意味
「千篇一律(せんぺんいちりつ)」とは、多くの物事がどれも同じ調子で、変化がなくおもしろみがないことを表す言葉です。
「独創性がない」「型にはまっていて退屈だ」といった否定的な評価を下す際に用いられます。
「千篇一律」を構成する言葉の意味は以下の通りです。
- 千篇(せんぺん):千の詩篇。転じて、非常に多くの詩や文章のこと。
- 一律(いちりつ):一つの調子。どれも同じやり方であること。
もともとは多くの詩を読んでも、どれも似たようなリズムや内容ばかりであることを批判した言葉です。
語源・由来
「千篇一律」の由来は、中国の明の時代に書かれた文学批評書『芸苑巵言』に求められます。
著者の王世貞が、唐の詩人・白楽天の晩年の詩を「千篇一律」と評しました。
かつては詩や文章の質を問う言葉でしたが、現在では音楽、映画、ビジネスモデル、あるいは人の考え方など、幅広い対象に対して「代わり映えがしない」という意味で使われています。
使い方・例文
「千篇一律」は、作品やアイデアが型にはまっていて、新鮮な驚きが全くない状況を批判的に述べる場面で使われます。
例文
- 千篇一律な回答ではなく、君自身の言葉で話してほしい。
- 彼のスピーチはいつも千篇一律で、聞く人を退屈させる。
- どの店も似た品揃えで千篇一律な商店街になってしまった。
類義語・関連語
「千篇一律」と似た意味を持つ言葉には、以下のようなものがあります。
- 画一的(かくいつてき):
すべてが同じ枠組みに当てはめられ、個性や変化がない様子。 - 金太郎飴(きんたろうあめ):
どこを切っても同じ顔が出てくる飴のように、どれも同じで代わり映えしないこと。 - 旧態依然(きゅうたいいぜん):
古い状態のままで、少しも進歩や変化が見られないこと。 - 一本調子(いっぽんちょうし):
強弱や変化がなく、最初から最後まで同じ調子が続くこと。
対義語
「千篇一律」とは対照的な意味を持つ言葉は、以下の通りです。
- 千差万別(せんさばんべつ):
多くのものが、それぞれ千も万も違うほど多様であること。 - 多種多様(たしゅたよう):
種類や性質がさまざまで、一つとして同じものがないこと。 - 十人十色(じゅうにんといろ):
考え方や好みが、人によってそれぞれ異なっていること。
英語表現
「千篇一律」を英語で表現する場合、以下のようなフレーズが使われます。
monotonous
意味:単調な、変化のない
声や仕事などが、ずっと同じ調子で続いていて飽き飽きする様子を指します。
He has a monotonous voice.
(彼は千篇一律な声をしている。)
cookie-cutter
意味:画一的な、型に押したような
クッキーの型抜き(cookie cutter)のように、どれも全く同じ形に作られていることを揶揄する表現です。
They live in a row of cookie-cutter houses.
(彼らは千篇一律な住宅街に住んでいる。)
千篇一律と評されたのは白楽天の晩年の詩
『芸苑巵言』巻四で王世貞は、唐の詩人・白楽天(白居易)の詩について、次のように書いています。
用語流便,使事平妥,固其所長,極有冗易可厭者。少年與元稹角靡逞博。意在警策痛快,晚更作知足語,千篇一律。
(言葉の運びがなめらかで、故事の使い方も穏当なのは、もとより長所である。ただ、ひどく冗長で安易な、うんざりさせるものもある。若い頃は元稹と華やかさや博識を競い、胸に響く痛快さを狙ったが、晩年はさらに足るを知る心境の詩を作り、どれも同じ調子になった。)
王世貞は、言葉の分かりやすさは長所と認めたうえで、晩年の作を「千篇一律」と評しています。
白楽天は平易な言葉で書き、日本でも『源氏物語』や『枕草子』に引かれるほど読まれた詩人です。











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