「一寸先は闇」や「三人寄れば文殊の知恵」など、日本のことわざや慣用句には「数字」を用いた表現が数多く存在します。
具体的な数字を交えることで、物事の程度や規模感がイメージしやすくなり、先人たちの教訓や戒めがよりストレートに伝わってくるのが特徴です。
今回は、そんな「数字に関係する有名なことわざ・慣用句・故事成語」を、意味やシチュエーションなどのテーマ別に分けて一覧でご紹介します。
日常会話でよく使われるおなじみの表現から、歴史に由来する奥深い言葉まで幅広くピックアップしました。
なお、このページは「数字に関係する有名なことわざ・慣用句・故事成語」を紹介しています。
「数字に関係する四字熟語」については、下記のページで詳しく解説しています。
人生・教訓(努力と忍耐)
- 石の上にも三年(いしのうえにもさんねん):
つらい状況でも辛抱強く続ければ、いつか報われるという教え。冷たい石も三年座れば温まるとの例えで、インドの高僧が座禅を続けた逸話にちなむという言い伝え。 - 千里の道も一歩から(せんりのみちもいっぽから):
どんな大事業も、まず手近な第一歩から始まるという教え。中国の思想書『老子』にある「千里の行も足下に始まる」の一節に由来する言葉。 - 七転び八起き(ななころびやおき):
何度失敗しても、その都度起き上がって奮闘すること。生まれた時に立った状態を1回と数え、転倒より1回多い8回の起き上がりとする解釈。 - 三日坊主(みっかぼうず):
何かを始めても飽きっぽく、長続きしないこと。厳しい修行に耐えかね、三日で寺を去ってしまう僧侶が多かったという逸話にちなむ言葉。 - 一年の計は元旦にあり(いちねんのけいはがんたんにあり):
物事は最初の計画立てが肝心だという教え。戦国武将・毛利元就が説いたとも、中国由来の言葉ともいわれ、年初に目標を立てる慣習と重なる一句。 - 九仞の功を一簣に虧く(きゅうじんのこうをいっきにかく):
長年の努力も、最後のわずかな油断で無に帰すという戒め。高い山を築く工事も、最後のもっこ一杯の土を怠れば未完に終わるという中国の故事が由来。
成功と失敗(勝負・困難・油断)
- 一寸先は闇(いっすんさきはやみ):
ほんの少し先の未来さえ、誰にも予測できないということ。江戸初期の仮名草子に見られる言葉で、戦乱の記憶が生々しい時代の不安が生んだ表現。 - 二兎を追う者は一兎をも得ず(にとをおうものはいっとをもえず):
欲張って同時に二つの目標を追うと、結局どちらも得られないという戒め。古代ローマの格言「二匹のうさぎを追う者は一匹も得ず」に由来する西洋の言葉。 - 三度目の正直(さんどめのしょうじき):
一度や二度は当てにならなくても、三度目には確実な結果が出るという期待。江戸期のサイコロ賭博で、三度目こそ実力や運が表れるとされた言い伝え。 - 二度あることは三度ある(にどあることはさんどある):
同じような出来事が二度続けば、三度目も起こりやすいという戒め。三度目の禍を避けるためわざと物をもう一度こぼす風習も各地に残る言い伝え。 - 一か八か(いちかばちか):
結果がどうなるか分からないが、運を天に任せて思い切って行動すること。江戸期のサイコロ賭博用語が由来とされ、丁と半の字の一部を取ったという語源説。 - 九死に一生を得る(きゅうしにいっしょうをえる):
ほとんど助かる見込みのない危険な状態から、かろうじて命が助かること。中国戦国時代の詩人・屈原の『離騒』に通じる、四字熟語「九死一生」からの転用。 - 万事休す(ばんじきゅうす):
すべての手段が尽きてしまい、もはやどうすることもできない絶体絶命の状態。中国『宋史』に載る、機嫌の悪い父が息子の顔を見て怒りを収めたという故事が由来。 - 万策尽きる(ばんさくつきる):
あらゆる手段や方法を試し尽くして、もはや打つ手がないこと。元々は戦において、有効な作戦を出し尽くした状況を指したとされる言葉。 - 万全を期す(ばんぜんをきす):
少しの抜かりもないように、あらゆる準備や対策を整えること。「万全」は完全無欠の意で、『史記』など中国の古典にも見られる古い言葉。 - 一難去ってまた一難(いちなんさってまたいちなん):
一つの困難を乗り越えたと思ったら、休む間もなく次の困難がやってくること。成立の過程ははっきりしないが、昭和期の小説にも残る表現。 - 千慮の一失(せんりょのいっしつ):
