって、感嘆の大きさを強く印象づける表現になっています。









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