意味
「手練手管(てれんてくだ)」とは、相手を思いどおりに動かしたり、だましたりするための、あの手この手の駆け引きのことです。
ほめ言葉ではなく、相手のずる賢さを指して使われます。
- 手練(てれん):人をだますための手段。「しゅれん」と読めば熟練した腕前のことで、別の言葉。
- 手管(てくだ):人を操り、だますための手法。
語源・由来
「手練手管」は、どちらも人をだます手段を意味する「手練」と「手管」を重ねて、意味を強めた言葉です。
「手練」も「手管」も当て字で、語源はわかっていません。
「手管」は、特に遊女などが客をたらしこむ技術を指す語としても使われました。
使い方・例文
「手練手管」は、ただの努力ではなく、相手の心につけこむ計算ずくのやり方を言うときに使います。
用心したほうがよいしたたかさや、手慣れた交渉の腕を表す場面でよく使われます。
- 相手の手練手管に翻弄され、いつの間にか不利な契約を結んでいた。
- 恋愛において、手練手管を弄するよりも誠実さが大切だ。
- 政治の世界では、生き残るためにあらゆる手練手管が繰り広げられる。
誤用・注意点
「手練手管」は、基本的に「相手を操る」「だます」という悪い含みを持つ言葉です。
そのため、スポーツ選手の技術や職人の伝統の技をほめるのには向きません。
たとえば「一流シェフの手練手管に感動した」と言うと、料理人が客をだましているような皮肉に聞こえてしまいます。
類義語・関連語
「手練手管」と似た意味を持つ言葉には、戦略的な計略や、計算された振る舞いを示す言葉があります。
- 権謀術数(けんぼうじゅっすう):
目的を達成するために、相手を欺くようなあらゆる計略をめぐらせること。 - 術策(じゅっさく):
人を欺くためのはかりごと。 - 策謀(さくぼう):
ひそかに計画を立てて、相手を陥れたり操ったりすること。
対義語
「手練手管」とは対照的な意味を持つ言葉は、飾り気のない本音や、純粋な誠実さを表すものです。
- 愚直(ぐちょく):
正直すぎて融通がきかないほど、真っ直ぐであること。 - 至誠(しせい):
この上ない誠実さ、極めて純粋なまごころのこと。
英語表現
「手練手管」を英語で表現する場合、文脈に合わせて「狡猾さ」や「計略」を使い分けます。
Artifices
「巧妙な策」「策略」の意味で、計算された手段を指す語。
He resorted to all kinds of artifices to get the promotion.
(彼は昇進のために、あらゆる手練手管を駆使した。)
Wiles
「人をだますための魅力や策略」を指し、特に相手の心を引きつけたり油断させたりする、誘惑的な駆け引きに使われる語。
She was not fooled by his wiles.
(彼女は彼の手練手管には騙されなかった。)
遊女の手練手管、偽の起請文や客の名の刺青
遊郭では、客に「自分だけを特別に想っている」と信じ込ませることが商売の肝でした。
そのため、偽の起請文(= 神仏に誓う文書)を書いたり、客の名前を刺青として彫ったりといった、命懸けに見える「嘘の演出」が横行していたといいます。
起請文は、もともと偽りがあれば神仏の罰を受けると誓う文書です。
江戸時代には、遊女が客に誠意を示す「手管」として書くものにもなっていました。









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