三者三様

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四字熟語
三者三様
(さんしゃさんよう)

8文字の言葉さ・ざ」から始まる言葉
三者三様 【個別】ことわざ・慣用句・四字熟語

同じお題で絵を描いても、繊細な線、大胆な色使い、驚くような構図と、仕上がりは人によって全く異なります。
それぞれが持つ個性や、物事のあり方が一つとして同じでない状況を、
「三者三様」(さんしゃさんよう)と言います。

意味・教訓

「三者三様」とは、人や物事のあり方が、それぞれに違っていることを意味する四字熟語です。
三人いれば三通りの、百人いれば百通りの考え方ややり方があるという多様性を肯定的に捉える言葉として使われます。

  • 三者(さんしゃ):三人の人。または、いくつかの異なる対象。
  • 三様(さんよう):三つの異なるありさま。三つのやり方。

三人それぞれが異なる様子から転じて、個々の独立した個性や、画一的ではない状態そのものを指すようになりました。

語源・由来

「三者三様」には特定の古典や逸話に基づいた出典はありません。
文字通り「三人いれば三つの様(さま)がある」という、見たままの状況を表す言葉として自然に生まれ、定着したと考えられます。

ここで使われている「三」という数字は、具体的な「三人」だけを指すのではありません。
古来、日本語において「三」は「満ちる」や「たくさん」を象徴する数でもあり、「複数のものが集まれば、自ずと違いが生じる」という普遍的な真理を表しています。
江戸時代の文献などでも、人々の個性が異なることを示す表現として、同様の構成を持つ言葉が用いられてきました。

使い方・例文

「三者三様」は、意見の対立を批判するのではなく、個性の豊かさを認める文脈でよく使われます。
家庭、学校、趣味の場など、多様な個性が集まる場面に適した表現です。

例文

  • 自由研究のテーマを選ばせたところ、昆虫採集から星の観察まで、まさに「三者三様」だった。
  • 卵焼きの味付けは家庭によって「三者三様」で、甘い派もいれば塩辛い派もいる。
  • 同じ趣味を持つ仲間でも、その楽しみ方は「三者三様」だと言える。
  • 会議では「三者三様」の意見が出たが、最終的には一つの案にまとまった。

文学作品・メディアでの使用例

『惜別』(太宰治)

戦時中に執筆されたこの作品の中で、登場人物たちの個別の運命やあり方を描写する際にこの言葉が使われています。

それらの人々も、いまはもう、三者三様、それぞれその生涯が決定せられて、この世にいない人もあれば、或いは日本のどこかの片隅で、……

類義語・関連語

「三者三様」と似た意味を持つ言葉には、数や対象の広がりによっていくつかのバリエーションがあります。

  • 十人十色(じゅうにんといろ):
    考えや好みが人によって千差万別であること。
  • 各人各様(かくじんかくよう):
    一人ひとりがそれぞれのやり方や考えを持っていること。
  • 千差万別(せんさばんべつ):
    種類や状態が非常に多く、それぞれに異なっていること。
  • 百家争鳴(ひゃっかそうめい):
    多くの人が遠慮なく自由に議論し、自説を発表すること。

対義語

「三者三様」とは対照的な意味を持つ言葉は、すべてが同じで区別がつかない様子を表します。

  • 千篇一律(せんぺんいちりつ):
    どれも同じようで変化がなく、個性が感じられないこと。
  • 金太郎飴(きんたろうあめ):
    どこを切り出しても同じ顔が出る飴のように、どれも一様で個性がないことのたとえ。
  • 画一的(かくいつてき):
    個々の事情を考慮せず、すべてを一様にそろえてしまうこと。

英語表現

「三者三様」を英語で表現する場合、人それぞれの好みや多様性に焦点を当てたフレーズが使われます。

Different strokes for different folks

  • 意味:「人それぞれ好みややり方が違う」
  • 解説:直訳すると「人によって筆の運びが違う」となり、個性の違いを認めることわざとして使われます。
  • 例文:
    Some people like jazz and some like rock. Different strokes for different folks.
    (ジャズが好きな人もいればロックが好きな人もいる。まさに三者三様だ。)

Each in their own way

  • 意味:「それぞれがそれぞれのやり方で」
  • 解説:個々の独自性や手法を肯定的に捉える際に用いられる自然な表現です。
  • 例文:
    They both succeeded, each in their own way.
    (二人はそれぞれ三者三様のやり方で成功を収めた。)

豆知識:十人十色との使い分け

「三者三様」と非常によく似た言葉に「十人十色」があります。
どちらも「人それぞれ」という意味ですが、微妙なニュアンスの違いがあります。

「十人十色」は、主に「好み、性格、価値観」といった、目に見えにくい内面的な違いに使われることが多いのが特徴です。
一方、「三者三様」は内面に限らず、「方法、スタイル、行動、現在の状況」といった、具体的なありさまや形式の違いを指す際にもよく用いられます。

例えば、三人で別々の道へ進むときには「三者三様の人生」と言うほうがしっくりきます。
言葉の響きや文脈に合わせて、より具体的な様子を伝えたい時に「三者三様」を選ぶと、より深みのある表現になります。

まとめ

「三者三様」は、人や物事がそれぞれ独自のあり方を持っていることを示す、温かみのある言葉です。
「三」という数字が示す通り、複数が集まればそこには必ず違いが生まれるのが自然な姿と言えるでしょう。

すべてを同じ形に整えるのではなく、個々の違いをそのまま受け入れることで、世界はより彩り豊かなものになります。
自分と他人の違いを感じたとき、この言葉を思い浮かべることで、互いの個性を尊重する余裕が生まれることでしょう。

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