街ですれ違った瞬間に思わず振り返ってしまうような、息をのむほど美しい人。
容姿の華やかさはもちろん、立ち居振る舞いの優雅さからその美貌が招く数奇な運命まで、古来より人々は美しさを様々な表現で捉えてきました。
「美人」にまつわる多様なことわざ・慣用句・四字熟語をまとめました。
際立つ美しさ・容姿
- 立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花
(たてばしゃくやく、すわればぼたん、あるくすがたはゆりのはな):
美しい花々にたとえ、立っている姿、座っている姿、歩く姿のどの瞬間を切り取っても絵になる女性を称える表現。 - 容姿端麗(ようしたんれい):
顔立ちや体つきが整っていて美しい様子。 - 明眸皓歯(めいぼうこうし):
唐の詩人・杜甫が絶世の美女と謳われた楊貴妃の美しさを詠んだことに由来する、美しく澄んだ瞳と白く整った歯を持つ人の形容。 - 花顔柳腰(かがんりゅうよう):
花のように美しい顔と、風に揺れる柳のようにたおやかで細い腰を持つ優美なスタイル。
世界を動かすほどの美・才能
- 才色兼備(さいしょくけんび):
天は二物を与えずという言葉に反し、優れた才能と美しい外見の両方を持ち合わせた女性。 - 傾国傾城(けいこくけいせい):
前漢の音楽家・李延年の詩に由来し、君主がその美貌に夢中になって国や城を滅ぼしてしまうほどの魔力を秘めた絶世の美女。 - 沈魚落雁(ちんぎょらくがん):
魚が泳ぐのを忘れ、雁が飛ぶのを忘れて落ちてしまうほどの並外れた容姿。 - 羞花閉月(しゅうかへいげつ):
花も恥じらって閉じ、月も雲に隠れてしまうほどの比類なき美貌。
美人の運命・しぐさ・慣用句
- 美人薄命(びじんはくめい):
蘇軾の詩句「佳人薄命」などに通じ、美しい人は病弱であったり数奇な運命に翻弄されたりして若くして亡くなることが多いという無常観を含んだ説。 - 花も恥じらう(はなもはじらう):
美しい花でさえ恥ずかしくなって隠れてしまうほど、きれいで慎み深い様子。 - 秋波を送る(しゅうはをおくる):
澄んだ目元を意味する言葉から転じた、相手の関心を引こうとして媚びを含んだ流し目を使う行為。 - 紅一点(こういってん):
王安石の詩に由来し、多くの男性の中に一人だけ女性がおり、その場の華やかな存在として注目される状況。
類義語・関連語
- 佳人(かじん):
美人を意味する、文学的で古風な響きを持つ言葉。 - 麗人(れいじん):
男装の麗人などのように、容姿がうるわしく凛とした美しさを持つ女性。 - 別嬪(べっぴん):
元々は特別な品物を意味したところから転じた、非常に美しい人。 - 小町(こまち):
平安時代の歌人・小野小町に由来する、その土地や集団の中で評判の美しい娘。 - 八方美人(はっぽうびじん):
誰に対しても愛想よく振る舞い、現代では誰にでもいい顔をするという否定的な意味合い。
対義語
- 不美人(ふびじん):
容姿が美しくない女性を指す、直接的な表現を避けた言い回し。 - 醜女(しこめ):
日本の古典文学などにも見られる、容姿が醜い女性を指す非常に強い響きを持つ呼称。
英語表現
「美人」を表す際、日常会話で使える英語の表現です。
a beauty
最も一般的でシンプルに美人を指す表現。
She is a beauty.
(彼女は美人だ。)
drop-dead gorgeous
死んで倒れるほどというニュアンスを含み、息をのむほどの美しさを褒め称える表現。
The actress looked drop-dead gorgeous in her red dress.
(その女優は赤いドレスを着て、息をのむほど美しかった。)
なぜ美人は「花」に例えられるのか
「立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花」や「花顔柳腰」など、美しい人を花や自然に例える言葉が数多く存在します。
昔の漢詩や和歌には、自然の景色を人間の姿や感情に重ねて表現する伝統がありました。
たとえば「立てば芍薬〜」はそれぞれの花の咲き方と女性の振る舞いを結びつけたもので、「花顔柳腰」も古代中国の詩でよく使われた美人の定番の表現です。
宝石や大理石の彫刻のように「いつまでも変わらないもの」を美の象徴とすることの多い西洋の文学と比べ、東アジアでは花のような「移ろいゆく自然」を美人を表す素材として好んで使ってきた歴史があります。









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