イノシシが獲物めがけて一直線に突進する姿を思い浮かべてみてください。
「猪突猛進(ちょとつもうしん)」は、まさにその様子から生まれた四字熟語で、良くも悪くも「まっすぐ突き進む」姿を表します。
今回は、「猪突猛進」の基本的な意味から、その言葉の成り立ち、使い方、類語や英語表現まで、分かりやすく解説していきます。
「猪突猛進」の意味・教訓
「猪突猛進」とは、イノシシ(猪)が目標に向かって一直線に突進するように、周囲の状況や他のことを顧みず、一つの目標に向かって猛烈な勢いで突き進むことを意味します。
この言葉は、状況によって良い意味でも悪い意味でも使われます。
- 良い意味:目標達成への強い意志、恐れを知らない勇気、行動力を称賛する。
- 悪い意味:計画性のなさ、周りが見えない頑固さ、後先を考えない無謀さを批判する。
「猪突猛進」の語源
「猪突猛進」は、「猪突」と「猛進」という二つの言葉が組み合わさってできています。
- 猪突(ちょとつ):イノシシがまっすぐに突進すること。転じて、向こう見ずに突き進むこと。
- 猛進(もうしん):猛烈な勢いで突き進むこと。
イノシシが目標に向かって、脇目もふらず一直線に突っ込む習性から、この四字熟語が生まれました。
使用される場面と例文
人の性格や行動スタイルを評する際によく使われます。目標に向かってひたすら進む姿や、逆に計画性なく突っ走る様子など、様々な場面で用いられます。
例文
- 「彼は若さゆえの「猪突猛進」で、失敗も多かったが、その行動力が成功を呼んだ。」(良い意味)
- 「あの選手は、「猪突猛進」型のプレースタイルで観客を沸かせる。」(良い意味)
- 「周りの意見も聞かずに「猪突猛進」するのは、彼の悪い癖だ。」(悪い意味)
- 「計画も立てずに「猪突猛進」しても、うまくいくはずがない。」(悪い意味)
類義語・言い換え表現
「猪突猛進」と似た意味を持つ言葉を、ニュアンス別に紹介します。
良い意味(目標へ向かう強い意志)
- 勇往邁進(ゆうおうまいしん):
勇気を持って、ためらわずに目標に向かってまっすぐ突き進むこと。 - 一直線(いっちょくせん):
わき目もふらず、そのことだけに集中して進むさま。
悪い意味(周囲を顧みない無謀さ)
- 無鉄砲(むてっぽう):
結果や影響を考えずに、向こう見ずな行動をすること。 - 向こう見ず(むこうみず):
先のことを考えず、無茶なことをすること。 - 我武者羅(がむしゃら):
後先を考えず、強引に物事を進めるさま。
対義語
「猪突猛進」とは対照的に、慎重に考えたり、ためらったりする様子を表す言葉です。
- 深謀遠慮(しんぼうえんりょ):
深く考えを巡らせ、遠い将来のことまで見通して計画すること。 - 用意周到(よういしゅうとう):
準備が十分に、手落ちなく整っていること。 - 優柔不断(ゆうじゅうふだん):
ぐずぐずしていて、物事の決断がなかなかできないこと。
英語での類似表現
「猪突猛進」の「無謀に突き進む」というニュアンスに近い英語表現です。
charging headlong
- 意味:「まっさかさまに突進する」「向こう見ずに突き進む」。
- 例文:
He was charging headlong into the new business without any market research.
(彼は市場調査もせずに新事業に猪突猛進していた。)
like a bull in a china shop
- 直訳:瀬戸物屋に飛び込んだ雄牛のように。
- 意味:周りを考えずに行動する乱暴さ、不器用さ。
- 例文:
He handled the delicate negotiations like a bull in a china shop and offended everyone.
(彼はそのデリケートな交渉を猪突猛進(乱暴)に行い、全員を怒らせた。)
going full steam ahead
- 意味:「全速力で進む」。
- ニュアンス:(考えずに)というニュアンスを伴うことがあります。
- 例文:
She is going full steam ahead with her plans, despite our warnings.
(我々の警告にもかかわらず、彼女は計画を猪突猛進で進めている。)
使用上の注意点
「猪突猛進」は、文脈によって「勇猛果敢」というポジティブな評価にも、「無計画で頑固」というネガティブな批判にもなります。
特に、ネガティブな意味合い(向こう見ず、周りが見えない)で他人の行動を評する際に使うと、相手を強く非難する響きを持つため、使う相手や状況には注意が必要です。
まとめ – 「猪突猛進」の力とバランス
「猪突猛進」は、目標に向かって猛烈な勢いで突き進む、イノシシの姿から生まれた四字熟語です。
それは時に、困難を打ち破る「勇気」や「行動力」として称賛されます。
しかしその一方で、周りが見えなくなり、計画性を欠いた「無謀さ」につながる危うさも併せ持っています。
この言葉が持つ強いエネルギーは大きな魅力ですが、その力を活かすためには、状況を見極める冷静さやバランス感覚も大切にしたいものですね。



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