【考察】「牛乳は、飲むだけの人より運ぶ人の方が健康になる」はことわざ?名言?意味や由来を解説

牛乳は、飲むだけの人より運ぶ人の方が健康になる 【特集】ことわざ・慣用句・四字熟語
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「牛乳は、飲むだけの人より、運ぶ人のほうが健康になる」

こんな言葉を聞いたことはありますか?

ことわざとして語られることもありますが、有名なスポーツ指導者の名言として紹介されたり、あるいは比較的新しい格言のような性質も持っていたりする、少し不思議な言葉です。

牛乳は健康に良いはずなのに、なぜ飲むだけの人より運ぶ人の方が健康になるのでしょうか。

この記事では、この興味深い言葉が持つ意味や由来、そして現代にも通じる教訓について分かりやすく解説していきます。

この言葉が伝える2つの意味

この言葉には、大きく分けて二つの意味が込められています。
一つは文字通りの健康に関する意味、もう一つはもっと広い、人生の教訓とも言える比喩的な意味です。

意味1:体を動かすことの大切さ(文字通りの解釈)

まず、一番分かりやすいのは健康に関する解釈です。

昔の牛乳配達は、重い牛乳瓶がたくさん入った箱を運び、自転車をこいだり、坂道を歩いたり、かなりの重労働でした。
雨の日も風の日も毎日続けるわけですから、自然と体が鍛えられます。

一方で、牛乳を飲むという行為は、栄養を摂るという点では大切ですが、それだけでは体を動かすことにはなりません。

つまり、この言葉は、「健康のためには、栄養を摂る(牛乳を飲む)だけでなく、実際に体を動かすこと(牛乳を運ぶ)が、より大切である」という、運動の重要性を教えてくれています。

健康食品やサプリメントに頼るだけではなく、日々の活動こそが健康の基本である、というメッセージですね。

意味2:受け身より「行動」することの価値(比喩的な解釈)

この言葉の面白さは、健康の話だけにとどまらない点にあります。
「牛乳を飲む(受け身でいる)」ことと「牛乳を運ぶ(自ら行動する)」ことを対比させて、人生の様々な場面における「能動的な関与」の価値を示唆しているのです。

いくつか例を挙げてみましょう。

  • 勉強:教科書を読む(飲む)だけでなく、問題を解いたり、友達に教えたり(運ぶ)することで、より深く理解できます。
  • 仕事:指示されたことをこなす(飲む)だけでなく、自ら工夫したり、新しい企画を提案したり(運ぶ)することで、成長につながります。
  • 情報:ニュースを見る(飲む)だけでなく、その情報について自分で考えたり、意見を発信したり(運ぶ)することで、社会への関わりが深まります。

このように、ただ受け取るだけでなく、自ら動き、関わっていくことが、知識の習得、仕事の成果、そして人生の充実感において、より大きな価値を生む、とこの言葉は教えているのです。

側面「牛乳を飲む人」(受動的/享受者)「牛乳を運ぶ人」(能動的/貢献者)
健康健康のために牛乳やサプリメントを摂取する肉体労働/活動を通じて健康や体力を獲得する
知識情報を受動的に受け取る/事実を学ぶ知識を能動的に応用・共有・教授する/実践する
仕事/人生商品やサービスを消費する/社会から恩恵を受ける労働力やスキルを提供する/積極的に参加・創造する
幸福外部の解決策を求める/他者や物に依存する努力と関与を通じて回復力や目的意識を構築する

ここでいう「健康になる」というのも、単に体が丈夫になるだけでなく、精神的な強さや問題解決能力、生きる力といった、より広い意味での「健やかさ」を手に入れる、と解釈できるかもしれません。

この言葉はどこから来たの?

この印象的な言葉ですが、その起源は実ははっきりしていません。
ことわざとして語られることもありますが、名言や格言のような性質も持っています。

小出義雄監督の言葉?

「牛乳を飲む人より、牛乳を配る人のほうがよっぽど丈夫だ」

小出 義雄 著『君ならできる』からの抜粋

この言葉は、女子マラソンの高橋尚子選手らを育てた名将、故・小出義雄監督の言葉として紹介されることがあります。

小出監督は、常識にとらわれない厳しいトレーニングで選手を育てたことで知られています。
「理論より実践、努力が大切」という監督の指導方針が、この言葉の精神と重なるため、広まったのかもしれません。
ただし、小出監督が最初に言い出したのかは定かではないようです。

イギリスのことわざ?

「ミルクを飲む人より、運ぶ人のほうが健康になる」

これは、「イギリスのことわざ」と言われることもあるようですが、これを裏付ける確かな証拠を見つけることができませんでした。

民間伝承、あるいは現代の格言?

明確な起源が不明であることから、古くから伝わる厳密な意味でのことわざというよりは、牛乳が一般的に普及し始めた近代以降に広まった言葉(現代の格言や民間伝承のようなもの)と考えるのが自然かもしれません。

「牛乳配達(運ぶ人)」という仕事自体が、明治時代以降、牛乳が日本で飲まれるようになってから生まれたものです。

もともと日本には牛乳を飲む習慣はほとんどありませんでした。
明治時代に入り、西洋文化の影響や栄養改善の目的で牛乳の飲用が奨励され始めましたが、当初はその独特の匂いや味に抵抗を感じる人も少なくなかったようです。
また、値段も非常に高価で、庶民にとっては特別な飲み物、あるいは薬のような位置づけでした。
福沢諭吉や明治天皇が飲用を勧めたり、様々な努力によって徐々に普及し、牛乳配達の仕組みも整っていきました。

もしかしたら、この言葉は、牛乳という新しい健康法(飲むこと)に対して、昔ながらの労働による健康(運ぶこと)の価値を再認識させる教えとして人々の間で語られるようになったのかもしれませんね。

起源がはっきりしないことが、かえってこの言い伝えを特定の人物や時代に縛り付けず、より普遍的な知恵として受け入れやすくしている面もあるでしょう。

「運ぶ人の方が健康になる」は本当か?

