意味
「二の足を踏む(にのあしをふむ)」とは、一歩目を踏み出したところで足が止まってしまうように、危険や失敗を恐れて、なかなか先へ進み出せずしりごみするという意味です。
やる気がないわけではなく、むしろ「やろう」と思っているからこそ、失敗への恐れや迷いが生じて一歩が踏み出せない心理を指します。
単なる「停止」ではなく、進もうとする意志と、とどまろうとする慎重さがぶつかり合っている状態です。
語源・由来
「二の足」とは、歩き出すときの「二歩目の足」のことです。
最初の一歩(一の足)は勢いよく踏み出したものの、次に続く二歩目をどう踏み出すか迷い、その場で足踏みをしたり、足を元の位置に戻したりする動作が語源となりました。
使い方・例文
「二の足を踏む」は、重大な決断から日常の些細な迷いまで、幅広く使われます。
「やりたいけれど、不安がある」という迷いがあるときに使います。
例文
- 憧れの車だが、維持費を考えるとつい二の足を踏む。
- 一度大きな失敗をした分野だけに、再挑戦に二の足を踏む同僚も少なくない。
- 素晴らしい提案だと思ったが、予算の壁を前に二の足を踏む結果となった。
- スカイダイビングに誘われたものの、高さに圧倒されて直前で二の足を踏む。
誤用・注意点
形の似た言い回しに、「二の句が継げない」があります。
「二の句が継げない」は、驚きや呆れで次の言葉が出ないことを指すため、行動をためらう「二の足を踏む」とは意味が異なります。
また、「二の足を踏まない」は「ためらわずに行動する」という意味で使えます。
一方、他人の慎重な態度を「二の足を踏んでいる」と言うと、「優柔不断だ」という否定的な響きを含むことがあるので、目上の人について言うときは気をつけたい言い方です。
類義語・関連語
「二の足を踏む」と似た意味を持つ言葉には、以下のようなものがあります。
- 躊躇する(ちゅうちょする):
あれこれ迷って決心がつかないこと。 - 尻込みする(しりごみする):
恐れや不安を感じて、消極的な態度をとること。 - たじろぐ:
相手の勢いや困難に圧倒され、ひるんでしまうこと。 - 及び腰になる(およびごしになる):
自信が持てず、腰が引けた消極的な状態になること。
対義語
「二の足を踏む」とは対照的な意味を持つ言葉は以下の通りです。
- 二つ返事(ふたつへんじ):
迷うことなく、すぐに快く承諾すること。 - 即断即決(そくだんそっけつ):
その場ですぐに判断し、迷わず決めること。 - 勇往邁進(ゆうおうまいしん):
恐れることなく、目標に向かってひたすら突き進むこと。
英語表現
「二の足を踏む」を英語で表現する場合、以下の定型表現がよく使われます。
hesitate
「ためらう、躊躇する」という意味の動詞で、決断や行動を前にして迷いが生じている状態を表す最も一般的な言い方。
Don’t hesitate to contact us if you have any questions.
(疑問点があれば、二の足を踏まずにお気軽にご連絡ください。)
get cold feet
直訳は「足が冷たくなる」で、予定していたことに対し直前になって急に不安や恐怖を感じてしり込みすることを指す慣用句。
He was going to propose to her, but he got cold feet.
(彼は彼女にプロポーズするつもりだったが、直前で二の足を踏んだ。)
二葉亭四迷『其面影』、二の足を踏んだのは父と兄
1906年に東京朝日新聞に連載された二葉亭四迷の小説『其面影』に、この言葉が出てきます。
主人公の小野哲也は、大学さえ出れば実家に仕送りもできると高をくくり、「二の足を踏む父や兄を強ひて納得させて」(= ためらう父と兄を無理に納得させて)、小野家の養子に入りました。
養子先とは、大学卒業までの学資を出してもらう約束でした。
父と兄は、きっぱり反対したのではなく、養子に出すことを決めかねていたことになります。
小説は、それを押し切った哲也の見通しを「浅墓にも高を括つた」(= 浅はかにも高をくくった)と書いています。
「二の足を踏む」はここでも、断るのではなく、決めかねて踏みとどまる人の様子を表しています。















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