人の一生を測る尺度である「年齢」。
若さの未熟さ、老いの円熟、そして人生の節目節目には、先人たちの多くの教訓や感慨が込められています。
今回は、「年齢」というテーマに関連する、主なことわざ、慣用句、四字熟語、故事成語などを紹介します。
「年齢」に関連する言葉 一覧
ことわざ
- 亀の甲より年の劫(かめのこうよりとしのこう):
(亀の甲羅を使った占いよりも)長生きした人の経験や知恵のほうが、確かで価値があるということ。 - 老いては子に従え(おいてはこにしたがえ):
年老いたら、家のことは子供に任せ、その考えに従うほうが良いということ。 - 麒麟も老いては駑馬に劣る(きりんもおいてはどばにおとる):
(「麒麟」は一日千里を走る名馬)優れた才能を持つ人でも、年老いて衰えれば、平凡な人にも及ばなくなることのたとえ。 - 少年老い易く学成り難し(しょうねんおいやすくがくなりがたし):
若い時代はあっという間に過ぎ去ってしまうが、学問はなかなか完成しない。だからこそ時間を無駄にせず励むべきだという戒め。 - 年寄りの冷や水(としよりのひやみず):
年老いた人が、年齢不相応な危険なことや、無理をすることのたとえ。 - 八十の手習い(はちじゅうのてならい):
(「六十の手習い」とも)八十歳になって書道を習うこと。年老いてから物事を習い始めること。
慣用句
- 若気の至り(わかげのいたり):
若さに任せた無分別な行動や、それによる失敗のこと。 - 年甲斐もなく(としがいもなく):
(「いい年をして」とも)年齢にふさわしくない、軽率な言動をすることへの戒め。 - 分別盛り(ふんべつざかり):
(主に40代頃)物事の道理や善悪を十分にわきまえている年齢。 - 馬齢を重ねる(ばれいをかさねる):
(「馬齢」は馬の年齢)何も成し遂げないまま、いたずらに歳をとること。自分を謙遜して言う言葉。 - 老い先短い(おいさきみじかい):
老齢になり、死ぬまでの残りの人生が短いこと。 - 老け込む(ふけこむ):
年齢以上に、気力や外見が衰えて年寄りのようになること。 - サバを読む(さばをよむ):
(サバの数を早口でごまかしたことから)自分の年齢を実際より若く(または多く)偽って言うこと。 - 天寿を全うする(てんじゅをまっとうする):
(「天寿」は天から授かった寿命)天から与えられた寿命を、健康に最後まで生ききること。
四字熟語
- 老若男女(ろうにゃくなんにょ):
老人、若者、男、女。年齢や性別に関わらず、すべての人々。 - 年功序列(ねんこうじょれつ):
年齢や勤続年数(年功)が上がるにつれて、地位や序列が上がっていくこと。 - 不老長寿(ふろうちょうじゅ):
(「不老不死(ふろうふし)」とも)歳をとらず、いつまでも若々しく長生きすること。 - 老少不定(ろうしょうふじょう):
人の死は、老いているか若いかという年齢には関係なく、定まっていないということ。 - 人生百年(じんせいひゃくねん):
人の一生はおよそ百年であるということ。
故事成語
- 老馬の智(ろうばのち):
(中国の故事で、古い馬の知恵が道案内として役立ったことから)経験を積んだ者の知恵や知識は、尊重すべきであるということ。 - 後生畏るべし(こうせいおそるべし):
(『論語』より)自分より後から生まれてくる者(若い人)は、将来どれほどの力をつけるかわからないため、畏(おそ)れるべきであるということ。 - 黄口(こうこう):
(「黄口の小児」など)くちばしが黄色い(幼い)鳥のこと。転じて、若く経験の浅い者。 - 春秋に富む(しゅんじゅうにとむ):
(「春秋」は年月)年齢が若く、将来が長く残されていること。
年齢の節目・長寿の祝い
(※孔子の『論語』や、日本の長寿の祝いに由来する言葉です)
- 弱冠(じゃっかん):
男子20歳のこと。(古代中国の儀式から) - 而立(じりつ):
30歳のこと。学問や精神が確立し、自立する年齢。(『論語』より) - 不惑(ふわく):
40歳のこと。物事に迷わなくなる年齢。(『論語』より) - 知命(ちめい):
50歳のこと。天の意志(天命)を理解する年齢。(『論語』より) - 耳順(じじゅん):
60歳のこと。他人の意見を素直に聞けるようになる年齢。(『論語』より) - 還暦(かんれき):
61歳(満60歳)のこと。干支が一巡し、生まれ年に還(かえ)ること。 - 古希(こき):
70歳のこと。(唐の詩人、杜甫の「人生七十古来稀なり」という詩に由来) - 喜寿(きじゅ):
77歳のこと。(「喜」の草書体が「七十七」と読めることから) - 傘寿(さんじゅ):
80歳のこと。(「傘」の略字が「八十」と読めることから) - 米寿(べいじゅ):
88歳のこと。(「米」の字を分解すると「八十八」になることから) - 卒寿(そつじゅ):
90歳のこと。(「卒」の略字「卆」が「九十」と読めることから) - 白寿(はくじゅ):
99歳のこと。(「百」の字から「一」を取ると「白」になることから) - 百寿(ひゃくじゅ・ももじゅ):
100歳のこと。(「紀寿(きじゅ)」とも言う)
まとめ – 年齢が示すもの
「年齢」に関連する言葉を紹介しました。
「少年老い易く」のように若さの儚(はかな)さを説くもの、「亀の甲より年の劫」のように老いの経験を尊ぶもの、そして「後生畏るべし」のように若者の可能性を評価するものまで、実に多様でした。
これらの言葉は、単に歳を重ねることだけではなく、その年齢までに何を成し、どのように生きるかという、人生の深さを問いかけているようですね。









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