日本語には、私たちの生活に身近な花や植物、野菜、果物の名前や特徴を取り入れた表現が数多く存在します。
これらは、自然の姿や恵みを通して、人生の教訓、感情の機微、物事の様子などを巧みに描写しています。
本記事では、日常会話や文章で使える、「花・植物・野菜・果物」に関係する有名な言葉を、その種類ごとに分類してご紹介します。

「花・植物・野菜・果物」に関することわざ
(主に教訓や風刺、昔からの言い伝えを含む短い句)
- 花より団子(はなよりだんご):
風流より実益を選ぶこと。外観より実質重視のたとえ。 - 立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花(たてばしゃくやく すわればぼたん あるくすがたはゆりのはな):
美しい女性の立ち居振る舞いを、それぞれの花の美しさにたとえた言葉。 - 梅に鶯(うめにうぐいす):
取り合わせが良いものや、仲の良い間柄のたとえ。 - 桜切る馬鹿、梅切らぬ馬鹿(さくらきるばか、うめきらぬばか):
木の性質に合わせて手入れの方法を変えるべきという教え。 - 世の中は三日見ぬ間の桜かな(よのなかはみっかみぬまのさくらかな):
世の中の状況は、桜の花のように非常に移り変わりやすいことのたとえ。 - 柳は緑、花は紅(やなぎはみどり、はなはくれない):
自然のありのままの姿が美しいこと。また、物事にはそれぞれの個性があること。 - 六日の菖蒲十日の菊(むいかのあやめとおかのきく):
時期を逃して役に立たなくなったもののたとえ。手遅れ。 - 実るほど頭を垂れる稲穂かな(みのるほどこうべをたれるいなほかな):
学識や徳が深まるほど、かえって謙虚になることのたとえ。 - 枯れ木も山の賑わい(かれきもやまのにぎわい):
つまらないものでも、ないよりはあった方がましであることのたとえ。 - 青葉は目の薬(あおばはめのくすり):
若葉の緑を見ると目の疲れが癒やされ、気分が爽やかになること。 - 枯れ木に花咲く(かれきにはなさく):
一度衰えたものが再び栄えること。ありえないことが実現することのたとえ。 - 木を隠すなら森の中(きをかくすならもりのなか):
何かを隠すには、同じようなものが集まる場所に紛れさせるのが一番良いということ。 - 桃栗三年柿八年(ももくりさんねんかきはちねん):
何事も成果を得るまでには相応の年月が必要であるというたとえ。 - 秋茄子は嫁に食わすな(あきなすはよめにくわすな):
嫁いびりの意味と、体を気遣う思いやりの意味の二つの解釈がある言葉。 - 柿が赤くなれば医者が青くなる(かきがあかくなればいしゃがあおくなる):
柿が実る秋は気候が良く病人が減り、医者の仕事がなくなるという意味。 - 瓜の蔓に茄子はならぬ(うりのつるになすびはならぬ):
平凡な親からは非凡な子は生まれにくい、血筋は争えないことのたとえ。 - 瓢箪から駒(ひょうたんからこま):
思いもよらない所から意外なものが出ること、冗談が本当になることのたとえ。 - 蒔かぬ種は生えぬ(まかぬたねははえぬ):
原因がなければ結果は生じない、努力なしに良い結果は得られないことのたとえ。 - 花に嵐(はなにあらし):
良いことにはとかく邪魔が入りやすく、長続きしないことのたとえ。 - 言わぬが花(いわぬがはな):
口に出して言わない方が、かえって趣があり、差し障りもなくて良いということ。 - 隣の花は赤い(となりのはなはあかい):
他人の持っているものは、何でも自分のものより良く見えることのたとえ。 - 木を見て森を見ず(きをみてもりをみず):
細かい部分に気を取られすぎて、全体を見失ってしまうことのたとえ。
「花・植物・野菜・果物」に関する慣用句
(二語以上の語が結びつき、特定の意味を持つ定型的な言い回し)
- 高嶺の花(たかねのはな):
遠くから見るだけで、手に入れることができないもののたとえ。憧れの対象。 - 両手に花(りょうてにはな):
二つの良いものを同時に手に入れること。また、一人の男性が二人の女性を連れている状況。 - 柳に風(やなぎにかぜ):
