意味
「渡りに船(わたりにふね)」とは、困っている時や何かをしようとしている時に、ちょうど都合よく助けや好条件が与えられることのたとえです。
望んでいたものがベストなタイミングで手に入るというニュアンスを持ちます。
単なるラッキーではなく、「まさにそれを求めていた」という状況に合致した救済策や申し出に対して使われます。
語源・由来
出典は、仏教の経典『法華経』の「薬王品」とされます。
「子の母を得るが如し、渡りに船を得るが如し、病に医を得るが如し」(子どもが母親に会えたように、川を渡ろうとする人が船を得たように、病人が医者に出会えたように)と、この経典が人々を苦しみから救うことをたとえた一節です。
使い方・例文
「渡りに船」は、望んでいた助けが偶然現れたという場面で使われます。
- 突然の雨のなか、車で通りかかった友人が家まで送ってくれたのは渡りに船だった。
- 資料が見つからない時、友人が偶然その本を貸してくれたのは渡りに船だった。
- 協力企業を探していた矢先に声をかけてもらえたのは、まさに渡りに船だ。
類義語・関連語
「渡りに船」と似た意味を持つ言葉には以下のようなものがあります。
- 干天の慈雨(かんてんのじう):
日照り続きのときに降る、恵みの雨。
待ち望んでいた物事の実現や、困っているときにさしのべられる救いの手のたとえ。 - 地獄で仏(じごくでほとけ):
極限の苦しみや困難の中で、思いがけない助けに救われること。 - 闇夜の提灯(やみよのちょうちん):
真っ暗な夜道で提灯の明かりを得た時のように、困り果てている時に頼りになるものに巡り合うことのたとえ。
対義語
「渡りに船」と反対の意味を持つ言葉には以下のようなものがあります。
- 弱り目に祟り目(よわりめにたたりめ):
不運や困難が重なること。 - 泣きっ面に蜂(なきっつらにはち):
不運の上にさらに不運が重なること。 - 踏んだり蹴ったり(ふんだりけったり):
散々な目に遭った上に、さらにひどい仕打ちを受けること。
英語表現
A godsend
意味:思いがけない幸運、天の恵み。
His offer to help was a godsend.
(彼が手伝いを申し出てくれたのは渡りに船だった。)
Just what the doctor ordered
意味:まさに必要としていたもの、おあつらえ向きのもの。
This hot soup is just what the doctor ordered.
(この温かいスープはまさに渡りに船だ。)
「渡りに船」は『法華経』の十二のたとえの一つ
薬王品のこの一節は、法華経が人々の願いを満たす(原文「充滿其願」)と述べたあと、たとえを十二続けて並べます。
「寒い人が火を得る」「裸の人が衣を得る」など、多くは何かを求める人がそれを得る形で、「渡りに船を得るが如し」はその六番目です。
求めていたものがちょうど手に入るたとえの一つで、今の「渡りに船」の意味もそこから来ています。












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