意味
「運否天賦(うんぷてんぷ)」は、人の運の善し悪しは天によってあらかじめ定められているという考え方で、人間の努力や意志ではどうにもならないものだということを表しています。
転じて、結果がどうなろうとも運を天に任せるという、諦めや開き直りの心境を表す際にも使われます。
- 運否(うんぷ):運が良いこと(運)と、悪いこと(否)。
- 天賦(てんぷ):天から授かること。天からの割り当て。
語源・由来
「運否」を「うんぷ」と読むのは、「実否(じっぷ)」などと同じ中世の読み方です。
後半の「天賦(天から分け与えられたもの)」は、この「うんぷ」の音に合わせて添えられた表現です。
使い方・例文
「運否天賦」は、自分の努力ではどうにもならない勝負事や、不可抗力な事象に対して使われます。
- 手術は無事に終わった。あとの経過は運否天賦だと、家族は静かに回復を待った。
- 最終面接まで進んだあとは、運否天賦で結果を待つほかない。
- 渾身のプレゼンを終えた。採用されるかはもう運否天賦だと会議室を出た。
類義語・関連語
「運否天賦」と同じく、人間の努力を超えた運命や、結果を天に委ねる心境を表す言葉を紹介します。
- 人事を尽くして天命を待つ(じんじをつくしててんめいをまつ):
人間としてできる最大限の努力をした後は、結果を天の運命に委ねるということ。 - 一か八か(いちかばちか):
結果はどうなるかわからないが、運を天に任せて思い切って行動すること。 - 他力本願(たりきほんがん):
本来は仏の力(阿弥陀如来の本願)によって救済されるという仏教用語。俗に、自分の努力ではなく他人の力や運に頼るという意味でも使われる。
英語表現
「運否天賦」のニュアンスを英語で表現する場合、以下のようになります。
leave it to chance
意味:運に任せる、成り行きに任せる。
We’ve done all we can, now we just have to leave it to chance.
(やれることはすべてやった。あとは運否天賦だ。)
in the lap of the gods
意味:結果は神のみぞ知る、人間の力ではどうにもならない状態。
The outcome of the trial is now in the lap of the gods.
(裁判の行方は、もはや運否天賦である。)
有島武郎の小説『星座』に出てくる「運否天賦」
作家の有島武郎が1922年に発表した長編小説『星座』に、この言葉が出てきます。
主な登場人物の一人・清逸の父が、中島という男が大金持ちになった話を、清逸の弟に語って聞かせる場面です。
中島は、北海道では水が冷たくて稲の実りが遅れ、霜にやられることに気づき、田に引く前の水をためて日に当て、温める工夫をしました。
父は「それが図にあたって」(=思いどおりにうまくいって)金持ちになったのだと言ったあと、「人ってものは運賦天賦で何が……」とつぶやき、その先は声が小さくなって聞こえなくなります。
本文では「運賦天賦」の字に「うんぷてんぷ」と読みが振られています。
工夫で成功した人の話を、父は最後に、人の運は天が決めるという「運否天賦」で受け止めています。










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