他者の言動を非難する「批判」や、根拠のない噂話である「ゴシップ」。
これらは人間関係の中で絶えず発生し、時には人を深く傷つけたり、物事の本質を見えなくさせたりします。
今回は、「批判」や「ゴシップ」というテーマに関連する、主なことわざ、慣用句、四字熟語、故事成語などを紹介します。
「批判・ゴシップ」に関連する言葉 一覧
ことわざ
- 人の噂も七十五日(ひとのうわさもしちじゅうごにち):
世間のゴシップや噂は、75日も経てば自然と忘れ去られてしまうものだということ。 - 悪事千里を走る(あくじせんりをはしる):
悪い行いや評判(ゴシップ)は、あっという間に遠くまで伝わってしまうということ。 - 火のない所に煙は立たぬ(ひのないところにけむりはたたぬ):
噂が立つのだから、何らかの根拠や事実があるはずだということ。(ゴシップの根拠) - 出る杭は打たれる(でるくいはうたれる):
目立つ才能や行動をする者は、他人から憎まれ、批判や妨害を受けやすいというたとえ。 - 人の振り見て我が振り直せ(ひとのふりみてわがふりなおせ):
他人の良くない言動(批判など)を見たら、自分も同じことをしていないか反省し、改めよという教え。 - 口は災いの元(くちはわざわいのもと):
うっかり批判や噂話をすることが、自分に災難を招く原因になるという戒め。 - 壁に耳あり障子に目あり(かべにみみありしょうじにめあり):
どこで誰が聞いているか、見ているかわからない。陰口や批判は漏れやすいという戒め。 - 物言えば唇寒し秋の風(ものいえばくちびるさむしあきのかぜ):
(批判や余計なことを言うと)後味が悪かったり、災いを招いたりする。不用意な発言を戒める言葉。
慣用句
- 揚げ足を取る(あげあしをとる):
相手の言い間違いや、ささいな失敗を捉えて非難したり、からかったりすること。 - 後ろ指を指される(うしろゆびをさされる):
本人のいないところで、悪口や批判、ゴシップの対象とされること。 - 陰口を叩く(かげぐちをたたく):
本人がいないところで、その人の悪口や批判をすること。 - 口が軽い(くちがかるい):
秘密やゴシップを、うっかりすぐに他人に話してしまうこと。 - 口さがない(くちさがない):
(「さがない」は意地が悪い)他人の噂話や批判を、遠慮なく言いたい放題に言うさま。 - 重箱の隅をつつく(じゅうばこのすみをつつく):
(重箱の隅を楊枝でつつくように)どうでもよい、ささいな部分ばかりを取り上げて批判すること。 - 叩けば埃が出る(たたけばほこりがでる):
(どんな人や物事も)欠点を探そうと批判的に調べれば、何かしらの問題は見つかるものだということ。 - 風当たりが強い(かぜあたりがつよい):
(その人に対する)批判や非難が、周囲から集中しているさま。 - 物議を醸す(ぶつぎをかもす):
(「物議」は世間の批判や議論)世間の批判や議論を引き起こすこと。 - 槍玉に挙げる(やりだまにあげる):
(「槍玉」は槍で突く的)多くの人の中から、特定の人を選んで非難や攻撃の対象にすること。 - レッテルを貼る(れってるをはる):
(「レッテル」は商標)その人の本質を見ず、一方的に批判的な分類や評価を押し付けること。
四字熟語
- 悪口雑言(あっこうぞうごん):
(「罵詈雑言(ばりぞうごん)」と類義)様々な悪口を並べ立てて批判すること。 - 針小棒大(しんしょうぼうだい):
小さな針ほどのことを、大きな棒のように大げさに言うこと。ゴシップが誇張されるさま。 - 付和雷同(ふわらいどう):
自分自身の考えを持たず、他人の批判やゴシップに安易に同調すること。 - 馬耳東風(ばじとうふう):
(馬の耳に念仏)他人の批判や意見を、全く気にかけず聞き流すこと。 - 毀誉褒貶(きよほうへん):
(「毀」「貶」が批判、「誉」「褒」が称賛)そしること(批判)と、ほめること。世間の様々な評判。 - 流言飛語(りゅうげんひご):
(「流言」も「飛語」も、根拠のない噂)世間に飛び交う、デマやゴシップのこと。
故事成語
- 三人市虎を成す(さんにんしこをなす):
三人続けて「市場に虎が出た」と嘘を言えば、聞かされた者はそれを信じてしまうこと。ゴシップが真実のように扱われることのたとえ。
(中国の『韓非子』などより) - 衆口金を鑠かす(しゅうこうきんをとかす):
多くの人々の批判や噂話(衆口)は、硬い金属(金)をも溶かしてしまうほど恐ろしい力を持つということ。
(中国の『国語』より) - 白眼視(はくがんし):
竹林の七賢の一人、阮籍(げんせき)が、嫌いな客(批判的な相手)には白目(白眼)を向けて迎えたという故事から。(慣用句としても使われる)
(中国の『晋書』より)
まとめ – 言葉の刃
「批判・ゴシップ」に関連する言葉を紹介しました。
「人の噂も七十五日」のように噂の儚さを説くものもあれば、「衆口金を鑠かす」のようにゴシップの恐ろしさを警告するものもありました。
また、「揚げ足を取る」や「レッテルを貼る」といった批判の手法、そして「出る杭は打たれる」といった批判が生まれる構図も、的確に表現されています。
これらの言葉は、言葉が時に刃となり得ることを示し、私たちが発する言葉に責任を持つよう戒めているのかもしれませんね。









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