意味
「猪突猛進」とは、イノシシが目標物に向かって直線的に突進するように、周囲の状況を顧みず、一つの目標に対して猛烈な勢いで突き進むことを意味します。
この言葉は、遮二無二努力する姿勢を称える際にも、計画性のなさを戒める際にも使われます。
- 猪突(ちょとつ):イノシシのように、向こう見ずに真っすぐ突っ込むこと。
- 猛進(もうしん):激しい勢いで、迷いなく前進すること。
語源・由来
「猪突猛進」は、由来の異なる二つの語を組み合わせた四字熟語です。
「猪突」は『漢書』食貨志に見える「豬突豨勇」という軍隊の名に、「猛進」は『無量寿経』の「勇猛精進して志願倦むことなし」にさかのぼるとされています。
「猪突」は猪のようにまっすぐ突き進むこと、「猛進」は激しい勢いで進むことを指します。
この二つが組み合わさって、脇目も振らずに突進するという像が結ばれました。
古くから勇猛さの象徴とされる一方で、分別のなさを揶揄する言葉としても使われてきました。
使い方・例文
「猪突猛進」は、文脈によって評価が大きく分かれます。
一途な情熱を指す場合はポジティブに、無謀な暴走を指す場合はネガティブに機能します。
良い例(称賛・前向きな姿勢)
- 志望校合格に向けて、脇目も振らず猪突猛進する。
- 彼の猪突猛進な行動力が、停滞していた場を活気づけた。
悪い例(戒め・計画性の欠如)
- 予算も確認せず、猪突猛進に事業を拡大して失敗した。
- 独断で猪突猛進し、チームの和を乱してしまった。
誤用・注意点
「猪突猛進」は「一生懸命」の類語として自分に使う分には問題ありませんが、他人、特に目上の人に対して使うのは注意が必要です。
「向こう見ず」「周りが見えていない」という批判的なニュアンスを含んでいるため、良かれと思って使っても「あなたは無計画だ」と侮辱したように受け取られる恐れがあります。
類義語・関連語
「猪突猛進」と似た意味を持つ言葉には、一途さを強調するものから無茶を指摘するものまで、明確な使い分けが存在します。
- 勇往邁進(ゆうおうまいしん):
困難を恐れず、自分の目的・信じる道へ勇ましく真っすぐ突き進むこと。 - 一直線(いっちょくせん):
他のことには目もくれず、ある目標に向かって迷いなく進むさま。 - 無鉄砲(むてっぽう):
結果や影響を考えず、向こう見ずな行動をすること。 - 向こう見ず(むこうみず):
後のことを考えずに、軽率で無茶な行動をすること。 - 我武者羅(がむしゃら):
一つの目的に対して、後先を考えず強引に物事を進めるさま。
対義語
「猪突猛進」とは対照的に、慎重な検討や、決断力のなさを表す言葉です。
- 深謀遠慮(しんぼうえんりょ):
遠い将来のことまで見通して、深く計画を練ること。 - 用意周到(よういしゅうとう):
準備が隅々まで行き届いており、手落ちがないこと。 - 優柔不断(ゆうじゅうふだん):
ぐずぐずして、なかなか物事の決断が下せないこと。
英語表現
「猪突猛進」を英語で表現する場合、無鉄砲な突進や、勢いよく進む様子を指す定型句が使われます。
charging headlong
「頭から真っ逆さまに突っ込む」という直訳から、向こう見ずに突き進むニュアンスを表します。
He was charging headlong into the new project without a plan.
(彼は計画もなしに、新しいプロジェクトに猪突猛進していた。)
go full steam ahead
「蒸気全開で進む」という意味で、勢いよく物事を進めるポジティブな勢いを指します。
The team decided to go full steam ahead with the expansion.
(チームは拡大路線に向けて、猪突猛進(全速力)で進むことを決めた。)
「猪突」は王莽が作った軍の名前だった
「猪突」は、前漢の末に帝位を奪った王莽が編成した軍隊の名に見えます。
『漢書』食貨志に「匈奴の侵寇甚だし。莽、大いに天下の囚徒・人奴を募り、名づけて豬突豨勇と曰う」とあります。
「豨」は大きな猪のことです。
匈奴の侵入に対抗するため、囚人と奴隷を集めて作った部隊に、猪の名を冠しました。
この軍を養うために重い税が課され、民の暮らしは苦しくなったとも記されています。












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