どんなに賢い人でも、多く考えを巡らせる中には一つくらい誤りがあるということ。『史記』で武将・韓信を諭した言葉「智者も千慮に必ず一失有り」に由来する故事成語。 - 一文惜しみの百知らず(いちもんおしみのひゃくしらず):
わずかな出費を惜しんだ結果、かえって大きな損をしてしまうこと。屋根の小さな傷みを直す一文をケチり、後に百文の建て替えを招く庶民の失敗談になぞらえた言葉。
人間関係・性格・感情
- 三人寄れば文殊の知恵(さんにんよればもんじゅのちえ):
凡人でも三人集まって相談すれば、良い知恵が浮かぶものだということ。 - 仏の顔も三度まで(ほとけのかおもさんどまで):
どんなに穏やかな人でも、無礼を何度も繰り返されれば最後には怒り出すこと。元は「仏の顔も三度撫ずれば腹を立つ」で、狂言にも見られる古い表現。 - 十人十色(じゅうにんといろ):
人の考え方や好み、性質はそれぞれ違い、多様であるということ。江戸期の浄瑠璃で色の違いを表した言葉が、やがて人の個性を映す言い回しに転じた。 - 三つ子の魂百まで(みつごのたましいひゃくまで):
幼少期に形成された性格や性質は、年をとっても根強く残るという教え。「三つ子」は数え年三歳のことで、文献に現れる古い例は歌舞伎『兵根元曾我』(1697年)。 - 可愛さ余って憎さ百倍(かわいさあまってにくさひゃくばい):
愛情が深かった分だけ、裏切られた時に抱く憎しみも百倍にふくらむということ。可愛さと憎さが表裏一体である、恋愛や人間関係の心理を映す表現。 - 八方美人(はっぽうびじん):
誰に対しても如才なく愛想よく振る舞う人。元は「欠点のない美人」を指す肯定的な言葉だったが、今は信念のなさを皮肉る意味合いで使われる言い方。 - 五本の指に入る(ごほんのゆびにはいる):
優れたものを順に数えたとき、上位五番目までに入るほど際立つ様子。指を折って数える昔ながらの習慣にちなみ、五指という単位で優秀さを表した言葉。 - 万緑叢中紅一点(ばんりょくそうちゅうこういってん):
一面の緑の中に、一輪だけ赤い花が咲く様子。
転じて、多くの男性の中に女性が一人だけ交じる様子を表し、中国の詩人・王安石の詩句に由来するとされる「紅一点」の語源。 - 万感胸に迫る(ばんかんむねにせまる):
様々な思いが一度に胸に込み上げ、感情で満たされる様子。「万感」はさまざまな感情を意味し、式典や別れの場面など公的な場でよく使われる表現。 - 万死に値する(ばんしにあたいする):
何度死んでも償いきれないほど、罪や過ちが重いということ。中国の古典に由来する「罪該万死」という漢文表現が、日本語として定着した言い回し。
知恵・能力・見方
- 百聞は一見に如かず(ひゃくぶんはいっけんにしかず):
人から何度も話を聞くより、一度自分の目で見る方が確実に理解できるということ。中国『漢書』に載る、将軍・趙充国が皇帝に現地視察を進言した故事にちなむ言葉。 - 一を聞いて十を知る(いちをきいてじゅうをしる):
物事の一部を聞いただけで、全体や本質を即座に理解できる賢さ。『論語』で孔子の弟子・顔回の察しの良さを、同門の子貢がたたえた故事にちなむ表現。 - 一事が万事(いちじがばんじ):
一つの小さな事柄の様子を見るだけで、他のすべても推察できるということ。 - 二階から目薬(にかいからめぐすり):
回りくどくて効果が得られず、もどかしいことのたとえ。江戸期の浮世草子に見える表現で、二階から一階の目に薬をさす無理な状況を誇張した言い回し。 - 天は二物を与えず(てんはにぶつをあたえず):
一人の人間が同時にいくつもの才能や長所を持つことはできないという教え。江戸後期の洒落本に見える言葉で、完璧な人間はいないという人生観を映す表現。 - 千里眼(せんりがん):
遠くの出来事や将来、人の心までも見抜く優れた洞察力。中国の史書『魏書』に載る、役人の不正を見抜いた官僚・楊逸の逸話に由来するという説。 - 六日の菖蒲、十日の菊(むいかのあやめ、とおかのきく):
時機に遅れて、もはや役に立たなくなったもののたとえ。端午の節句の翌日の菖蒲、重陽の節句の翌日の菊のように、一日遅れては役に立たないという例え。
言動・態度・コミュニケーション
- 二の足を踏む(にのあしをふむ):
思い切れずに実行をためらい、尻込みしてしまう様子。一歩目は踏み出せても二歩目が出ない歩みの様子にたとえたとする説が有力な語源。 - 二の句が継げない(にのくがつげない):
