残り物には福がある

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残り物には福がある
(のこりものにはふくがある)
異形:余り物に福がある/残り物に福あり

12文字の言葉」から始まる言葉

人が見向きもしなかったものや、最後に残ったものの中に、思いがけない価値が隠されていることがあります。
欲をかかずに他人に譲る控えめな姿勢が、結果として幸運を引き寄せることを表したのが、
残り物には福がある」(のこりものにはふくがある)です。

意味・教訓

「残り物には福がある」とは、人が取り残したものや最後に残ったものの中に、かえって良いものがあるという意味です。

単なる偶然の幸運を指すだけでなく、先を争って欲張るよりも、控えめに他人に譲ることで結果として思わぬ幸運が得られるという教訓が含まれています。
日常の些細な出来事から人生の選択まで、無欲な姿勢が報われる状況に対して幅広く使われます。

語源・由来

「残り物には福がある」の由来として有力視されているのは、1783年に初めて上演された人形浄瑠璃「伊賀越道中双六(いがごえどうちゅうすごろく)」です。
この作品の中に「余り茶に福がある。然らば今一つ」というセリフがあります。
「余り茶」とはお茶を淹れた後に残った茶葉のことで、「残り物には福がある」と同じ意味を、より具体的に表現した言葉です。
また、浮世草子「傾世歌三味線」にも同様の表現が確認でき、こうした庶民の生活に根ざした言葉が広まっていったと考えられています。

この言葉が全国的に広く定着した大きな要因は、「江戸いろはかるた」の「の」の札として採用されたことです。
かるたに収録されたことで、他人を押しのけない無欲な姿勢を肯定する教訓として、大衆に親しまれるようになりました。

使い方・例文

「残り物には福がある」は、損を覚悟で他人に順番や品物を譲った結果、たまたま良い思いをしたという場面で使われます。

  • 余り物のくじを引いたら特賞が当たり、残り物には福があると実感した。
  • 最後に残っていた端の席が一番景色が良く、まさに残り物には福があるだった。
  • 閉店間際に買った服が一番の掘り出し物で、残り物には福があると思った。
  • 誰もが避けた地味な役回りから大成功を収め、残り物には福がある結果となった。

類義語・関連語

「残り物には福がある」と似た意味を持つ言葉には、以下のようなものがあります。

  • 残り物に福あり(のこりものにふくあり):
    言い回しが少し異なるだけで、意味は全く同じです。
  • 待てば海路の日和あり(まてばかいろのひよりあり):
    今は状況が悪くても、焦らずに待っていれば幸運な好機が訪れるという意味です。
  • 果報は寝て待て(かほうはねてまて):
    幸運は人間の力ではどうにもならないので、焦らずに自然の成り行きに任せて待つのが良いという意味です。

対義語

「残り物には福がある」とは対照的な意味を持つ言葉は、以下の通りです。

  • 早い者勝ち(はやいものがち):
    人より早く行動した人が、良い条件や物を手に入れられるという考え方です。
  • 先んずれば人を制す(さきんずればひとをせいす):
    人よりも一歩先に行動すれば、有利な立場に立てるという意味です。

英語表現

「残り物には福がある」を英語で表現する場合、以下の定型表現が使われます。

There is luck in the last helping.

意味:最後に残ったものには幸運がある
料理の最後の一盛り(helping)を指す言葉で、日本のことわざとほぼ同じ状況を表す慣用表現です。

  • 例文:
    I took the last piece of cake. There is luck in the last helping.
    ケーキの最後の一切れをもらったら一番大きかった。残り物には福があるね。

Good things come to those who wait.

意味:待つ者には良いことがやってくる
すぐに結果を求めず、焦らずに待つことができる人のもとには、最終的に良い結果が訪れるという教訓です。

  • 例文:
    Be patient. Good things come to those who wait.
    焦らないで。待てば良いことがあるから。

日本独自の文化「残り福」

「残り物には福がある」という言葉を体現するような文化が、関西地方を中心とした神社の行事「十日戎(とおかえびす)」に見られます。

十日戎は毎年1月9日の「宵戎(よいえびす)」、10日の「本戎(ほんえびす)」、11日の「残り福」という3日間にわたって行われるお祭りです。
最終日である11日にもかかわらず、福を求めて多くの参拝者が訪れます。

あえて最後の日に福を授かることで、さらに大きなご利益にあやかれるという庶民の信仰心が表れています。
言葉だけでなく、実際の行事としても「最後に残った福」を大切にする日本ならではの価値観です。

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