幽霊やお化け、妖怪といった超自然的な存在は、古くから人々の想像力をかき立て、恐れや畏敬の対象となってきました。そうした存在にまつわる言葉は、日本語の中に数多く残されています。
もくじ
「幽霊・お化け」に関連する言葉
「幽霊・お化け」というテーマに関連する、主なことわざや慣用句、四字熟語などを紹介します。
「幽霊・お化け」に関する ことわざ
- 幽霊の正体見たり枯れ尾花(ゆうれいのしょうたいみたりかれおばな):
幽霊だと思って恐れていたものが、よく見ると枯れたススキだったという意から、疑心暗鬼になっていたことや、正体がわかればつまらないもののたとえ。 - 疑心暗鬼を生ず(ぎしんあんきをしょうず):
疑う心があると、ありもしない鬼や幽霊まで見えてくるように感じること。恐怖や不安がさらなる恐怖を生むことのたとえ。 - 死人に口なし(しにににんくちなし):
死んだ人は何も語ることができないため、真相が闇に葬られたり、無実の罪を着せられたりすることのたとえ。 - 無い袖は振れぬ(ないそではふれぬ):
(※由来説の一つ)幽霊には袖がないとされることから、持っていないもの、特に金銭は出しようがないというたとえ。
「幽霊・お化け」に関する慣用句
- 幽霊が出る(ゆうれいがでる):
(幽霊が出そうなほど)人気がなく、ひどく寂れているさま。 - 幽霊部員(ゆうれいぶいん):
学校の部活動などに名前だけ登録していて、実際には活動に参加しない人のこと。 - 狐につままれる(きつねにつままれる):
まるで狐(きつね)や妖怪に化かされたかのように、何が起こったのか訳がわからず、ぼうぜんとするさま。 - この世のものではない:
あまりの美しさや恐ろしさが、この世の現実とは思えないほどであることのたとえ。 - 背筋が寒くなる(せすじがさむくなる):
強い恐怖や不安を感じて、ぞっとすること。 - 身の毛がよだつ(みのけがよだつ):
強い恐怖や不快感で、全身の毛が逆立つように感じること。 - 影も形もない(かげもかたちもない):
そこに存在するはずのものの痕跡が全くないこと。 - 魔が差す(まがさす):
まるで悪魔や魔物に心をそそのかされたかのように、普段ならしないような悪いことをふと起こしてしまうこと。
「幽霊・お化け」に関する四字熟語
- 魑魅魍魎(ちみもうりょう):
山や川、木石などの精霊から生じるとされる、さまざまな妖怪・化け物のこと。また、私利私欲のために悪事を働く者たちがはびこる様子のたとえ。 - 百鬼夜行(ひゃっきやこう):
多くの妖怪たちが、夜中に列をなして練り歩くこと。また、多くの悪人たちが好き勝手に悪いことをして、はびこる様子のたとえ。 - 神出鬼没(しんしゅつきぼつ):
まるで鬼神のように、現れたり消えたりが自由自在で、所在が予測できないこと。 - 怪力乱神(かいりきらんしん):
人間の知恵では理解できない、不思議な力や現象、存在のこと。(※孔子が語らなかったものとされる)
「幽霊・お化け」に関するその他の言葉
- 妖怪(ようかい):
人知を超えた不思議な力を持つ、超自然的な存在の総称。お化け。 - 物の怪(もののけ):
人に取り憑いて病気にしたり、災いをもたらしたりすると信じられていた、正体不明の霊や精霊、妖怪のこと。 - 怨霊(おんりょう):
恨みを抱いたまま死んだ人の霊で、生きている人に災いをなすとされるもの。 - 生霊(いきりょう):
生きている人間の怨念が、本体から離れて他人に災いをなすこと。または、その霊。 - 地縛霊(じばくれい):
(※俗語)特定の土地や場所に縛り付けられて離れられないとされる霊。 - 人魂(ひとだま):
空中をさまよう火の玉で、死んだ人の魂が姿を変えたものとされる。 - 憑依(ひょうい):
霊などが人や物に取り憑くこと。 - 怪談/奇談(かいだん/きだん):
幽霊や妖怪など、不思議で恐ろしい内容の話のこと。
まとめ – 幽霊・お化けに関連する言葉を学ぶ
幽霊やお化けに関連する言葉を、その意味とともに紹介しました。
「幽霊の正体見たり枯れ尾花」や「疑心暗鬼を生ず」のように人間の心理や疑念を戒めるものから、「魑魅魍魎」「百鬼夜行」のように悪事がはびこる社会を例えるもの、また「身の毛がよだつ」ような直接的な恐怖感を表すものまで、実に多様です。
これらの言葉は、目に見えない存在への恐れや想像力が、人々の暮らしや価値観、さらには社会のあり様を映し出す鏡として、古くから深く結びついてきたことを示しています。








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