ことわざ 故事成語

山高きが故に貴からず

(やまたかきがゆえにたっとからず)

外見や肩書きの立派さよりも、中身や実力が備わっていることが重要だという教え。


15文字の言葉 / 「や」から始まる言葉
山高きが故に貴からず ことば
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意味

「山高きが故に貴からず(やまたかきがゆえにたっとからず)」とは、外見や地位が立派なだけで、中身が伴っていないものは尊いとは言えないという意味です。

どれほど標高が高い山であっても、岩ばかりで草木も生えていないようでは、山としての真の価値(豊かさ)があるとは言えません。
この比喩を人間に当てはめ、どれほど外見を飾り立て、高い役職に就いていたとしても、人間性や知識、実力が伴っていなければ、周囲から心から尊敬されることはないという教訓を含んでいます。

表面的な形式にとらわれず、本質的な実質を磨くことの重要性を説く言葉です。

語源・由来

「山高きが故に貴からず」の由来は、平安時代の終わりごろから教科書として用いられた『実語教じつごきょう』の一節にあります。

『実語教』は、かつて寺子屋などで子供たちが道徳を学ぶための教科書として広く親しまれていました。
その冒頭にある、次の一節が語源です。

山高故不貴 以有樹為貴
(山は高いから貴いのではなく、樹が生えているから貴いのである)

山が高いだけで価値が決まるのではない。
木が生い茂っていてこそ山は尊いのだ、という教えが、そのままことわざとして定着しました。

使い方・例文

「山高きが故に貴からず」は、肩書きや外見に惑わされている人を諭すときや、自分自身が本質を見失わないように戒める場面で使われます。
ビジネスシーンだけでなく、学校生活や家庭など、広い人間関係の中で用いられる表現です。

例文

  • 有名進学校に入ったが、勉強しなければ山高きが故に貴からずだ。
  • 「山高きが故に貴からずというし、肩書きより実力のある人を採用しよう」
  • 高級な道具を揃えるより先に技術を磨くのが、山高きが故に貴からずの教えだ。

類義語・関連語

「山高きが故に貴からず」と似た意味を持つ言葉には、以下のようなものがあります。

  • 人は見かけによらぬもの(ひとはみかけによらぬもの):
    外見だけではその人の本当の性格や能力は判断できないということ。
  • 玉磨かざれば光なし(たまみがかざればひかりなし):
    どんなに優れた素質があっても、努力して自分を磨かなければ立派な人物にはなれないこと。
  • 見かけ倒し:
    外見は立派に見えるが、実際の中身や実力はそれに及ばないこと。
  • 看板に偽りあり(かんばんにいつわりあり):
    宣伝や見かけが立派でも、実際の内容が伴っていないこと。
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対義語

「山高きが故に貴からず」とは対照的な意味を持つ言葉には、以下のようなものがあります。

  • 名は体を表す(なはたいをあらわす):
    名前とそのものの実体や性質がよく一致していること。
  • 名実相伴う(めいじつあいとなう):
    評判や名声と、実際の実力がぴったりと合っていること。
  • 看板に偽りなし:
    評判や広告の通り、中身もしっかりと優れていること。

英語表現

「山高きが故に貴からず」を英語で表現する場合、外見による判断を戒める以下のイディオムが使われます。

Don’t judge a book by its cover

直訳は「本を表紙で判断するな」で、外見や表面的な情報だけで物事の本質を決めつけてはいけないという、最も一般的な表現。

Don’t judge a book by its cover. He might look scary, but he is very kind.
(本を表紙で判断してはいけない。彼は怖そうに見えるが、とても優しいよ。)

All that glitters is not gold

直訳は「光るものすべてが金とは限らない」で、見た目がキラキラと輝いて価値がありそうに見えても、中身が本物であるとは限らないという表現。

I bought a cheap watch that looked expensive, but it broke in a week. All that glitters is not gold.
(高級そうに見える安い時計を買ったが、一週間で壊れた。光るものがすべて金とは限らないね。)

「山高きが故に貴からず」に続く句は人と知恵のたとえ

『実語教』は、「山高きが故に貴からず、樹有るを以て貴しとす」の後に、「人肥えたるが故に貴からず、智有るを以て貴しとす」と続きます。
人は体格が立派だから尊いのではなく、知恵があってこそ尊いという意味で、山と人の二つのたとえを並べた対句になっています。

同じ『実語教』の少し後には、「玉磨かざれば光なし」と同じ句「玉不磨無光」も出てきます。

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