深謀遠慮

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四字熟語 故事成語
深謀遠慮
(しんぼうえんりょ)
異形:深慮遠謀

8文字の言葉し・じ」から始まる言葉

遠い将来のことまで深く考え、念入りに計画を立てる態度。
このような姿勢を表すのが、「深謀遠慮」(しんぼうえんりょ)です。

意味

深謀遠慮とは、将来を見据えて綿密な計画を練るという意味です。
目先の利益や感情にとらわれず、長い目で見て様々な可能性を考慮し、慎重に事を進める姿勢を表します。

  • 深謀(しんぼう):
    奥深く計画を練ること。
  • 遠慮(えんりょ):
    遠い将来まで見通すこと。

語源・由来

紀元前の中国で書かれた歴史書『過秦論(かしんろん)』に登場します。

著者の賈誼(かぎ)は、強大な力を持っていた「秦」という大帝国が、なぜ農民たちの反乱であっけなく滅んだのかを分析しました。

彼は反乱軍について、
「深謀遠慮、行軍用兵之道、非及曩時之士也」
(深く練られた戦略や軍隊の動かし方は、昔の優れた武将には遠く及ばなかった)
と振り返っています。

戦略を持たない素人の集団に大帝国が敗れたのは、秦自身が武力に頼り切り、国を長く維持するための計画や配慮を忘れていたからです。
目先の力よりも、長期的な視点を持つことが何より重要であると説いた歴史の教訓から生まれました。

使い方・例文

  • 深謀遠慮に欠ける経営戦略は、すぐに破綻する。
  • 次期社長の指名には、彼の深謀遠慮が隠されている。
  • 敵の深謀遠慮にまんまと乗せられてしまった。

類義語・関連語

「深謀遠慮」と似た意味を持つ言葉には、以下のようなものがあります。

  • 用意周到(よういしゅうとう):
    事前の準備が隅々まで行き届いていること。
  • 老謀遠略(ろうぼうえんりゃく):
    経験豊かな者が立てる、遠い将来まで見通した計画。

「深謀遠慮」と類義語の違い

「深謀遠慮」と「用意周到」はどちらも事前に備える点で共通していますが、意識が向いている「時間軸」に決定的な違いがあります。

語句向いている時間軸焦点
深謀遠慮
(しんぼうえんりょ)
遠い未来長期的な戦略や見通し
用意周到
(よういしゅうとう)
近い未来実行に向けた手元の準備

対義語

「深謀遠慮」とは対極の、深く考えずに行動する言葉を挙げます。

  • 軽挙妄動(けいきょもうどう):
    深く考えず、軽はずみに行動すること。
  • 短慮(たんりょ):
    深く考えないこと。思慮が浅いこと。

英語表現

long-sighted strategy

意味:遠い将来を見越した綿密な戦略

  • 例文:
    His success was the result of long-sighted strategy, not luck.
    彼の成功は運ではなく、深謀遠慮の結果でした。

圧倒的な帝国が滅びた歴史と「深謀遠慮」の真意

賈誼(かぎ)が前述の『過秦論』を書いたのは、秦が滅亡してからおよそ50年後のことです。
当時の漢王朝も建国されたばかりの不安定な時期であり、彼は新しく国を治める者たちへ「同じ失敗を繰り返さないでほしい」という切実な願いを込めて筆を執りました。

彼が導き出した結論は、「秦は力づくで天下を取ったものの、人々に思いやりを持って国を守ろうとはしなかった」というものです。
力で相手をねじ伏せる短期的な強さと、人々の声に耳を傾け、国を長く穏やかに保つ「深謀遠慮」はまったく別の能力でした。

どんなに強大な力を持っていても、人々の心を置き去りにした組織は、ほんの小さなほころびからあっけなく崩れ去ってしまいます。
この言葉が、現代の組織づくりやリーダーのあり方を問う場面で深く響くのは、歴史の敗者が残した生々しい事実が土台にあるからです。

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