意味
「風が吹けば桶屋が儲かる(かぜがふけばおけやがもうかる)」とは、ある事象がきっかけとなり、全く関係のないと思われるところにまで影響が及ぶことのたとえです。
また、ほとんど見込みのないことに望みをかけることのたとえとしても使われます。
現代では、起こる見込みの低い因果関係を無理につなぎ合わせた理屈を、こじつけだと皮肉る場合にも用いられます。
語源・由来
「風が吹けば桶屋が儲かる」の由来は、江戸時代の浮世草子などに記された、風から桶屋に至るまでの突拍子もない連鎖反応にあります。
以下の6つのステップが連鎖の正体です。
- 大風が吹いて土ぼこりが舞い、人々の目に入って目を病む人が増える。
- 視力を失った人が、当時視覚障害者の代表的な職業だった三味線弾きを志す。
- 三味線の胴に張る皮の需要が増え、材料となる猫が乱獲されて減る。
- 天敵がいなくなったことで、ネズミが街中に溢れる。
- 増えたネズミが家々の桶をかじり、使い物にならなくする。
- 桶の買い替え需要が急増し、結果として桶屋が商売繁盛する。

使い方・例文
予期せぬ連鎖反応を指すときや、説明が飛躍しすぎている場面で使われます。
「風が吹けば桶屋が儲かる式の」「風が吹けば桶屋が儲かるような」の形で、当てにならない理屈や期待を評して使うことも多い言葉です。
例文
- 遠い国の干ばつで飼料が値上がりし、近所の牛丼まで値上げになった。風が吹けば桶屋が儲かるとはこのことだ。
- それは風が吹けば桶屋が儲かる式の、あまりに飛躍した論理にすぎない。
- 広告を増やせばいずれ株価も上がるというのは、風が吹けば桶屋が儲かるような期待だ。
誤用・注意点
「風が吹けば桶屋が儲かる」は、本人に向かってその意見を「こじつけだ」と批判する文脈で使うと失礼にあたります。
また、「棚からぼたもち」のような単なる幸運とは異なります。
あくまで「Aが起きたからBが起き、結果としてCになった」という連鎖のプロセスが存在する場合にのみ使用するのが適切です。
類義語・関連語
「風が吹けば桶屋が儲かる」と似た意味を持つ言葉には、以下のようなものがあります。
- バタフライ効果:
小さな変化が、遠く離れた場所で大きな現象を引き起こすという気象学上の概念です。 - 瓢箪から駒(ひょうたんからこま):
意外なところから意外なものが出てくること、冗談が誠になることを言います。
対義語
「風が吹けば桶屋が儲かる」とは対照的な意味を持つ言葉には、以下のようなものがあります。
- 火を見るよりも明らか(ひをみるよりもあきらか):
結果がどうなるか、わざわざ確かめるまでもなく明白であることを言います。
英語表現
「風が吹けば桶屋が儲かる」を英語で表現する場合、連鎖反応や意外な因果関係に注目した表現が使われます。
Butterfly effect
カオス理論の用語で、日本語でも「バタフライ効果」として定着しています。
「バタフライ効果」とは、微小な変化が大きな結果を招く現象のことです。
A simple typo led to a market crash, just like the butterfly effect.
(単純な打ち間違いが市場の暴落を招いた。まさにバタフライ効果だ。)
原典では桶屋ではなく「箱屋」だった
この連鎖が載っているのは、1768年(明和5年)に無跡散人が著した浮世草子『世間学者気質』です。
原文をたどると、大風で土ぼこりが目に入り盲人が増える、三味線の需要が増えて猫の皮が使われ猫が減る、鼠が増えて物をかじる、という四段ほどの流れで結ばれています。
もっとも原文で鼠がかじるのは「箱の類」で、続けて「爰で箱屋をしたらば大分よかりそふなもの」(ここで箱屋を始めればだいぶ儲かりそうだ)と思案するくだりになっています。
桶ではなく箱、桶屋ではなく箱屋だったわけです。
今のような「桶屋」の形でいつから知られるようになったかは、はっきりしていません。









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