「丁寧な人」と聞くと、どのような姿を思い浮かべるでしょうか。礼儀正しく、物腰が柔らかい人でしょうか。それとも、仕事が細やかで、何事も慎重に進める人でしょうか。
「丁寧」という言葉には、人に対する「礼儀正しさ・謙虚さ」と、物事に対する「注意深さ・緻密さ」という、二つの大切な側面が含まれています。
ここでは、そうした「丁寧な人」の様々な側面(礼儀、謙虚さ、慎重さ、緻密さ)に関連する、ことわざや慣用句、四字熟語などを一覧で紹介します。
「丁寧な人」に関連する言葉
「丁寧な人」というテーマに関連する、主なことわざや慣用句、四字熟語、故事成語などを紹介します。
ことわざ
- 親しき仲にも礼儀あり(したしきなかにもれいぎあり):
どんなに親しい間柄でも、守るべき礼儀があるという戒め。 - 実るほど頭を垂れる稲穂かな(みのるほどこうべをたれるいなほかな):
稲が実ると穂が垂れ下がるように、徳が備わった人ほど謙虚であるというたとえ。 - 念には念を入れる(ねんにはねんをいれる):
注意した上でも、さらに注意深く物事を行うこと。慎重で丁寧な様子。 - 石橋を叩いて渡る(いしばしをたたいてわたる):
丈夫そうな石の橋でも、叩いて安全を確かめてから渡る。用心深く、慎重に行動することのたとえ。 - 急がば回れ(いそがばまわれ):
急いでいる時こそ、危険な近道より、遠回りでも安全確実な方法をとるべきだという戒め。丁寧さや慎重さの重要性を示す。 - 礼も過ぎれば無礼になる(れいもすぎればぶれいになる):
礼儀も度を越すと、かえって相手に対して失礼になるということ。
慣用句
- 腰が低い(こしがひくい):
他人に対して威張らず、謙虚で丁寧な態度のこと。 - 気が利く(きがきく):
細かいところにまで注意が及び、相手が望むことを察して行動できること。 - 痒い所に手が届く(かゆいところにてがとどく):
配慮が細部まで行き届いていて、こちらの望み通りにサービスなどがなされることのたとえ。 - 目配りが行き届く(めくばりがゆきとどく):
多くの物事や人の状況に、漏れなく注意を払えること。 - 丹精を込める(たんせいをこめる):
物事を丁寧に、心を込めて行うこと。「丹精」は誠実な心。 - 頭が下がる(あたまがさがる):
相手の行いや態度に感心し、敬服する気持ちを表す。丁寧な仕事ぶりや謙虚な姿勢に対して使われることも多い。
四字熟語
- 懇切丁寧(こんせつていねい):
非常に親切で、礼儀正しく、細かい点まで行き届いているさま。 - 温恭謙譲(おんきょうけんじょう):
穏やかで、うやうやしく、謙虚で、控えめな態度。礼儀正しい人の人柄を表します。 - 温厚篤実(おんこうとくじつ):
穏やかで人情が厚く、誠実であること。丁寧な人柄に通じる。 - 恭謙温和(きょうけんおんわ):
うやうやしく謙虚で、穏やかな人柄のこと。 - 謹厳実直(きんげんじっちょく):
慎み深くまじめで、真心があり正直なこと。誠実で丁寧な人柄。 - 周到綿密(しゅうとうめんみつ):
隅々まで注意が行き届き、細かく詳しい計画や準備をすること。 - 用意周到(よういしゅうとう):
準備が万全に整えられていること。丁寧な仕事ぶり。 - 細心翼翼(さいしんよくよく):
非常に用心深く、慎重に物事を行うさま。
故事成語
- 克己復礼(こっきふくれい):
自分の私欲やわがままを抑え、礼儀にかなった言動をすること。『論語』に由来する言葉。 - 三顧の礼(さんこのれい):
目上の人が、礼を尽くして格下の人のもとへ何度も訪れ、協力を請うこと。丁寧な対応の極致ともいえる。
まとめ – 「丁寧な人」に関連する言葉を学ぶ
「丁寧な人」に関連する言葉には、人に対する礼儀正しさや謙虚さを表すもの(親しき仲にも礼儀あり、腰が低い、温恭謙譲)と、物事に対する慎重さや緻密さを表すもの(念には念を入れる、周到綿密、丹精を込める)があることが分かります。
これらの言葉は、日本の文化が古くから、他者への配慮や調和、そして物事を正確に成し遂げる実直さを大切にしてきたことを示しています。









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