尻馬に乗る

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慣用句
尻馬に乗る
(しりうまにのる)

7文字の言葉し・じ」から始まる言葉

誰かが悪口を言い始めると、事情もよく知らないのに一緒になって文句を言う。
クラスや職場で一人が騒ぎ出すと、周りもつられてワッと騒ぎ出す。

このように、自分の考えを持たず、他人の言動に軽はずみに同調してしまうことを
「尻馬に乗る」(しりうまにのる)と言います。

意味

「尻馬に乗る」とは、自分独自の考えがなく、他人の言動に便乗して軽率に行動することのたとえです。

  • 無批判な同調
    相手の意見が正しいかどうかを深く考えず、ただ「みんながやっているから」「あの人が言っているから」という理由だけでついていくこと。
  • ネガティブな評価
    主体性がなく、お調子者であるという批判的な意味で使われます。

語源・由来

「尻馬に乗る」の由来は、馬の習性にあります。

馬は群れで行動する動物であり、前の馬(先馬)が走り出すと、後ろの馬も理由がわからないまま、つられて一緒に走り出す性質があります。この「先頭の馬についていく馬」のことを「尻馬」と呼びます。

  • 尻馬:他人の乗る馬の後ろについて走る馬のこと。

前の馬の尻を追いかけて、わけもなく走り出す馬の様子を、主体性なく他人の後をついていく人間の行動に重ね合わせたのがこの言葉です。
※「一頭の馬のお尻の方(二人乗り)に乗せてもらう」という意味ではありません。

使い方・例文

「尻馬に乗る」は、主に批判や悪口、流行などに無責任に加担する人に対して使われます。
特に近年では、インターネット上の炎上やデマの拡散などで、この心理状態が見られることが多くなっています。

例文

  • 彼はいつも課長の意見に「尻馬に乗って」、一緒になって部下を説教するから質が悪い。
  • ネットの噂を信じて、「尻馬に乗って」誹謗中傷に加担してはいけない。
  • クラスの騒ぎに「尻馬に乗って」ふざけていたら、自分まで先生に怒られてしまった。

文学作品・メディアでの使用例

『坊っちゃん』(夏目漱石)

ほかの連中はみんな尻馬に乗ってわあわあ云うばかりだ。

解説:
事情もわからず、周りの雰囲気に流されて騒ぎ立てる生徒たちの無責任な様子を描写しています。

類義語・関連語

「尻馬に乗る」と似た意味を持つ言葉には、以下のようなものがあります。

  • 付和雷同(ふわらいどう):
    自分にしっかりした考えがなく、むやみに他人の説に同調すること。「雷が鳴ると万物がそれに呼応する」という意味から。
  • 提灯を持つ(ちょうちんをもつ):
    頼まれもしないのに、他人の手先に使われてその人を褒め立てたりすること。
  • 便乗(びんじょう):
    他人の乗り物に一緒に乗ること。転じて、他人の機会や流行をちゃっかり利用すること。

「勝ち馬に乗る」との違い

よく似た言葉に「勝ち馬に乗る」がありますが、意味は大きく異なります。

尻馬に乗る(愚か・軽率)

  • 行動原理:何も考えていない。「みんなが走るから走る」。
  • ニュアンス:主体性がなく、お調子者。結果として失敗することもある。

勝ち馬に乗る(賢い・処世術)

  • 行動原理:計算している。「こっちが強そうだから味方する」。
  • ニュアンス:情勢を見極める目がある。有利な側につくという戦略的な行動。

対義語

「尻馬に乗る」とは対照的な、自分の信念を持って行動する様子を表す言葉です。

  • 独立独歩(どくりつどっぽ):
    他人に頼らず、自分の信じる道を行くこと。
  • 定見を持つ(ていけんをもつ):
    物事に対する一定の変わらない考えを持っていること。
  • 主体性(しゅたいせい):
    自分の意志・判断で行動する態度。

英語表現

「尻馬に乗る」を英語で表現する場合、他人の真似をする、あるいは流行に乗るというフレーズを使います。

follow suit blindly

  • 意味:「盲目的に人の真似をする(前例に倣う)」
  • 解説:”follow suit” はトランプで前の人と同じマークの札を出すことから「先例にならう」の意味。”blindly”(盲目的に)をつけることで、何も考えずに従うニュアンスが出ます。

jump on the bandwagon

  • 意味:「時流に乗る、多勢に加担する」
  • 解説:パレードの先頭を行く楽隊車(bandwagon)に飛び乗ることから。
    有利な側につく(勝ち馬に乗る)意味でも使われますが、流行や騒ぎに便乗する文脈でもよく使われます。

まとめ

「尻馬に乗る」行動は、一見すると集団に溶け込んでいるようでいて、実は自分の頭で考えることを放棄しています。

誰かが走り出したとき、一緒になって走り出す前に「本当にそれは正しいのか?」と立ち止まって考えること。それが、情報の波に飲み込まれないための手綱となるはずです。

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