では、文字通り「牛乳を運ぶ人は、飲むだけの人より健康になるのか?」という点を考えてみましょう。

昔の牛乳配達は重労働だった

昔の牛乳配達は、ガラス瓶で重かった牛乳を、自転車や徒歩で毎日運ぶ、かなりの肉体労働でした。
これを日々続けることは、確かに健康維持・増進に繋がったと考えられます。
継続的な運動は、心臓や血管を強くし筋力や持久力を高めます。

牛乳の栄養も大切

もちろん、牛乳自体にもカルシウムやタンパク質など、健康維持に必要な栄養素が含まれています。
日本の食生活改善に貢献した面も否定できません。
ただ、現代では乳糖不耐症(牛乳を飲むとお腹がゴロゴロする)やアレルギーの問題、脂肪分の摂りすぎなども指摘されており、牛乳だけが健康の万能薬というわけではありません。

現代社会でも生きる教訓

牛乳配達の仕事は昔と比べて変わりましたが、この言葉が持つ教訓は、現代社会の様々な場面で応用できます。

  • 学び:
    授業を聞いているだけ(飲む)でなく、積極的に質問したり、自分で調べたり、発表したり(運ぶ)する方が、学びは深まります。
  • 仕事や趣味:
    SNSを眺めているだけ(飲む)でなく、自分で何かを発信したり、作品を作ったり、ボランティアに参加したり(運ぶ)する方が、充実感や成長を得られます。
  • 健康:
    簡単なダイエット法やサプリに頼る(飲む)だけでなく、地道に運動を続けたり、食生活を見直したりする(運ぶ)方が、本当の健康につながります。
  • 心の健康:
    悩みを抱えて受け身でいる(飲む)だけでなく、信頼できる人に相談したり、気分転換になる活動をしたり、専門家の助けを借りて問題解決に取り組んだり(運ぶ)する方が、前向きな変化が期待できます。

情報があふれ、簡単に様々なものを消費できる現代だからこそ、「ただ受け取るだけでなく、自ら行動を起こす」ことの価値を、この言葉は改めて教えてくれているのかもしれません。

似ている言葉はある?

この言葉と全く同じものは見当たりませんが、似たような意味を持つことわざや格言は、日本にも海外にも存在します。

日本の類似のことわざ・格言

  • 蒔かぬ種は生えぬ:行動を起こさなければ、結果は得られない。
  • 労して功あり:努力すれば、それに見合った成果がある。

これらは、実践や努力、行動の価値を説く点で共通しています。

海外の類似のことわざ・格言

  • An ounce of practice is worth a pound of preaching.
    (イギリス)
    意味:1オンスの実践は、1ポンドの説教に値する。(言葉より行動が大事)
  • Use it or lose it.
    (英語圏)
    意味:使わなければ(能力などは)失われる。
  • It is more blessed to give than to receive.
    (聖書由来)
    意味:受けるより与える方が幸いである。(与える行為の価値)

文化は違っても、「行動すること」「貢献すること」の価値は、世界共通の知恵と言えそうです。

批判的な視点も忘れずに

この言葉は多くの示唆を与えてくれますが、一方で注意すべき点もあります。

  • 休息も大切:
    行動ばかりを強調すると、休息や、時には助けを受け入れること(飲むこと)の重要性が見過ごされがちです。働きすぎは「健康になる」とは逆の結果を招くことも。
  • 色々な「行動」がある:
    肉体労働だけでなく、頭を使う仕事、創造的な活動も立派な「行動」です。
  • 誰もが同じように「運べる」わけではない:
    病気や様々な事情で、積極的に行動したくてもできない人もいます。そのような状況への配慮も必要です。
  • 単純化しすぎている面も:
    現実はもっと複雑で、「行動」と「受け身」のバランスが大切な場合が多いです。

この言葉は、絶対的な真実というより、「行動することの価値について考えるきっかけを与えてくれる教え」と捉えるのが良いでしょう。

まとめ:「行動」が生み出す本当の「健康」

「牛乳は、飲むだけの人より、運ぶ人のほうが健康になる」

ことわざとして知られることもあれば、名言や格言として語られることもあるこの言葉。

それは、文字通りには健康における運動の重要性を、そして比喩的には、人生における能動的な関与や貢献の価値を教えてくれる、奥深いものでした。

その起源は定かではありませんが、核心にある「受け身でいるより、自ら行動する方が多くの価値を生む」というメッセージは、時代を超えて私たちの心に響きます。

もちろん、休息や他者からの助けを受け入れることも大切です。
しかし、情報やモノが簡単に手に入る現代において、この言葉は、真の「健康」や「健やかさ」は、私たちが何を消費するかだけでなく、私たちが何を「行う」かによってもたらされるという、大切なことを思い出させてくれます。

この記事が、皆さんの健康や日々の過ごし方について考える、一つのきっかけとなれば幸いです。

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