意味
「後ろ指を指される(うしろゆびをさされる)」とは、本人のいない場で陰口をたたかれたり、非難されたりすることという意味です。
面と向かっての批判ではなく、当人の知らないところで交わされる悪評を表します。
身に覚えのある恥ずかしさや、世間体を気にする心理とともに使われる言葉です。
語源・由来
「後ろ指を指される」は、南北朝時代の軍記物語『義経記』にすでに見られる、歴史の古い表現です。
同書には、父に劣る者は仲間から笑われ、後ろ指を指されれば一家の恥になる、という趣旨の記述があります。
本人の見ていないところで指を差されそしられることは、自分だけでなく家族の名誉までも傷つける、という当時の価値観がうかがえます。
この、当人の背後で交わされる非難という構図が、そのまま現代まで使われる言葉として受け継がれました。
使い方・例文
「後ろ指を指される」は、世間からの陰口や非難を気にかける場面で使われます。
- 約束を破るような真似をして、後ろ指を指されたくない。
- 誰にも後ろ指を指されないよう、誠実に仕事をする。
- ずるをして得た成功は、いつか後ろ指を指されることになる。
類義語・関連語
「後ろ指を指される」と同じように、陰での非難や評判を気にする場面で使われる言葉には、以下のようなものがあります。
- 陰口を叩かれる(かげぐちをたたかれる):
本人のいないところで悪口を言われること。 - 白い目で見られる(しろいめでみられる):
冷ややかな、あるいは非難めいた視線を向けられること。
「後ろ指を指される」と「白い目で見られる」の違い
どちらも周囲からの否定的な扱いを表しますが、非難の伝わり方が異なります。
「後ろ指を指される」は本人のいない場所での言葉による非難を、「白い目で見られる」は本人の面前での視線による非難を表します。
| 語句 | 非難の伝わり方 |
|---|---|
| 後ろ指を指される | 本人のいない場所での言葉 |
| 白い目で見られる | 本人の面前での視線 |
英語表現
talk behind someone’s back
「誰かの背後で話す」という直訳のとおり、本人のいないところで悪口を言うことを表す定番の表現。
Some colleagues talk behind her back about her promotion.
(昇進をめぐって、彼女は後ろ指を指されている。)
『義経記』にすでにあった、指弾のことば
「後ろ指を指される」は、室町時代に成立した軍記物語『義経記』にすでに見られる表現です。
同書には「父に劣れる者とて傍輩たちに笑はれんぞ。
うしろゆびをさされば、家の傷なるべし」という一節があり、劣った者として周囲に笑われ、後ろ指を指されれば家の恥になる、という戒めが語られています。
本人のいないところで指さして非難する行為は、当人の気づかぬ間に評判を傷つける陰湿さを持っています。
『義経記』のこの一節は、そうした陰口の恐ろしさを武家社会の名誉の文脈で語ったものであり、この言葉が単なる比喩ではなく、長く受け継がれてきた戒めであることを示しています。












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