春の光を浴びて、桜、梅、桃、李(すもも)が、それぞれの彩りと香りを持ち、競い合うことなく自身の花を咲かせる。
どの花も隣を羨むことなく、天与の個性を最大限に輝かせる情景があります。
自分自身の持てる才能をありのままに発揮し、磨き上げていく尊さを、「桜梅桃李」(おうばいとうり)と言います。
意味・教訓
「桜梅桃李」とは、桜、梅、桃、李の四つの花が、それぞれ独自の美しさを持ち、他と比較することなく自分らしく咲き誇る様子を指します。
転じて、他者の真似をするのではなく、自分の個性を磨き、自分自身の良さを生かして輝くべきだという教訓を込めた言葉です。
- 桜(さくら):春を象徴する華やかな花。
- 梅(うめ):厳しい冬を耐えて、気高く香る花。
- 桃(もも):ふっくらと愛らしく、親しみやすい花。
- 李(すもも):白く清らかで、凛とした佇まいの花。
語源・由来
「桜梅桃李」の由来は、鎌倉時代の仏教の教えに基づくとされています。
日蓮の講義をまとめた『御義口伝』(おんぎくでん)という文献の中に、「桜梅桃李の己々の当体(とうたい)を改めずして」という一節が登場します。
これは、それぞれの草木が本来持っている性質を変えることなく、そのままの姿で悟りを開くことを説いたものです。
特定の物語があるわけではありませんが、四つの花を並べることで、多様性と自己肯定の重要性を視覚的に表現しています。
古くから日本人の美意識や精神性を支える考え方として親しまれてきました。
使い方・例文
「桜梅桃李」は、自分らしさを肯定する場面や、個性を尊重し合う教育、あるいは他人の才能に嫉妬しそうな自分を律する際などに用いられます。
例文
- 「桜梅桃李」の精神で、自分の得意分野を伸ばす。
- 各自の良さを認める「桜梅桃李」の教育を行う。
- 「桜梅桃李」という言葉を座右の銘に選ぶ。
- チーム全員が「桜梅桃李」のごとく個性を発揮する。
類義語・関連語
「桜梅桃李」と似た意味を持つ言葉には、以下のようなものがあります。
- 十人十色(じゅうにんといろ):
考えや好みが人によってそれぞれ異なること。 - 三者三様(さんしゃさんよう):
人によってやり方や考え方がそれぞれ違うこと。 - 独立独歩(どくりつどっぽ):
他人に頼らず、自分の信じる道を自分の力で進んでいくこと。
対義語
「桜梅桃李」とは対照的な意味を持つ言葉は以下の通りです。
英語表現
「桜梅桃李」を英語で表現する場合、個性の尊重や自己肯定に焦点を当てた表現が適しています。
To each their own
意味:人それぞれ好みや考えがある
- 例文:
Everyone has a different style. To each their own.
人にはそれぞれのスタイルがある。まさに桜梅桃李だ。
Every flower is beautiful in its own way
意味:どの花も、それぞれの方法で美しい
- 例文:
Don’t compare yourself with others; every flower is beautiful in its own way.
他人と比較してはいけません。どの花もそれぞれの美しさがあります。
まとめ
「桜梅桃李」は、自分と誰かを比べて焦る必要はないと教えてくれる言葉です。
桜が梅になろうとしても、それは不可能です。大切なのは、自分という花をどう美しく咲かせるか。
他人の花を羨むのではなく、自分の持つ色と香りを信じて、精一杯咲かせること。
その先に、本当の充実があるのではないでしょうか。






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