「悪」にまつわる ことわざ・慣用句・四字熟語

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「悪」にまつわる ことわざ・慣用句・四字熟語 【特集】ことわざ・慣用句・四字熟語

人の世において、善と悪は切り離せないテーマです。
古くから、悪事の報いに対する戒めや、逆に悪がはびこる世の理不尽さを説く言葉が数多く生まれてきました。

今回は、「悪」(あく)という漢字を含むものや、悪事にまつわることわざ・四字熟語を、意味やシチュエーション別にご紹介します。

報い・因果(悪いことは返ってくる)

「悪いことをすれば、必ずその報いを受ける」という因果応報を説く言葉です。

悪因悪果(あくいんあっか)

悪い行い(原因)には、必ず悪い結果が伴うということ。
仏教の教えに基づき、自身の行いが未来を決めることを説いています。
対義語は「善因善果(ぜんいんぜんか)」です。

悪事身に返る(あくじみにかえる)

他人に悪いことをすれば、巡り巡って結局は自分自身にその報いが返ってくるということ。
天に唾する」や「人を呪わば穴二つ」と同じく、自業自得の理(ことわり)を表します。

悪銭身につかず(あくせんみにつかず)

賭け事や不正な手段で手に入れたお金は、無駄遣いをしてしまいがちで、結局は手元に残らないということ。
英語の「Easy come, easy go.(得やすいものは失いやすい)」にも通じる教訓です。

天網恢恢疎にして漏らさず(てんもうかいかいそにしてもらさず)

天が張りめぐらせた網は、目が粗いように見えるが、悪人を漏らすことなく必ず捕らえるということ。
「悪」という文字は含みませんが、悪事が露見することを説く最も有名な言葉の一つです。

悪の報いは針の先(あくのむくいははりのさき)

悪い行いに対する報いは、最初は針の先ほどに小さく見えても、後になって大きな災いとなって我が身に降りかかるという戒め。

拡散・影響(悪は広まりやすい)

悪事の影響力や、悪が世の中に与える作用についての言葉です。

悪事千里を走る(あくじせんりをはしる)

良い行いはなかなか世間に知られないが、悪い行いや評判は、あっという間に遠くまで知れ渡ってしまうということ。
「千里」は非常に長い距離の例えです。

悪貨は良貨を駆逐す(あっかはりょうかをくちくす)

質の悪い貨幣と良い貨幣が同時に出回ると、人々は良い貨幣を貯め込み、質の悪い貨幣ばかりが市場に流通するようになること。
転じて、悪人がのさばり、善人が圧倒されて姿を消してしまう組織や社会の状況を指します。
「グレシャムの法則」とも呼ばれます。

悪妻は百年の不作(あくさいはひゃくねんのふさく)

相性の悪い妻(配偶者)を持つと、その家は一生涯にわたって苦労が続くということ。
農作物の不作は一年で済むが、結婚の影響は長く続くことを、農耕社会の視点で例えています。

憎まれっ子世にはばかる(にくまれっこよにはばかる)

人から嫌われるような乱暴な者に限って、世間で幅を利かせて出世したり、長生きしたりするということ。
世の中の理不尽さを皮肉った言葉です。

処世・戒め(悪との向き合い方)

悪に対する心構えや、処世術に関する言葉です。

悪法も亦法なり(あくほうもまたほうなり)

たとえ内容に不備がある悪い法律であっても、それが法として定められている以上は、秩序を守るために従わなければならないという考え方。
古代ギリシャの哲学者ソクラテスの死に際して語られることが多い言葉です。

悪の根は早く抜け(あくのねははやくぬけ)

悪事や災いの原因となるものは、手遅れにならないうちに、早いうちに完全に取り除いておくべきだという教え。
「災いは口より出ず」などと共に、早期対処の重要性を説きます。

毒を以て毒を制す(どくをもってどくをせいす)

悪や不正を排除するために、あえて別の悪や不正な手段を利用すること。
強烈な劇薬には、同じくらい強烈な薬で対抗しなければならないという意味です。

必要悪(ひつようあく)

本来は悪いことだが、組織や社会を運営していく上では、どうしてもなくてはならないもののこと。

悪木盗泉(あくぼくとうせん)

どんなに困っても、身の潔白を守るために、悪名がついたものには決して近づかないことの例え。
「悪木」は役に立たない木、「盗泉」は飲むと盗人になるという泉のこと。孔子の逸話に由来します。

善悪と人間性(善への転換)

悪の中にある可能性や、善と悪の対比を示す言葉です。

勧善懲悪(かんぜんちょうあく)

善い行いを勧め励まし、悪い行いを懲らしめること。
時代劇や小説などの主題として、日本人に広く愛されている概念です。

悪に強きは善にも強し(あくにつよきはぜんにもつよし)

大きな悪事を働くほどの度胸や精神力がある人は、心を入れ替えて善い道に進めば、善いことでも並外れた力を発揮できるということ。
人間のエネルギーの大きさは、方向性次第で変わることを示唆しています。

慣用句・四字熟語リスト

日常会話で使われる、その他の「悪」を含む表現です。

  • 悪戦苦闘(あくせんくとう):
    強敵や困難な状況に対して、死に物狂いで努力すること。
    「悪戦」は不利な戦い、「苦闘」は苦しい戦いを意味します。
  • 悪知恵が働く(わるぢえがはたらく):
    悪いことをするための巧みな知恵が回ること。ずる賢いこと。
  • 悪乗り(わるのり):
    その場の雰囲気に乗じて、度を超したふざけ方をしたり、調子に乗って行動したりすること。
  • 悪態をつく(あくたいをつく):
    相手を罵ったり、憎まれ口を叩いたりすること。
  • 悪逆無道(あくぎゃくむどう):
    人の道に背いた、極めて悪い行いをすること。「極悪非道(ごくあくひどう)」もほぼ同義です。

英語表現

「悪」やその報いに関連する英語表現です。

Ill news runs apace.

  • 意味:「悪い噂はすぐに広まる」
  • 解説:「悪事千里を走る」とほぼ同じ意味で使われます。”apace”は「速やかに」という意味です。

Ill gotten, ill spent.

  • 意味:「不正に得たものは、不正に使われる」
  • 解説:「悪銭身につかず」の英語版です。「Easy come, easy go.(あぶく銭は身につかない)」も類義語としてよく使われます。

Necessary evil.

  • 意味:「必要悪」
  • 解説:日本語の「必要悪」と同様に、避けられないが必要なマイナス要素を指して使われます。

まとめ

「悪」に関する言葉を紐解くと、単に「悪いこと」を指すだけでなく、それがどのように広まり、どのように自分に返ってくるかという「世の中のシステム」を説くものが多く見られます。

悪因悪果」や「天網恢恢」のように戒める言葉がある一方で、「憎まれっ子世にはばかる」のように理不尽な現実を嘆く言葉があるのも、人間社会の複雑さを表していると言えるでしょう。
正しい行いへの指針として、これらの言葉を心の片隅に置いておきたいものです。

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