「ずっと欲しかったけど高価なあのバッグ、清水の舞台から飛び降りるつもりで買っちゃった!」
「会社を辞めて独立するなんて、まさに清水の舞台から飛び降りる決断だったよ。」
このように、何かとても大きな決断や、勇気のいる行動をする際に使われる「清水の舞台から飛び降りる」という言葉。
一体どんな由来があるのでしょうか?
この記事では、「清水の舞台から飛び降りる」の意味や由来、使い方、そして関連する言葉などを分かりやすく解説していきます。
「清水の舞台から飛び降りる」の意味・教訓
「清水の舞台から飛び降りる」とは、思い切って大きな決断をすること、あるいは、危険や困難を覚悟の上で、非常に大胆な行動をとることのたとえです。
成功するか失敗するかわからない、あるいは大きなリスクが伴うような状況で、強い決意と覚悟をもって物事を実行する際の心情を表します。「これが最後だ」「もう後には引けない」といった、切羽詰まった、あるいは潔い気持ちを伴うこともあります。
特定の教訓を伝えるというよりは、重大な決断や覚悟の大きさを表現する比喩として使われることが多い言葉です。
「清水の舞台から飛び降りる」の語源 – 京都・清水寺が由来
このことわざの語源は、京都にある有名なお寺、清水寺(きよみずでら)の「清水の舞台」にあります。
清水の舞台は、本堂から山の斜面に張り出すように建てられたヒノキ造りの舞台で、その高さは約13メートル(4階建てビルに相当)もあります。
江戸時代などには、「この舞台から飛び降りて、もし無事に助かれば願い事が叶い、たとえ死んでしまっても観音様のもとへ行ける(成仏できる)」という民間信仰がありました。
(※もちろん、現在は飛び降りることは固く禁じられています!)
この、まさに命がけの行為になぞらえて、人生における重大な決意や、大きな覚悟をもって物事に臨むことを「清水の舞台から飛び降りる」と表現するようになったのです。
「清水の舞台から飛び降りる」が使われる場面と例文
この言葉は、人生の大きな岐路や、勇気が必要な決断、高額な買い物など、文字通り「飛び降りる」ほどの覚悟をもって臨む様々な場面で使われます。
- 家や車など、非常に高価な買い物をする時。
- 起業、転職、留学など、人生の大きな転機となる決断をする時。
- 大きなリスクを伴う事業や投資に踏み切る時。
- 長年思いを寄せていた相手に告白するなど、勇気を振り絞って行動する時。
例文
- 「長年貯めた貯金をはたいて、清水の舞台から飛び降りるつもりで家を購入した。」
- 「安定した職を捨てて夢を追うのは、清水の舞台から飛び降りるような覚悟が必要だった。」
- 「このプロジェクトの成功確率は低いかもしれないが、清水の舞台から飛び降りる覚悟で挑戦してみる。」
- 「彼女にプロポーズする時、まるで清水の舞台から飛び降りるような気持ちだった。」
「清水の舞台から飛び降りる」の類義語
決死の覚悟や大胆な行動を示す言葉は他にもあります。
- 当たって砕けろ:
意味:成功するか失敗するかは考えずに、思い切ってやってみること。
ニュアンス:結果を恐れずに行動することを強調する。 - 背水の陣:
意味:一歩も退けない絶体絶命の状況で、決死の覚悟で物事に臨むこと。故事成語。
ニュアンス:後に引けない状況での、必死の覚悟を表す。 - 破れかぶれ:
意味:どうにでもなれと、自暴自棄になってむちゃくちゃな行動をすること。
ニュアンス:やや投げやりな、捨て身の行動を指すことが多い。 - 大英断(だいえいだん):
意味:普通ではできないような、思い切った大きな決断。
ニュアンス:特にリーダーなどが下す、勇気ある重大な決断を指す。
「清水の舞台から飛び降りる」の対義語
慎重さや決断をためらう様子を表す言葉が対照的です。
- 石橋を叩いて渡る:
意味:非常に用心深く、慎重に物事を進めること。
※ 大胆な決断とは逆の、極めて慎重な行動。 - 優柔不断:
意味:ぐずぐずしていて、物事の決断がなかなかできないこと。
※ 決断力に欠ける様子。 - 躊躇する(ちゅうちょする):
意味:あれこれ迷って決心がつかず、ためらうこと。 - 二の足を踏む:
意味:一歩目は進んだものの、二歩目が出ないでためらうこと。思い切れずにためらうこと。
「清水の舞台から飛び降りる」の英語での類似表現
英語には清水寺に直接関連する表現はありませんが、「思い切った決断」や「覚悟」を表す言い方はあります。
- take the plunge
直訳:飛び込む。
意味:ためらっていたことを思い切って始める、決行する。結婚や大きな買い物、新しい事業などに使うことが多い。 - bite the bullet
直訳:弾丸を噛む。
意味:困難なことや不快なことを、勇気や覚悟を持って耐え忍ぶ、断行する。 - make a leap of faith
直訳:信仰の跳躍。
意味:確実な証拠や保証はないけれど、信じて思い切ってやってみること。
「清水の舞台から飛び降りる」に関する豆知識
清水寺の記録によると、江戸時代には実際に200件以上の飛び降りの記録が残っているそうです。
生存率は意外に高かったとも言われていますが、もちろん極めて危険な行為であり、明治時代には禁止令が出されました。
現在の清水の舞台の下には木々が茂っていますが、これは飛び降りを防ぐ目的もあると言われています。
まとめ – 「清水の舞台から飛び降りる」覚悟と決意の表明
「清水の舞台から飛び降りる」は、京都・清水寺の故事に由来する、人生の大きな決断や覚悟を表す、非常にドラマチックなことわざです。
この言葉を使う時、人はまさに崖っぷちに立つような、強い決意を胸に秘めているのかもしれません。
その言葉の重みから、日常のささいな決断に使うと、少し大げさに聞こえてしまうこともあります。
使う場面を選び、ここぞという時の覚悟を示す表現として、効果的に使いたいものですね。そして、くれぐれも実際に飛び降りるようなことは絶対にしないでくださいね。
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