ことわざ 慣用句

実るほど頭を垂れる稲穂かな

(みのるほどこうべをたれるいなほかな)

学識や徳が深まるほど、人に対して謙虚に振る舞うべきであるという教訓。

異形:実るほど頭の下がる稲穂かな

17文字の言葉 / 「み」から始まる言葉
実るほど頭を垂れる稲穂かな ことば
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意味

「実るほど頭を垂れる稲穂かな(みのるほどこうべをたれるいなほかな)」とは、人格が高まり学問や徳が深まった人ほど、他人に対して謙虚になるべきだという教訓です。

稲の穂は、中身が詰まって成熟するほど、その重みで自然と先が低く垂れ下がります。
この様子を人にたとえ、立派な人ほど慢心せず、相手にへりくだるものだという理想を説いています。

語源・由来

「実るほど頭を垂れる稲穂かな」は、五七五の形をした言葉ですが、作者も、いつ生まれたかも分かっていません。

稲が実るにつれて穂を垂れる様子を、人の生き方に重ねた言葉です。
同じ見立ての言い方に「実る稲田は頭垂る」「実の入る稲は穂を垂る」もあります。

使い方・例文

「実るほど頭を垂れる稲穂かな」は、優れた人物の謙虚さをほめるときや、得意になっている人をいさめるとき、自分への戒めとして使います。

例文

  • 部長は実績があるのに新人の話も丁寧に聞く。実るほど頭を垂れる稲穂かなを地で行く人だ。
  • 賞を取った今こそ、実るほど頭を垂れる稲穂かなと自分に言い聞かせている。
  • 「できるからと威張るな。実るほど頭を垂れる稲穂かなというだろう」と先生が言った。

類義語・関連語

「実るほど頭を垂れる稲穂かな」と似た意味を持つ言葉には、以下のようなものがあります。

  • 能ある鷹は爪を隠す(のうあるたかはつめをかくす):
    本当に実力がある者は、それをむやみに見せびらかさないという意味。
  • 大賢は愚なるが如し(たいけんはぐなるがごとし):
    本当に賢い人は知恵をひけらかさないので、かえって愚か者のように見えるという意味。
  • 和光同塵(わこうどうじん):
    すぐれた才能や徳を表に出さず、世の中の人々に交じってつつましく暮らすという意味。
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対義語

「実るほど頭を垂れる稲穂かな」とは対照的な意味を持つ言葉は以下の通りです。

  • 空き樽は音が高い(あきだるはおとがたかい):
    中身のない(教養や思慮が足りない)人ほど、よくしゃべるという意味。
  • 浅瀬に仇波(あさせにあだなみ):
    思慮の浅い者ほど、ささいなことで騒ぎ立てるという意味。

英語表現

「実るほど頭を垂れる稲穂かな」を英語で表現する場合、以下のフレーズが適切です。

The boughs that bear most hang lowest

直訳は「最も多くの実をつける枝が、最も低く垂れ下がる」で、日本の稲穂と同じく、実の重みで垂れる姿を謙虚さにたとえた英語のことわざです。

Remember that the boughs that bear most hang lowest when you get promoted.
(昇進したときこそ、実るほど頭を垂れる稲穂かなという言葉を忘れないように。)

稲はうつむき人は反り返る、江戸の皮肉

正保2年(1645年)に出た俳書『毛吹草けふきぐさ』には、俳人の松江重頼まつえしげよりが集めたことわざが七百あまり載っています。
その中に「菩薩みがいればうつぶく、人間みがいればあをのく」という句があります。
(菩薩、つまり米は実が入るとうつむくが、人間は中身ができると仰向いてそり返る、という意味です。)

人は偉くなるほど頭を下げなくなる、という皮肉です。
「実るほど頭を垂れる稲穂かな」は、この観察を一歩進めたものと見る解説があります。
『毛吹草』の句が人の思い上がりを笑うのに対し、こちらは稲穂の姿だけを詠んで、人のあるべき姿を示しています。

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