「憎しみ」は、他者を強く憎む、激しい負の感情です。
人間関係のもつれや深い恨みなど、古来より様々な場面で生まれてきたこの感情は、多くの言葉として日本語に残されています。
今回は、「憎しみ」というテーマに関連する、主なことわざ、慣用句、四字熟語、故事成語などを紹介します。
「憎しみ」に関連する言葉 一覧
ことわざ
- 可愛いさ余って憎さ百倍(かわいさあまってにくさひゃくばい):
愛情が深かった分、何かのきっかけで憎しみに変わると、その憎しみは非常に強くなるということ。 - 憎まれっ子世にはばかる(にくまれっこよにはばかる):
人から憎まれるような者が、かえって世の中で幅を利かせ、勢力を持つものだということ。 - 目には目を歯には歯を(めにはめをはにははを):
受けた害と同じだけの害を、相手にも報復すること。復讐の原則を示す言葉。(古代バビロニアの法典から) - 骨肉相食む(こつにくあいはむ):
家族や血縁者同士が、憎しみ合い、争うことのたとえ。
慣用句
- 犬猿の仲(けんえんのなか):
犬と猿のように、非常に仲が悪く、いつも憎み合っている関係のこと。 - 怒髪天を衝く(どはつてんをつく):
(憎しみや怒りのあまり)髪の毛が逆立ち、天を衝くほど激しく怒ること。 - 煮え湯を飲まされる(にえゆをのまされる):
信頼していた者から裏切られ、ひどい目に遭わされること。(その結果、憎しみを抱く) - 目の敵にする(めのかたきにする):
特定の相手をひどく憎み、敵意をもって見ること。 - 反目し合う(はんもくしあう):
互いに憎み合い、にらみ合うこと。仲が悪いさま。 - 恨みを買う(うらみ をかう):
他人の憎しみや恨みを受けるようなことをする。 - 恨み骨髄に徹する(うらみこつずいにてっする):
(「怨み骨髄に入る」とも)憎しみが骨の芯まで染み通るほど、深く恨むこと。 - 爪弾きにする(つまはじきにする):
憎らしい、あるいは不要なものとして、仲間外れにし、排斥すること。 - 歯ぎしりする:
(「歯噛み(はがみ)する」とも)激しい怒りや憎しみ、悔しさで、歯を食いしばり、音を立てること。 - 蛇蝎の如く嫌う(だかつ(だか)のごとくきらう):
蛇(ヘビ)と蝎(サソリ)のように、非常に強く憎み、嫌うこと。 - 根に持つ(ねにもつ):
受けた仕打ちや恨みを、いつまでも忘れないでいること。 - 積年の恨み(せきねんのうらみ):
長年にわたって積み重なった深い恨み。
四字熟語
- 不倶戴天(ふぐたいてん):
(「倶(とも)に天を戴(いただ)かず」の意)同じ空の下には生きていられないと思うほど、深く憎むこと。 - 切歯扼腕(せっしやくわん):
歯を食いしばり、自分の腕を強く握りしめること。激しい怒りや憎しみ、悔しさを抑えきれない様子。 - 怨恨骨髄(えんこんこつずい):
(「恨み骨髄に徹する」と同意)恨みが骨の芯まで染み込んでいること。 - 愛憎半ば(あいぞうなかば):
愛する気持ちと憎む気持ちが、半分ずつ入り混じっている状態。
故事成語
- 臥薪嘗胆(がしんしょうたん):
薪(たきぎ)の上に寝て、苦い肝をなめること。復讐を誓い、目的達成のためにあらゆる苦労に耐えることのたとえ。
(中国の『史記』などより) - 呉越同舟(ごえつどうしゅう):
仲の悪い(憎しみ合っている)者同士が、同じ場所や境遇にいることのたとえ。
(中国の『孫子』より) - 食肉寝皮(しょくにくしんぴ):
憎い相手の肉を食らい、その皮を敷いて寝るほどの、激しい憎しみや復讐心。
(中国の『春秋左氏伝』より) - 睚眦の恨み(がいさいのうらみ):
「睚眦」は、にらみつけること。少しにらまれた程度のささいな恨みを忘れず、必ず仕返ししようとすること。
(中国の『史記』より)
仏教用語
- 怨憎会苦(おんぞうえく):
(「八苦」の一つ)憎しみ合っている者同士が、会わなければならない苦しみ。
まとめ – 憎しみが示す心の深さ
「憎しみ」に関連する言葉を紹介しました。
「可愛いさ余って」のように愛情が反転したものから、「臥薪嘗胆」のような復讐を誓う強烈なもの、「不倶戴天」のように共存できないほどの憎悪まで、その深さや形は様々です。
これらの言葉は、人間関係の中で生まれる強い感情と、人々がそれとどう向き合ってきたかを示しています。








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