意味
「草木も眠る丑三つ時」とは、この世のすべてが深い眠りにつき、静まりかえっている様子を指します。
本来は感情や意志を持たないはずの「草木」までもが眠っていると表現することで、物音一つしない極限の静寂や、どこか不気味なほどの夜の深さを強調しています。
単に「遅い時間」という事実だけでなく、まるで世界そのものが動きを止めたかのような、神秘的で濃密な静けさを表す言葉です。
語源・由来
「草木も眠る丑三つ時」の由来は、十二支を用いた古来の時刻法にあります。
かつて一日は12の区画に分けられており、午前2時を中心とする前後2時間は「丑の刻(うしのこく)」と呼ばれていました。
この2時間をさらに4等分した3番目の時間帯、つまり午前2時から2時30分頃が「丑三つ」に当たります。
感情を持たない自然物までもが眠るという比喩が加わり、不気味なほどの静寂を表す定型句となりました。
使い方・例文
「草木も眠る丑三つ時」は、不気味なほど静かな深夜の状況を描写する際に使われます。
怪談の定番の言い回しですが、都会の喧騒が消えた日常の静けさを表す際にも用いられます。
- 怪談は草木も眠る丑三つ時から始まる。
- 草木も眠る丑三つ時にひっそりと家路を急ぐ。
- あたりは草木も眠る丑三つ時の静寂に包まれる。
類義語・関連語
「草木も眠る丑三つ時」と似た意味を持つ言葉には以下のようなものがあります。
- 寂として声なし(せきとしてこえなし):
物音が全くせず、ひっそりと静まりかえっている様子。 - 深更(しんこう):
夜が非常に深まった時。 - 夜深人静(やしんじんせい):
夜が更けて、人足が途絶え静まりかえること。
対義語
「草木も眠る丑三つ時」とは対照的な意味を持つ言葉は以下の通りです。
- 門前成市(もんぜんせいし):
訪れる人が非常に多く、門の前が市場のように賑わっている様子。 - 喧々囂々(けんけんごうごう):
大勢の人が口々に騒ぎ立てていて、やかましい様子。 - 市井の喧騒(しせいのけんそう):
人々が暮らす街の中の、騒がしく活気のある様子。
英語表現
「草木も眠る丑三つ時」を英語で表現する場合、以下のフレーズが適しています。
In the dead of night
「真夜中に」
最も深く静まりかえった深夜の時間を指す、英語の定型表現です。
The phone rang in the dead of night.
(真夜中に電話が鳴った。)
The small hours
「深夜」
日付が変わってから夜が明けるまでの、人々が寝静まっている深い時間帯を指します。
He worked into the small hours.
(彼は深夜まで働き続けた。)
丑の刻は鐘が八つ鳴った
江戸時代の時刻は、十二支のほかに鐘の数でも呼ばれていました。
真夜中の子の刻と真昼の午の刻が「九つ」で、そこから二時間ごとに一つずつ減っていきます。
丑の刻は「八つ」、寅の刻は「七つ」、卯の刻は「六つ」——夜が明けるので「明け六つ」です。
「丑三つ時」は、鐘でいえば夜の八つを過ぎたあたりということになります。
同じ数え方は昼にも巡ってきて、未の刻(午後二時ごろ)がやはり「八つ」でした。
当時は一日二食が普通で、この時間に軽くつまむ習慣がありました。
「おやつ」はこの「八つ時」から来ています。











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