四字熟語

八方美人

(はっぽうびじん)

誰に対しても愛想よく振る舞い、悪く思われないように要領よく立ち回る人。


7文字の言葉 / 「は・ば・ぱ」から始まる言葉
八方美人 ことば
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意味

「八方美人(はっぽうびじん)」とは、誰彼かまわず愛想よく調子を合わせ、嫌われないように器用に立ち回る人のたとえです。

元々は「どこから見ても難点のない美人」という意味で、そこから「誰からも悪く思われないように、如才なく振る舞うこと」を指すようになりました。

しかし、現代では主に「自分の意見がなく、誰にでもいい顔をしていて信用できない」「主体性がない」といった、否定的なニュアンスで使われることがほとんどです。
相手の機嫌を損ねないように立ち回る様子を、皮肉や非難の意味を込めて表現する場合が多いでしょう。

語源・由来

「八方美人」の「八方」は、東西南北とその間の四つの方角を合わせた八つの方角、つまり「あらゆる方向」「周囲全体」を意味します。

「美人」は容姿の美しい人のことで、「八方」と合わせて「どの方向から見ても難点のない美人」を表します。

そこから転じて、「誰に対しても如才なく振る舞うこと」や、そのような人を指すようになりました。

使い方・例文

「八方美人」は主に人間関係の場面で、誰に対してもいい顔をする人を、やや批判を込めて言うときに使われます。
本心を見せず、相手に合わせて態度を変える様子を指すことが多い言葉です。

例文

  • 彼は誰にでもいい顔をする八方美人だから、あまり信用しない方がいいかもしれない。
  • 意見を言わず多数派に同調するばかりの彼女は、八方美人と陰で言われる。
  • 対立が起きた時にどちらにも味方する八方美人な態度は、状況を悪化させる。

類義語・関連語

「八方美人」と似た意味を持つ言葉はいくつかありますが、それぞれニュアンスが異なります。

  • 内股膏薬(うちまたごうやく):
    あちらについたり、こちらについたりして、定見のないことのたとえ。八方美人よりも、さらに主体性がなく、日和見主義的なニュアンスが強い言葉です。膏薬が体のどちら側にもつくことから来ています。
  • 風見鶏(かざみどり):
    状況を見て有利な方につこうとする人。日和見主義者を揶揄する言葉。「八方美人」よりも、利己的な計算高さが強調されます。
  • 世渡り上手(よわたりじょうず):
    人付き合いが巧みで、世の中をうまく渡っていくこと。こちらは肯定的な意味合いで使われることが多い言葉です。「八方美人」のような否定的なニュアンスは通常ありません。
  • 社交的(しゃこうてき):
    人付き合いを好み、得意とすること。こちらも肯定的な意味で使われ、「八方美人」のように裏表があるようなニュアンスはありません。
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対義語

「八方美人」とは反対に、自分の信念を貫き、誰に対しても態度を変えない人を表す言葉があります。

  • 頑固一徹(がんこいってつ):
    自分の考えや態度を意地でも変えようとしないこと。
    ※ 「八方美人」が誰にでも合わせるのに対し、自分の考えを絶対に曲げない点が対照的です。
  • 剛毅木訥(ごうきぼくとつ):
    意志が強く、飾り気がなく口数が少ないこと。孔子の『論語』に由来し、仁者に近い資質とされる言葉です。
    ※ 愛想よく振る舞う「八方美人」とは対照的に、口数は少なくても誠実さが感じられる様子を表します。
  • 一本気(いっぽんぎ):
    自分の信じる一つのことに向かって、ひたすら進む性質。
    ※ 周囲に合わせて態度を変える「八方美人」とは違い、一途で直情的な性格を表します。

英語表現

「八方美人」のニュアンスを英語で表現する場合、誰にでもいい顔をする人物像を表すフレーズが使われます。

people pleaser

他人を喜ばせようと過剰に努力する人。
自分の欲求よりも他人の期待に応えることを優先してしまう人を指す、最も一般的な表現。

He’s such a people pleaser that he can never say no to anyone.
(彼はあまりに八方美人なので、誰に対しても嫌と言えない。)

all things to all people

すべての人にとって都合の良い存在になろうとする人。
新約聖書に由来する言い回しで、現代では皮肉を込めて使われることが多い。

He tries to be all things to all people, and ends up satisfying no one.
(彼は八方美人であろうとするあまり、結局誰も満足させられない。)

中国語の「八面玲瓏」は唐の詩から生まれた

「八方美人」と似た発想を持つ言葉に、中国語の四字熟語「八面玲瓏」があります。
もとは中唐の詩人・盧綸が彭祖楼を詠んだ詩の一句「四戸八窗明、玲瓏逼上清(四方八方の窓が明るく、光り輝いて清らかな世界に迫る)」に由来し、建物の四方八方から光が差し込む様子を表した言葉でした。

後の時代になって、この「あらゆる方向から光が届く」というイメージが、人の言動が巧みで如才ない様子を形容する意味に転じました。
「あらゆる方向」を表す言葉が、人物評価の四字熟語に使われている点は、日本語の「八方美人」とも共通しています。

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