相手の勢いに逆らわず、巧みに受け流してあしらうこと。 - 草の根分けても(くさのねわけても):
あらゆる手段を使って、目的を達成しようとすること。主に人を探す際に使う。 - 根も葉もない(ねもはもない):
何の根拠も証拠もない、でたらめであること。 - 木に竹を接ぐ(きにたけをつぐ):
物事のつながりが不自然で、調和がとれていないことのたとえ。 - 竹を割ったよう(たけをわったよう):
性格がさっぱりとしていて、気性がまっすぐであるさま。 - 雨後の筍(うごのたけのこ):
似たような物事が相次いで現れることのたとえ。 - 草葉の陰(くさばのかげ):
墓の下やあの世のこと。故人を偲んで言う場合が多い。 - 火中の栗を拾う(かちゅうのくりをひろう):
自分の利益にならないのに、他人のために危険を冒すことのたとえ。 - 青菜に塩(あおなにしお):
元気がなくなり、しょんぼりと打ちひしがれている様子。 - 大根役者(だいこんやくしゃ):
演技のへたな役者をあざけっていう言葉。 - 花道を飾る(はなみちをかざる):
引退や退場の際に、その人の功績をたたえ、華々しく送り出すこと。 - いずれ菖蒲か杜若(いずれあやめかかきつばた):
どちらも美しく優れていて、優劣がつけがたいことのたとえ。 - 花を持たせる(はなをもたせる):
相手を立てて、勝利や名誉、手柄などを譲ること。 - 梨の礫(なしのつぶて):
便りを出しても返事が全くないこと。音沙汰がないこと。 - 瓜二つ(うりふたつ):
親子や兄弟などの顔かたちが非常によく似ていること。 - 根掘り葉掘り(ねほりはほり):
物事の細かい点までしつこく、徹底的に尋ねたり調べたりする様子。 - 草木も眠る丑三つ時(そうもくもねむるうしみつどき):
あたりが静まり返った真夜中の時刻(午前2時頃)。 - 道草を食う(みちくさをくう):
目的地へ行く途中で、他のことに関わって時間を無駄にすること。寄り道。 - 種を明かす(たねをあかす):
手品や仕掛けなどの秘密、からくりを明らかにすること。
「花・植物・野菜・果物」に関する故事成語
(中国の古典や歴史的な出来事に由来する言葉)
- 青は藍より出でて藍より青し(あおはあいよりいでてあいよりあおし):
弟子が努力して師匠よりも優れた才能を発揮することのたとえ。(『荀子』より) - 栴檀は双葉より芳し:
大成する人物は幼い頃から優れた才能を示すことのたとえ。 - 竹馬の友(ちくばのとも):
幼い頃からの友人。幼なじみのこと。(『世説新語』などに由来) - 一葉落ちて天下の秋を知る(いちようおちててんかのあきをしる):
わずかな前触れから、物事の大きな変化や本質を察知すること。(『淮南子』より) - 李下に冠を正さず(りかにかんむりをたださず):
人から疑われるような行動は避けるべきであるという教え。(古楽府より)
「花・植物・野菜・果物」に関する四字熟語
(漢字四字で構成される熟語)
- 落花流水(らっかりゅうすい):
行く春の景色。物事が衰え行くさま。男女がお互いに慕い合う情のたとえにも。 - 五穀豊穣(ごこくほうじょう):
米・麦・粟・豆・黍などの主要な穀物が豊かに実ること。 - 桜梅桃李(おうばいとうり):
他人と比較せず、自分の個性を大切にし、発揮することのたとえ。 - 柳緑花紅(りゅうりょくかこう):
ありのままの自然の美しい姿のこと。また、個性がはっきりしていること。
まとめ
花や植物、野菜、果物にまつわることわざや慣用句、四字熟語は、日本語の表現をより豊かにしてくれます。
自然の恵みや移ろいを通して、人生の知恵や機微を学ぶことができます。
これらの言葉を知ることで、会話や文章に深みが生まれるだけでなく、植物を通じて先人の知恵や文化にも触れることができます。
ぜひ、お気に入りの表現を見つけて、日常で活用してみてください。
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