意味
「神出鬼没」は、次にどこへ現れどこへ消えるのか、まるで見当がつかないほど自在に出没する様子を表します。
- 神(しん):神霊のように不思議なこと。
- 出(しゅつ):忽然と現れること。
- 鬼(き):死者の霊や幽霊のように実態がつかめないこと。
- 没(ぼつ):姿を消すこと、隠れること。
神霊が現れ、幽霊がスッと消えるかのように、自由自在に出没して相手に行動を読ませない変幻自在な動きを表します。
語源・由来
中国の前漢時代に編纂された思想書『淮南子(えなんじ)』の「兵略訓」にある記述が語源です。
この書物の中で、戦いに長けた者の巧みな動きを、「神のように忽然と現れ、幽霊のように知らぬ間に行動する(神出鬼行)」と表現しました。
この言葉が後に「神出鬼没」という形に変化し、現代では戦術に限らず、人や物事の捉えどころのない動き全般に使われるようになりました。
使い方・例文
「神出鬼没」は、スポーツのプレースタイルや相手の意表を突く行動など、人や動物の予測不能な動きを表す場面で使われます。
- その野良猫は神出鬼没で、いつの間にか現れてはまた忽然と姿を消す。
- サッカーの試合で、神出鬼没な動きでディフェンダーの背後を突き、ゴールを決めた。
類義語・関連語
「神出鬼没」と似た意味を持つ言葉には以下のようなものがあります。
- 神出鬼行(しんしゅつきこう):
「神出鬼没」の元となった言葉で、意味は同じ。 - 出没自在(しゅつぼつじざい):
現れたり隠れたりすることが思いのままであること。 - 変幻自在(へんげんじざい):
思いのままに姿や形を変えたり、現れたり消えたりすること。
英語表現
elusive
意味:捉えどころのない、見つけにくい、逃げを打つ
対象が素早く動き回ったり、姿を隠したりして、簡単に捕まえられない様子を表す日常的な表現です。
The elusive thief was finally caught by the police.
(その神出鬼没の泥棒は、ついに警察に捕まった。)
淮南子が説いたのは、幽霊ではなく理想の指揮官像
「神出鬼没」の出典は、前漢時代にまとめられた思想書『淮南子』の兵略訓とされています。
そこには「善なる者の動くや、神出にして鬼行す」という一節があり、優れた戦い方をする者は星の光や天の運行のように前触れなく現れ、痕跡を残さず退くと説かれています。
つまりこの言葉は、幽霊のように消える人物を面白おかしく形容した表現ではなく、指揮官が敵に動きを読ませないための理想的なふるまいを説いた兵法思想がもとになっています。
なお日本語の「鬼」は角の生えた妖怪を思い浮かべやすいですが、中国語の「鬼」は死者の魂、すなわち幽霊を指します。
肉体を持たず気配なく現れては消える存在と捉えると、『淮南子』が「鬼」の字を選んだ理由が分かります。














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