あまりの驚きや呆れのために、次に言うべき言葉が出てこない様子。雅楽の朗詠で息継ぎが難しい高音の二段目を指した「二の句」が語源とされる表現。 - 四の五の言う(しのごのいう):
あれこれと理屈を並べたり、不平不満や文句を言ったりすること。サイコロ賭博で丁(四)か半(五)か迷ってうろたえる様子に由来するという俗説。 - 二枚舌を使う(にまいじたをつかう):
前に言ったことと矛盾することを平気で言うこと。仏教の十悪の一つ「両舌」、人の仲を裂く言葉が由来とされ、舌を二枚持つイメージに転じた表現。 - 二股をかける(ふたまたをかける):
同時に二つの物事や相手に関わり、両方を進行させようとする様子。特に同時に二人の異性と交際する意味で使われ、伊達政宗の逸話にも通じる言葉。 - 嘘八百(うそはっぴゃく):
ありもしないでたらめを数多く並べ立てること。「八百」は八百屋と同じく数の多さを表す語で、嘘だらけであることを強調した言い方。 - 八百長(やおちょう):
事前に勝敗を決めておきながら、表面だけ真剣に争うふりをすること。囲碁の実力者だった八百屋の店主・長兵衛が、客に忖度してわざと負けた逸話が語源。
日常生活・状態・程度
- 早起きは三文の徳(はやおきはさんもんのとく):
朝早く起きれば、わずかでも健康や仕事の上で何か良いことがあるということ。「三文」はごくわずかな金額を指し、中国の詩の一節が由来とされる言葉。 - 一姫二太郎(いちひめにたろう):
最初の子は育てやすい女の子、二人目は男の子という順番が理想とされる考え。第一子に女児を授かった嫁への慰めの言葉が広まったという言い伝え。 - 人の噂も七十五日(ひとのうわさもしちじゅうごにち):
世間の噂話は長くは続かず、時が経てば自然と忘れられるものだということ。昔の暦で一年を五等分した約75日を一区切りとしたという俗説。 - 百害あって一利なし(ひゃくがいあっていちりなし):
悪い影響ばかりで、良いところや利益が一つもないこと。由来は定かでないが、大正期の文献にすでに近い表現が見られる、比較的新しい言い回し。 - 一石を投じる(いっせきをとうじる):
平穏な状況やマンネリ化した場に、新たな議論や反響を呼ぶ行動を起こすこと。水面に石を投げた時に波紋が広がる様子にたとえた日本独自の表現。 - 五臓六腑にしみわたる(ごぞうろっぷにしみわたる):
飲食したものが体の隅々まで行き渡るように感じられる、深い満足感。古代中国医学で内臓全体を指す「五臓六腑」の語を、酒などの味わいに転用した言葉。 - 百薬の長(ひゃくやくのちょう):
数ある薬の中で最も効果があるもの。転じて、適量の酒を肯定的にたたえる言い方。中国の歴史書『漢書』にある、王莽が酒の専売を正当化した詔の一節が由来。 - 十把一絡げ(じっぱひとからげ):
様々な種類や価値のあるものを区別せず、一つにまとめて大雑把に扱うこと。「十把」は稲などを十束ひとまとめにする単位で、雑な扱いを表した言葉。 - 十中八九(じっちゅうはっく):
十のうち八か九の割合を占めるほど、ほぼ確実だということ。高い確率で物事が起こる様子を、具体的な数の比率で示した言い回し。 - 一から十まで(いちからじゅうまで):
物事の初めから終わりまで、何もかもすべてということ。「一」は始まりを、「十」は昔の感覚で大きな区切りとなる終わりを表す数として使われた表現。 - 一にも二にも(いちにもににも):
他のことは考えず、まずそれを最優先すべき大切なこととして。順序を示す「一」と「二」を重ねることで、他の選択肢の余地がないことを強調する言い方。 - 十年一昔(じゅうねんひとむかし):
十年もの歳月が経てば、世の中の様子や暮らしはすっかり変わってしまうということ。きりの良い十進法の区切りとして、十年をひと区切りにしたという考え方。 - 十人並み(じゅうにんなみ):
容姿や能力が特に優れてもおらず劣ってもいない、ごく平凡な様子。「人並み」に「十人」を加えることで、大勢の中の平均を強調した表現。 - 百も承知(ひゃくもしょうち):
言われるまでもなく、その事柄をすでに十分に分かっていること。「百も承知、二百も合点」という言い回しを略した、江戸期の落語にも見える表現。









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