意味
「栴檀は双葉より芳し(せんだんはふたばよりかんばし)」とは、将来大きく成功するような優れた人物は、子供の頃からすでに並外れた才能や素質の片鱗を見せているものである、という意味です。
「栴檀」は香木の代表格であり、芽を出したばかりの「双葉」の時点ですでに独特の素晴らしい香りを放つとされることに由来します。
語源・由来
「栴檀は双葉より芳し」の語源は、香木として名高い白檀(びゃくだん)の性質に基づいています。
本来、日本で「センダン」と呼ばれる植物は別種ですが、このことわざで指すのはインド原産の「白檀」のことです。
白檀は成長すると非常に高価で芳醇な香りを持つ木で、ことわざは、その香りが芽吹いたばかりの双葉のころから漂うものとして言い表しています。
この見立てが、人間の才能に例えられるようになりました。

使い方・例文
「栴檀は双葉より芳し」は、若くして特定の分野で頭角を現した人を称賛したり、子供の将来性に期待を寄せたりする場面で使われます。
- 幼少期から語学に秀でていた兄は、栴檀は双葉より芳しと言われ今では外交官だ。
- 小学生で全国大会を制した彼女は、栴檀は双葉より芳しという言葉がぴったりだ。
- 五歳にして大人顔負けの絵を描くとは、まさに栴檀は双葉より芳しだ。
類義語・関連語
「栴檀は双葉より芳し」と似た意味を持つ言葉には以下のようなものがあります。
- 竜は一寸にして昇天の気あり(りゅうはいっすんにしてしょうてんのきあり):
英雄や豪傑となる人物は、幼い頃から人並み外れた気概を持っているというたとえ。 - 蛇は寸にして人を呑む(じゃはすんにしてひとをのむ):
優れた才能を持つ者は、幼い時からすでに人を圧倒するような気迫を備えているというたとえ。 - 三つ子の魂百まで(みつごのたましいひゃくまで):
幼い頃の性格や性質は、年老いても変わらないという意味。
対義語
「栴檀は双葉より芳し」とは対照的な意味を持つ言葉は以下の通りです。
- 大器晩成(たいきばんせい):
大きな器が完成するまでに時間がかかるように、真に偉大な人物も大成するまでには長い年月を要するということ。 - 遅咲き(おそざき):
人より遅れて才能が開花したり、世に認められたりすること。
英語表現
「栴檀は双葉より芳し」に近い英語の句には、以下のものがあります。
The child is father of the man
「子供は大人の父である」
イギリスの詩人ワーズワースの詩の一節で、大人になってからの性格や能力は、子供の頃の姿にすでに表れているという意味で使われます。
誰についても言える句で、「栴檀は双葉より芳し」のように優れた人物に限った言い方ではありません。
Observing his leadership at school, I truly feel the child is father of the man.
(学校での彼の指導力を見ていると、まさに子供は大人の父であると感じる。)
『平家物語』の平重盛、息子を叱る言葉に「栴檀は双葉より」
このことわざは、『平家物語』巻一の「殿下乗合」に出てきます。
平重盛の次男の資盛は、鷹狩りの帰りに摂政の行列と行き合いながら馬を下りず、その従者に馬から引きずり落とされました。
父の重盛は、非は息子の側にあるとして、こう叱っています。
凡そは資盛奇怪なり。栴檀は二葉よりかうばしとこそ見えたれ。既に十二三にならむずる者が、今は礼儀を存知してこそふるまふべきに
(そもそも資盛がけしからん。栴檀は二葉のときから香りがよいというではないか。もう十二、三歳になる者なら、礼儀をわきまえてふるまうべきなのに)
重盛はこのあと、資盛をしばらく伊勢の国へ遠ざけました。
見込みのある子なら幼くても礼儀をわきまえているはずだ、という理屈で、「栴檀は双葉より芳し」を褒め言葉でなく叱る言葉として使っています。















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