清濁併せ呑む

ことわざ 慣用句 四字熟語
清濁併せ呑む(せいだくあわせのむ)
異形:清濁併呑

9文字の言葉せ・ぜ」から始まる言葉
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「あの人は器が大きい」「懐が深い」と感じる人に出会ったことはありませんか。
「清濁併せ呑む(せいだくあわせのむ)」は、まさにそうした人の度量の大きさを表す言葉です。

今回は、「清濁併せ呑む」の基本的な意味から、その背景、具体的な使い方、さらには英語の表現まで、分かりやすく解説していきます。

「清濁併せ呑む」の意味・教訓

「清濁併せ呑む(せいだくあわせのむ)」とは、心が広く、善でも悪でも、清らかなものでも濁ったものでも、分け隔てなく受け入れることを意味します。

人の長所だけでなく短所も、物事の良い面だけでなく悪い面も、そのすべてを理解し受け入れる度量の大きさを表す言葉です。多くの場合、人の器の大きさや懐の深さを称賛する際に用いられます。

「清濁併せ呑む」の語源

この言葉の語源は、大河や海の様子にあるとされています。

「清」は清流、「濁」は濁流を指します。清らかな流れも濁った流れも、すべてを拒まずに受け入れ、やがて大きな一つの流れとなって海へと注ぐ大河の姿。
その様子が、善人も悪人も区別なく受け入れる、懐の深い人物像に重ね合わされました。

使用される場面と例文

主に、人の度量や器の大きさを評価する、ポジティブな文脈で使われます。
特に、多くの人をまとめる立場にあるリーダー、経営者、政治家などに対して使われることが多い言葉です。

例文

  • 「人の上に立つ者は、清濁併せ呑む度量が求められる。」
  • 「彼は清濁併せ呑むところがあり、敵も多いが味方も非常に多い。」
  • 「あの政治家が長く支持される理由は、清濁併せ呑む器の大きさにあるのだろう。」

類義語・言い換え表現

「清濁併せ呑む」と似た意味を持つ言葉を紹介します。

度量が大きい(どりょうがおおきい):心が広く、他人の言動や過ちをよく受け入れるさま。

寛大(かんだい):心が広く、むやみに人を責めたりしないこと。

海容(かいよう):海のように非常に心が広く、すべてのことを受け入れること。

対義語

反対に、清らかなものだけを良しとし、濁りや悪を厳しく退ける姿勢を表す言葉です。

清廉潔白(せいれんけっぱく):
心や行いが清らかで、私欲や不正がまったくないこと。
※「濁」を一切許容しない、対極の状態を示します。

潔癖(けっぺき):
極度に不潔を嫌うこと。転じて、不正や悪を少しでも許すことができない性質。

英語での類似表現

「清濁併せ呑む」のニュアンスに近い英語表現を紹介します。

take the good with the bad

  • 意味:「良いことも悪いことも(両方)受け入れる」。
  • ニュアンス:「清濁併せ呑む」が人の「度量」を称賛する意味合いが強いのに対し、こちらは「物事には良い面も悪い面もある」という現実を受け入れる、という状況説明的な意味合いで使われることもあります。
  • 例文:
    To succeed in this business, you have to take the good with the bad.
    (このビジネスで成功するには、良いことも悪いことも受け入れなくてはならない。)

all-embracing

  • 意味:「すべてを包含する」「包括的な」。
  • ニュアンス: “an all-embracing personality”(すべてを受け入れる人柄)のように、人の懐の深さを形容詞として表現できます。

使用上の注意点

「清濁併せ呑む」は、基本的には人の器の大きさを称賛するポジティブな言葉です。

ただし、文脈によっては
「目的のためなら、きれいな手段も汚い手段も両方使う」
「善悪の区別なく人を受け入れる」

といった、清濁の「濁」の部分を許容する危うさを内包します。
そのため、皮肉を込めて「(金儲けのためなら)彼は清濁併せ呑むタイプだ」のように、ややネガティブな意味で使われる可能性もゼロではありません。

使う相手や状況を考慮すると、より的確な表現となるでしょう。

まとめ – 清濁併せ呑むから学ぶ現代の知恵

「清濁併せ呑む」は、善悪や清濁の区別なく、すべてを受け入れる懐の深さを示す言葉です。

現代社会では、物事を白黒はっきりさせ、分かりやすく分類しがちです。しかし、人間も社会も、本来は清らかな部分と濁った部分が混ざり合った複雑なもの。
この言葉は、そうした多様性や複雑さを丸ごと受け入れる強さこそが、人を育て、大きな物事を成し遂げる力になることを教えてくれるようですね。

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