ことわざ 慣用句

六日の菖蒲、十日の菊

(むいかのあやめとおかのきく)

時期が過ぎて役に立たなくなったもののたとえ。


13文字の言葉 / 「む」から始まる言葉
六日の菖蒲、十日の菊 ことば
スポンサーリンク

意味

「六日の菖蒲、十日の菊(むいかのあやめとおかのきく)」とは、タイミングを逃してしまい、もはや無意味になってしまったもののことです。
物が悪いのではなく、時期を過ぎて役に立たなくなった、というのがこの言葉の言いたいところです。

  • 六日の菖蒲(むいかのあやめ):
    五月五日の端午の節句の翌日(六日)に出しても意味がないこと。
  • 十日の菊(とおかのきく):
    九月九日の重陽の節句の翌日(十日)に咲いても用をなさないこと。

語源・由来

「六日の菖蒲、十日の菊」の由来は、日本の伝統的な節句行事にあります。

かつて五月五日の端午の節句には、邪気を払うために菖蒲を飾り、菖蒲湯に入る習慣がありました。
また、九月九日の重陽の節句(菊の節句)には、菊の花を愛でて長寿を願いました。

これらの花は、節句の「当日」にあることに最大の意味がありました。
そのため、翌日の六日や十日になって用意しても、行事はすでに終わっており、何の役にも立ちません。
このことから、時機に遅れて役に立たないことのたとえとして使われるようになりました。

湯に浮かべたショウブの葉
菖蒲湯
(写真:katorisi、Wikimedia Commons/CC BY-SA 3.0)

使い方・例文

「六日の菖蒲、十日の菊」は、時機を逃して役に立たなくなったものや、今さら間に合わない対策を指して使います。

例文

  • 試合が終わってから戦術のミスを指摘しても、六日の菖蒲、十日の菊だ。
  • 流行が廃れた後にその商品を発売するのは、まさに六日の菖蒲、十日の菊だ。
  • 誕生日の翌週にお祝いのケーキを届けても、六日の菖蒲、十日の菊でしかない。
  • 豪雨が止んでから土嚢を積み上げるのは、六日の菖蒲、十日の菊というものだ。

誤用・注意点

この言葉は、単に「遅れた」のではなく、「もう値打ちが無くなった」という強い意味を含みます。

相手がまだ挽回しようとしている最中に使うと、「無駄な努力だ」と冷たく突き放すように聞こえかねません。
自分の反省や、済んだことを振り返る場面で使うのが無難です。
目上の人に「あなたの助言は六日の菖蒲、十日の菊ですね」などと言うのは、とても失礼です。

スポンサーリンク

類義語・関連語

「六日の菖蒲、十日の菊」と似た意味を持つ言葉には、以下のようなものがあります。

  • 後の祭り(あとのまつり):
    祭りが終わった翌日の山車(だし)のように、手遅れで甲斐がないこと。
  • 後悔先に立たず(こうかいさきにたたず):
    済んでしまったことを後で悔やんでも、取り返しがつかないこと。
  • 覆水盆に返らず(ふくすいぼんにかえらず):
    一度起きてしまったことは、二度と元には戻らないこと。
  • 証文の出し遅れ(しょうもんのだしおくれ):
    肝心な時に証拠となる書類を出せず、時期を逃して役に立たないこと。

対義語

「六日の菖蒲、十日の菊」とは対照的な意味を持つ言葉には、以下のようなものがあります。

  • 善は急げ(ぜんはいそげ):
    良いと思ったことは、ためらわずにすぐ実行すべきであるということ。
  • 思い立ったが吉日(おもいたったがきちじつ):
    何かをしようと決心したら、その日を吉日としてすぐに始めるのが良い。
  • 先んずれば人を制す(さきんずればひとをせいす):
    人より先に行動すれば、有利な立場に立つことができる。

英語表現

「六日の菖蒲、十日の菊」を英語で表現する場合、以下の定型句が使われます。

Too little, too late

「不十分で、かつ遅すぎる」
対策が不十分な上に、タイミングも逃してしまってもはや手遅れであるというニュアンス。

His apology was too little, too late.
(彼の謝罪は、あまりに不十分で手遅れだった。)

Locking the stable door after the horse has bolted

「馬が逃げた後に厩舎の戸に鍵をかける」
取り返しがつかないことが起きてから対策を講じても、無意味であるということ。

Changing the password now is like locking the stable door after the horse has bolted.
(今さらパスワードを変更しても、後の祭りだ。)

「六日の菖蒲」は屋島に遅れた源氏の船団を笑う言葉だった

『平家物語』巻十一の「志度合戦しどかっせん」に、「六日の菖蒲」が出てきます。
源義経が屋島やしまの平家を攻め落としたあと、摂津せっつに残っていた源氏の船団が、梶原景時かじわらかげときを先頭にようやく屋島に着きました。

着いた一行は、周りの者たちに、四国はもう攻め落とされた、今さら何の役に立つのか、と笑われます。
そのたとえの一つが「六日の菖蒲」で、行事に間に合わない花、けんかが終わってから持ち出す棒、というたとえと並べられています。
端午の節句に遅れた菖蒲は、鎌倉時代の軍記物語で、合戦に間に合わなかった軍勢をからかう言葉として使われていました。

スポンサーリンク

コメント

URLをコピーしました