人の噂も七十五日

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ことわざ
人の噂も七十五日(ひとのうわさもしちじゅうごにち)
異形:人の噂も七十五日、人の噂も四十九日

15文字の言葉ひ・び・ぴ」から始まる言葉

あんなに世間を騒がせたニュースや、近所で持ちきりだったあの噂。いつの間にか、誰も口にしなくなっている…。そんな経験はありませんか。

人の噂も七十五日(ひとのうわさもしちじゅうごにち)」は、まさにそうした噂や世間の関心の移ろいやすさを表した、古くから伝わることわざです。

「人の噂も七十五日」の意味

「人の噂も七十五日」とは、世間でどんなに話題になった噂話も、七十五日(約二ヶ月半)も経てば、やがて人々の関心から消え、忘れ去られてしまうものである、という意味です。

このことわざの教訓は、「人々の関心は一時的なもの」であるということです。

そのため、主に二つの文脈で使われます。

  1. 慰めとして
    悪い噂を立てられて苦しんでいる人に対し、「今が辛くても、時が経てば世間の人は忘れてくれるから、耐えなさい」と励ます時。
  2. 諦観(ていかん)として
    あれほど大騒ぎしていたのに、すぐに次の話題に移っていく世間の無責任さや忘れっぽさを、やや皮肉的に「どうせそんなものだ」と評する時。

「人の噂も七十五日」の語源 – なぜ「七十五日」?

「七十五日(しちじゅうごにち)」という日数に、厳密な科学的根拠はありません。

これは、「季節の変わり目」に関連するという説が有力です。日本の古い暦では、約90日(三ヶ月)で一つの季節が変わります。「七十五日」は、それより少し短い期間(二ヶ月半)であり、「一つの季節がすっかり変わる頃には、人々の関心も移り変わっている」という、生活実感から来た目安の数字とされています。

「三日」や「一ヶ月」では短すぎるが、「半年」や「一年」では長すぎる。その間の、なんとなく忘れ始めるリアルな期間として「七十五日」が定着したと考えられます。

「人の噂も七十五日」の使い方と例文

誰かが噂の的になっている時や、ブームが過ぎ去った時などに使われます。

例文

  • 「あんなに騒がれたけど、「人の噂も七十五日」と言うし、もう誰も君のことを気にしていないよ。」
  • 「あれほど熱狂していたファンも、今では別のアイドルに夢中だ。「人の噂も七十五日」とはよく言ったものだ。」
  • 「彼は「人の噂も七十五日」だから、今だけ嵐が過ぎ去るのを待てばいい、と開き直っているようだ。」

類義語・関連語

人の関心が一時的であることや、物事を忘れやすいことを示す言葉です。

  • 喉元過ぎれば熱さを忘れる(のどもとすぎればあつさをわすれる):
    苦しいことも、過ぎ去ってしまえばその苦しさを忘れてしまうこと。忘れっぽいたとえ。
  • 去る者は日々に疎し(さるものはひびにうとし):
    親しかった人でも、遠く離れたり亡くなったりすると、次第に疎遠になり忘れられていくこと。
  • 熱しやすく冷めやすい(ねしやすいさめやすい):
    物事にすぐ夢中になるが、飽きるのも早いこと。世間の関心(噂)の性質そのものを指します。

対義語

物事が長く記憶されたり、忘れられなかったりすることを指す言葉です。

  • 石に刻む(いしにきざむ):
    (石に刻んだ文字のように)いつまでも忘れないこと。
  • 末代までの恥(まつだいまでのはじ):
    子々孫々の代まで残るような、非常に大きな恥。噂が75日で消えないこと。
  • 人の恨み骨に徹す(ひとのうらみほねにてっす):
    人から受けた恨みは骨身にしみるほど深く、決して忘れられないこと。

英語での類似表現

英語にも、噂や流行が一時的であることを示す、非常によく似た表現があります。

a nine days’ wonder

  • 意味:「9日間の驚き(不思議なこと)」
  • 解説:「人の噂も七十五日」の英語圏における定番の表現です。
    「wonder」は驚くべき出来事やスキャンダルを指します。熱狂的な関心も9日ほどで冷めてしまう、という意味で、日本語よりも期間が短くなっています。
  • 例文:
    The scandal was all over the news, but it was just a nine days’ wonder.
    (そのスキャンダルはニュースを独占したが、結局は一時的な騒ぎに過ぎなかった。)

現代(SNS時代)でも「七十五日」は通用するか

このことわざは、SNSやインターネットがなかった時代に生まれました。では、現代ではどうでしょうか。

  • 噂は「忘れられやすく」なった面
    SNSの普及により、情報が爆発的に増えました。一つのスキャンダルが起きても、次の日にはもっと大きなニュースが飛び込み、人々の関心は「七十五日」どころか、数日、あるいは数時間で移っていきます。
  • 噂は「忘れられなく」なった面
    一方で、一度インターネット上に出た噂や情報は、「デジタルタトゥー(Digital Tattoo)」として半永久的に残り続けます。「忘れられた」ように見えても、検索すればいつでも過去の噂が掘り起こされる危険があります。

つまり、現代は「関心は75日より早く冷めるが、記録は75年経っても消えない」時代とも言えます。ことわざが持つ「時間が解決してくれる」という側面は、少し意味合いが変わってきているのかもしれません。

まとめ

「人の噂も七十五日」は、世間の関心は一時的で、時が経てば噂は忘れられてしまう、という昔ながらの知恵です。

辛い噂に悩む人にとっては慰めとなり、世間の移ろいやすさを示す言葉でもあります。

SNS時代を迎え、噂が消えるスピードと、記録が残り続けるという二面性を持ちましたが、「人々の熱狂は長続きしない」という本質は、今も昔も変わらない真実と言えそうですね。

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