ふとした瞬間に感じる自分の未熟さや、年配の方の含蓄ある言葉にハッとさせられる経験。
人生の節目や、老いと若さにまつわる感情は、古くから多くの言葉で表現されてきました。
「年齢」をテーマに、人生の指針となるようなことわざ、慣用句、四字熟語をシチュエーション別に整理して紹介します。
若さ・未熟さ・将来性
若者ゆえの失敗や、将来への可能性を表す言葉です。
少年老い易く学成り難し(しょうねんおいやすくがくなりがたし)
若く元気な時期はすぐに過ぎ去り、学問を修めるのは難しいということ。
だからこそ、一瞬の時も無駄にせず勉学に励むべきだという戒めの言葉です。
南宋の朱熹の詩の一節とされてきましたが、朱熹の詩文集には見られません。
室町時代の禅僧惟肖得巌の作として伝わっています。
若気の至り(わかげのいたり)
若さゆえの分別に欠けた行動のこと。
血気盛んで感情に任せて失敗してしまった際に、反省や弁解の言葉として使われます。
後生畏るべし(こうせいおそるべし)
若い人は無限の可能性を秘めており、将来どれほど立派になるか測り知れないということ。
自分より年下であっても、決して侮ってはならないという教えです。
『論語』由来。
春秋に富む(しゅんじゅうにとむ)
年齢が若く、将来が長いこと。
「春秋」は春と秋、つまり年月や年齢を指します。
これから多くの年月を重ねる可能性を秘めている様子を表します。
黄口(こうこう)
若くて経験が浅いこと。
ヒナ鳥のくちばしが黄色いことから、未熟な若者をあざけって言う言葉です。
弱冠(じゃっかん)
男子20歳のこと。
古代中国で、20歳になると元服して冠(かんむり)をかぶる儀式を行ったことに由来します。
現代では、20歳に限らず「若くして」という意味で使われることもあります(例:弱冠15歳で優勝)。
老いの知恵・経験
年を重ねることで得られる深みや、敬意を表す言葉です。
亀の甲より年の劫(かめのこうよりとしのこう)
年長者の経験や知恵は、何よりも尊く価値があるということ。
「劫」はきわめて長い時間のことで、「甲」と「劫」の音が通じることからできた言い回しです。
「年の功」とも書きます。
老馬の智(ろうばのち)
経験豊かな人の知恵は、大いに役立つということ。
中国の故事で、道に迷った際に老馬を放してその後をついていき、無事に道を見つけたという逸話に由来します。
老いては子に従え(おいてはこにしたがえ)
年をとったら我を張らず、子供の意見に従うほうがうまくいくということ。
もとは「若い時は親に従い、盛りにしては夫に従い、老いては子に従う」という、女性の生き方を説いた三従(さんじゅう)の教えの一部で、『礼記』や仏典に出てきます。
江戸時代の初めには、最後の部分が独立して使われるようになりました。
分別盛り(ふんべつざかり)
世の中の道理や善悪の判断が、十分につく年齢のこと。
ふつうは中年の年ごろを指します。
老いへの戒め・衰え
加齢による変化や、年齢にふさわしくない振る舞いを戒める言葉です。
寄る年波には勝てぬ(よるとしなみにはかてぬ)
年をとるにつれて心身が衰えることには、どうあがいても逆らえないということ。
「年波」は、年齢が重なるのを波が寄せるのにたとえた言葉です。
体力や気力の衰えを実感した際によく使われます。
年寄りの冷や水(としよりのひやみず)
老人が年齢にふさわしくない危ないことや、差し出がましい振る舞いをすること。
冷たい水は年寄りの体に障ることからのたとえで、警告したり冷やかしたりするときに使われます。
年甲斐もなく(としがいもなく)
年齢相応の分別がなく、恥ずかしいこと。
「いい年をして」と似た意味で、自分の年齢にそぐわない派手な行動や、軽率な振る舞いを自戒、あるいは批判する際に使います。
麒麟も老いては駑馬に劣る(きりんもおいてはどばにおとる)
どんなに優れた人でも、年をとって衰えると凡人にも及ばなくなること。
「麒麟(きりん)」は優れた名馬、「駑馬(どば)」は足の遅い馬のことです。
人生・学び・その他
年齢そのものや、寿命、生き方に関する言葉です。
老若男女(ろうにゃくなんにょ)
老人と若者、男性と女性。
あらゆる年齢、性別の人々すべてを指します。
六十の手習い(ろくじゅうのてならい)
年をとってから物事を習い始めること。
「七十の手習い」や「八十の手習い」でも応用可能。
何かを始めるのに遅すぎることはない、という肯定的な意味で使われることが多いです。
馬齢を重ねる(ばれいをかさねる)
何も成し遂げないまま、いたずらに年をとってしまったということ。
「馬齢」は馬の年齢のこと。
自分の人生を謙遜して言う言葉であり、他人に対して使うのは失礼にあたるため注意が必要です。
鯖を読む(さばをよむ)
年齢や数を、都合よくごまかすこと。
一説に、魚市場で鯖を数えるとき、わざと急いで数をごまかしたことからといわれます。
不老長寿(ふろうちょうじゅ)
いつまでも若く、長く生きること。
秦の始皇帝が求めたように、古くから多くの人の願いとして語られます。
似た言葉に「不老不死(ふろうふし)」があります。
天寿を全うする(てんじゅをまっとうする)
天から授かった寿命を、最後まで生ききること。
病気や事故による早死にではなく、自然な老衰などで生涯を終えることを指します。
老少不定(ろうしょうふじょう)
人の死は予期できず、若者が老人より先に死ぬこともあるということ。
「老少定まらず」とも読み、人生の儚さを説く仏教的な言葉です。
年齢の節目・長寿の祝い
孔子の『論語』や、日本の伝統に由来する年齢の呼び名です。
論語に由来する年齢
- 而立(じりつ):30歳。
学問の基礎ができて自立する年。 - 不惑(ふわく):40歳。
迷いがなくなる年。 - 知命(ちめい):50歳。
天命を知る年。 - 耳順(じじゅん):60歳。
人の言葉を素直に聞ける年。
長寿の祝い
- 還暦(かんれき):61歳(満60歳)。
干支が一巡して元の暦に還ることから。 - 古希(こき):70歳。
唐の詩人・杜甫の「人生七十古来稀なり」から。 - 喜寿(きじゅ):77歳。
「喜」の草書体が七十七に見えることから。 - 傘寿(さんじゅ):80歳。
「傘」の略字が八十に見えることから。 - 米寿(べいじゅ):88歳。
「米」を分解すると八十八になることから。 - 卒寿(そつじゅ):90歳。
「卒」の略字「卆」が九十に見えることから。 - 白寿(はくじゅ):99歳。
「百」から「一」を取ると「白」になることから。 - 百寿(ひゃくじゅ):100歳。
「ももじゅ」や「紀寿(きじゅ)」とも。










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