ことわざ 慣用句

憎まれっ子世にはばかる

(にくまれっこよにはばかる)

他人に嫌われるような厚かましい者の方が、かえって世間では幅を利かせるということ。


12文字の言葉 / 「に」から始まる言葉
憎まれっ子世にはばかる ことば
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意味

「憎まれっ子世にはばかる(にくまれっこよにはばかる)」とは、人から疎まれ憎まれるくらい図太い人間ほど、物おじせずに世渡りをして、かえって出世したり羽振りを利かせたりするという意味です。

周囲の評価を気にせず、自分の意志を押し通す図太い精神力こそが、結果として世渡りの強さに繋がっているという社会の一面を突いた教訓が含まれています。

  • 憎まれっ子(にくまれっこ):人から憎まれるような子ども。
    子どもではなく大人を指すと解釈する見方もあります。
  • 世にはばかる(よにはばかる):世間ではびこる、幅を利かせること。遠慮する意味の「はばかる」ではない。

語源・由来

江戸時代初期の俳諧論書『毛吹草けふきぐさ』(1638年)には「にくまれ子世にいづる」という古い形が記されています。
そこから時代が下るにつれて「世にはびこる」「世にはばかる」へと変化しながら定着していきました。

使い方・例文

「憎まれっ子世にはばかる」は、自己中心的で疎まれている人物が、なぜか幸運を掴んでいたり、誰よりも健康に過ごしていたりする場面で使われます。

  • あれだけ周囲を困らせている彼が出世するとは、まさに憎まれっ子世にはばかるだ。
  • 憎まれっ子世にはばかると言うし、あの毒舌な祖父はきっと長生きするだろう。
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類義語・関連語

「憎まれっ子世にはばかる」と似た状況や意味合いを持つ言葉には以下のようなものがあります。

  • 悪貨は良貨を駆逐する(あっかはりょうかをくちくする):
    本来は経済学の法則ですが、転じて、悪人がはびこることで善人が肩身の狭い思いをすることのたとえとして使われます。
  • 悪運が強い(あくうんがつよい):
    悪いことをしているのに、なぜか罰を逃れたり幸運に恵まれたりすること。

対義語

「憎まれっ子世にはばかる」とは対照的な意味や状況を表す言葉は以下の通りです。

  • 佳人薄命(かじんはくめい):
    美しく才能のある人や、心根の優しい人は、短命であったり不遇であったりすること。
    「美人薄命」とも言います。

英語表現

「憎まれっ子世にはばかる」を英語で表現する場合、以下の定型表現が使われます。

Ill weeds grow apace

意味:悪い草(雑草)は育つのが早い

He never gets sick despite his bad behavior. Ill weeds grow apace.
(あんなに素行が悪いのに彼は一度も病気にならない。憎まれっ子世にはばかるだね。)

「憎まれっ子世にはばかる」は江戸いろはかるたの「に」

このことわざは、江戸のいろはかるた(犬棒かるた)で「に」の札に使われています。
今はふつう「にくまれっこ」と読みますが、古くは「にくまれご」という言い方もありました。

尾張おわり(今の愛知県西部)のかるたの「に」は「憎まれっ子頭堅し」です。
明治39年(1906年)のことわざの本は「憎まれ子頭堅し」を、人に憎まれるくらいの者は気性がしっかりしている、という意味だと説明しています。
同じ「憎まれっ子」から始めて、江戸の札は世間で幅をきかせる姿を、尾張の札は気性の強さを言っているわけです。

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