人生は、ときに自分の力ではどうにもならない「運」に左右されるもの。
幸運もあれば、不運もある。その流れに、ただ身を任せるしかない瞬間もあります。
そんな「運」とどう向き合うか。
古くから伝わる言葉には、そのヒントとなる知恵が込められています。
この記事では、「運」にまつわることわざや慣用句、故事成語、四字熟語をたどりながら、その意味や背景を探っていきます。
「運」にまつわる ことわざ
- 一運二力三才(いちうんにりきさんさい):
物事を成し遂げるには、第一に運、第二に努力・実力、第三に才能が大切であるということ。(※諸説あり。「一運二根三才」などとも) - 運は天に在り(うんはてんにあり):
人の運命は天が決めるものであり、人間の力ではどうすることもできないということ。 - 運を待つは死を待つに等し(うんをまつはしをまつにひとし):
ただ幸運が訪れるのを待っているだけでは、死を待つのと同じで、何も成し遂げられないという戒め。行動の重要性を説く。 - 勝つも負けるも時の運(かつもまけるもときのうん):
勝負事は、実力だけでなく、その時の運によって左右されることが多いということ。「勝負は時の運」とも言う。 - 運も実力のうち(うんもじつりょくのうち):
成功するためには、実力だけでなく運も必要であり、その運を引き寄せることも実力の一つであるという考え方。 - 残り物には福がある(のこりものにはふくがある):
人が取り残したものや、最後のものに、かえって思いがけない幸運や利益が潜んでいることがあるということ。 - 怪我の功名(けがのこうみょう):
失敗したことや、何気なくやったことが、偶然にも非常に良い結果をもたらすこと。 - 果報は寝て待て(かほうはねてまて):
幸運は人の力ではどうすることもできないので、焦らずに時機が来るのを待つのが良いということ。 - 鴨が葱を背負って来る(かもがねぎをしょってくる):
都合の良いことが重なって、ますます好都合になることのたとえ。思いがけない幸運。 - 捨てる神あれば拾う神あり(すてるかみあればひろうかみあり):
一方で見放す人がいても、他方で助けてくれる人も必ずいるということ。世の中は広く、どんな状況でも救いはあるという励ましの言葉。 - 当たるも八卦当たらぬも八卦(あたるもはっけあたらぬもはっけ):
占いは当たることもあれば、当たらないこともあるということ。運次第であることのたとえ。 - 棚からぼた餅(たなからぼたもち):
思いがけない幸運が舞い込んでくることのたとえ。労せずして良いものを得ること。 - 渡りに船(わたりにふね):
何かをしようとしている時に、ちょうど都合の良いことが起こること。望んでいたものが好都合な時に手に入ること。
「運」にまつわる 慣用句
- 運を天に任せる(うんをてんにまかせる):
結果がどうなるか、成り行きを天運に委ねること。人事を尽くして天命を待つ心境に近い。 - 運がいい/運が悪い:
幸運に恵まれている/不運に見舞われている状態。 - 運が向く/運が尽きる:
幸運が巡ってくる/不運になる、運がなくなる。 - 運気が上がる/下がる:
運の流れが良い方向に向かう/悪い方向に向かう。 - 運試し(うんだめし):
自分の運が良いか悪いか試してみること。 - 運の尽き(うんのつき):
もはや運が完全になくなり、どうしようもない状態。万策尽きた状態。 - 運を使い果たす(うんをつかいはたす):
大きな幸運に恵まれた後などに、もうこれ以上良い運は残っていないだろうと思うこと。 - 運よく(うんよく):
幸運にも。都合よく。 - 武運長久を祈る(ぶうんちょうきゅうをいのる):
戦いにおける運が長く続くように祈ること。武士などの出陣や戦勝を願う言葉。 - 悪運が強い(あくうんがつよい):
普通なら不幸な目に遭うような場面でも、不思議と助かったり、難を逃れたりする運を持っていること。 - 運に見放される(うんにみはなされる):
幸運に恵まれなくなる、不運が続く状態になること。 - 運任せ(うんまかせ):
自分の努力や計画によらず、ただ運に頼って物事を進めること。 - 機運が熟す(きうんがじゅくす):
何かを始めるのにちょうど良い時期、好都合な状況になること。
「運」にまつわる 故事成語
- 塞翁が馬(さいおうがうま):
人生における幸運と不運は予測できず、容易に変化するものであるというたとえ。「人間万事塞翁が馬」とも言う。
「運」にまつわる 四字熟語/三字熟語
- 運否天賦(うんぷてんぷ):
人の運の良し悪しは、すべて天の与えるものであり、人間の力ではどうしようもないということ。「運は天に在り」と同義。 - 一期一会(いちごいちえ):
一生に一度だけの機会、出会い。その機会を大切にすべきという茶道の心得から。運命的な巡り合わせ。 - 千載一遇(せんざいいちぐう):
千年に一度しか出会えないような、またとない絶好の機会。非常に恵まれた幸運な時機。 - 時節到来(じせつとうらい):
ちょうど良い時期、好機がやってくること。 - 天佑神助(てんゆうしんじょ):
天や神の助け。思いがけない幸運に恵まれること。 - 不運不遇(ふうんふぐう):
運が悪く、境遇にも恵まれないこと。 - 有為転変(ういてんぺん):
この世のすべてのものは常に変化し、移り変わっていくものであるということ。人の運命の変わりやすさも含む仏教語。 - 運根鈍(うんこんどん):
成功するためには、運の良さ、粘り強い根気、少々のことでは動じない鈍感さ(図太さ)が必要であるということ。
まとめ – 運を引き寄せる生き方
「運」は不思議な力で、ときに人生を大きく動かします。
どうにもならない巡り合わせもあれば、自らの手で流れを変えることもある。
ただ待つのではなく、動くこと。
努力や粘り強さが、運を味方につける鍵になることもあるでしょう。
結局のところ、運もまた日々の積み重ねの中に宿るもの。
幸運にも不運にも振り回されず、地に足をつけて歩むことが、運と上手につき合う道なのかもしれません。
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