人混みの中にいても、なぜか一際目を引く存在感。
普段は目立たない場所で黙々と取り組んでいる人が、ふとした瞬間に誰もが驚くような実力を発揮する。
そんな、本物の才能が持つ隠しきれない輝きを、
「瑠璃も玻璃も照らせば光る」(るりもはりもてらせばひかる)と言います。
優れた素質は、どのような環境にあっても決して埋もれることはありません。
意味・教訓
「瑠璃も玻璃も照らせば光る」とは、優れた才能や素質を持つ人は、どこにいても目立ち、機会さえあれば必ずその真価を発揮するということの例えです。
- 瑠璃(るり):
深く鮮やかな青色をした宝石(ラピスラズリ)。 - 玻璃(はり):
透き通った水晶やガラス。
どちらも極めて貴重な宝物であり、光を当てることでその美しさがより一層際立ちます。
真の実力者は、平時には平凡な人々に紛れているように見えても、いざという場面ではその輝きを隠しきれないという教訓を伝えています。
語源・由来
「瑠璃も玻璃も照らせば光る」の由来は、仏教における貴重な七つの宝「七宝(しっぽう)」に数えられる宝石の性質にあります。
瑠璃(ラピスラズリ)と玻璃(水晶)は、古代からその希少性と美しさで重宝されてきました。
広く定着した背景には、江戸時代に普及した「江戸いろはかるた」の読み札に採用されたことがあります。
「る」の札として選ばれたことで、子供から大人まで親しまれる言葉となりました。
特定の歴史的事件や人物に由来する物語はありません。
宝石に光を当てれば輝き出すという物理的な特性を、人間の才能に重ね合わせた比喩表現です。
使い方・例文
特別な才能を持つ人がその実力を示した場面や、隠れた逸材が見出された時に用いられます。
第三者の才能を称える際に適しており、特に「意外な場所で実力が発揮された」という文脈でよく使われます。
例文
- 控えめな彼女が文化祭の合奏で見せた見事な指揮は、まさに「瑠璃も玻璃も照らせば光る」そのものだった。
- 「君のような逸材がこんな地方の支店にいたとは。瑠璃も玻璃も照らせば光るというが、本当に驚いたよ」
- 補欠だった彼が代打で決定的な一打を放った。瑠璃も玻璃も照らせば光る、日頃の努力が証明された瞬間だ。
- 「あの新人は独学でプログラミングを習得したらしい。瑠璃も玻璃も照らせば光る、早く重要な開発を任せてみたいものだ」
誤用・注意点
すでに「完成された優れた才能」を持っている人に対して使うのが本来の形です。
「努力すればいつか光る(大器晩成)」という、将来への期待を主目的とする意味とは、厳密にはニュアンスが異なります。
優れた才能を称える言葉であるため、自分自身を指して「私は瑠璃も玻璃も照らせば光る人間です」と述べるのは、自慢げで傲慢な印象を与えるため避けましょう。
類義語・関連語
「瑠璃も玻璃も照らせば光る」と似た意味を持つ言葉は、「隠しきれない才能」に焦点を当てたものが多く見られます。
- 嚢中の錐(のうちゅうのきり):
優れた人は、袋の中のきりが突き抜けてくるように、自然と周囲に知れ渡ること。 - 頭角を現す(とうかくをあらわす):
大勢の中で、才能や技量が一段と抜きん出て目立つようになること。 - 掃き溜めに鶴(はきだめにつる):
むさ苦しい場所に、似つかわしくないほど際立って優れたものが現れること。 - 錐の嚢中に処るが如し(きりののうちゅうにおるがごとし):
優れた人物は、無名のうちにあっても自然と目立ってくること。
対義語
「瑠璃も玻璃も照らせば光る」とは対照的な意味を持つ言葉には、才能が長続きしない様子や、平凡なものを指す言葉が該当します。
- 十で神童、十五で才子、二十過ぎれば只の人
(とおでしんどうじゅうごでさいしはたちすぎればただのひと):
幼い頃に天才と呼ばれても、成長するにつれて凡人になってしまうこと。 - 瓦礫(がれき):
値打ちのない石ころや、ありふれた平凡なものの例え。
英語表現
「瑠璃も玻璃も照らせば光る」を英語で表現する場合、良いものは放っておいても知れ渡るというニュアンスの表現が適しています。
Genius will out
- 意味:「才能は自ずと現れる」
- 解説:人の持つ才能や優れた性質は、隠そうとしても最終的には必ず表に出てくるという意味の定型句です。
- 例文:
Despite his humble beginnings, genius will out in the end.
(控えめな始まりであっても、最後にはその才能が自ずと現れることだろう。)
Good wine needs no bush
- 直訳:良いワインに(宣伝用の)杉の枝はいらない。
- 意味:「良いものに宣伝はいらない」
- 解説:品質の良いものは、わざわざ宣伝しなくても人々が自然に気付いて集まってくることを意味します。
- 例文:
His skills are so exceptional that good wine needs no bush.
(彼の技術は非常に卓越しており、宣伝などしなくても誰もが認めている。)
瑠璃と玻璃の背景
宝石に使われる「瑠璃(ラピスラズリ)」と「玻璃(水晶)」は、古代から単なる装飾品以上の価値を持っていました。
瑠璃の深い青は、夜空や宇宙の神秘を感じさせるものとして、王族の装身具や寺院の装飾に重用されました。
一方の玻璃は、その曇りのない透明度から「清らかな心」の象徴とされてきました。
宝石が持つ「色」と「透明感」という異なる魅力を対峙させているのが、この言葉の妙と言えます。
個性が異なっても、それぞれが本物の輝きを持っていれば、きっかけ(光)を得た時に必ず人々の目を引く。
自分の個性を信じて磨くことの大切さが込められていると言えるでしょう。
まとめ
本物の才能は、どんなに静かな場所に置かれていても、いつか必ず見出される運命にあります。
「瑠璃も玻璃も照らせば光る」という言葉は、他人と競うこと以上に、自分の中にある「宝石」を磨き続けることの重要性を説いています。
結果がすぐに出ない時でも、ひたむきに実力を蓄えていれば、光が当たった瞬間に放つ輝きは誰にも遮ることができません。
自分自身の可能性を信じ、その時を待つ強さを持ちたいものと言えるかもしれません。








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