驕る平家は久しからず

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ことわざ 慣用句 故事成語
驕る平家は久しからず
(おごるへいけはひさしからず)
短縮形:驕る平家
異形:驕れる人も久しからず/驕れる者も久しからず

13文字の言葉」から始まる言葉
驕る平家は久しからず 【個別】ことわざ・慣用句・四字熟語

成功を手にした途端、周囲への感謝を忘れ、まるで自分一人の力で成し遂げたかのように振る舞ってしまう。
そんな傲慢な態度は、やがて周囲の離反を招き、築き上げた地位や名声を足元から崩していくことになります。
いつの時代も、謙虚さを失った者の繁栄は長くは続きません。そんな真理を、
「驕る平家は久しからず」(おごるへいけはひさしからず)と言います。

意味・教訓

「驕る平家は久しからず」とは、思い上がり、わがままに振る舞う者の栄華は長く続かず、やがて滅びるという意味です。

この言葉は、以下の要素で成り立っています。

  • 驕る(おごる):地位や財産を鼻にかけ、思い上がった振る舞いをする。
  • 平家(へいけ):平安時代末期に巨大な権力を握った平氏一門。
  • 久しからず(ひさしからず):長くは続かない。

どれほど強大な権力を持っていたとしても、徳を忘れ、傲慢になった者には必ず終わりの時が来るという、強い戒めの教訓が含まれています。

語源・由来

「驕る平家は久しからず」の直接の由来は、鎌倉時代に成立した軍記物語『平家物語』の冒頭の一節にあります。

原文には、「驕れる人も久しからず、ただ春の夜の夢のごとし」と記されています。
これは「おごり高ぶっている人も長くは続かず、まるで春の夜に見る短い夢のようにはかないものだ」という意味です。

この「驕れる人(おごり高ぶる者)」の代表例として、物語の主役である平家一門の急激な台頭と没落が描かれたため、いつしか「驕れる人」が「驕る平家」へと置き換わり、ひとつの慣用句として定着しました。

使い方・例文

現代では、急成長した企業が不祥事で失速した際や、成功して態度が大きくなった人物への警告として使われます。

例文

  • 急成長に慢心したあの企業も、今や倒産寸前でまさに驕る平家は久しからずだ。
  • 昇進して横暴になった彼を見ていると、驕る平家は久しからずという言葉が浮かぶ。
  • 驕る平家は久しからずという。成功した時こそ、謙虚さを忘れてはならない。

誤用・注意点

この言葉は「驕る」を「怒る」と混同したり、「久しからず」を「久しぶり」の意味で捉えたりしないよう注意が必要です。

また、原文は「驕れる」ですが、現在では「驕る平家」として使うのが一般的です。
どちらを使っても間違いではありませんが、特定の組織や勢力を指す場合は「平家」を用いる方が、より強いニュアンスが伝わります。

類義語・関連語

「驕る平家は久しからず」と似た意味を持つ言葉には、以下のような定型句があります。

  • 盛者必衰(じょうしゃひっすい):
    勢いが盛んな者も必ず衰えるという世の理。
  • 驕れる者も久しからず(おごれるものもひさしからず):
    『平家物語』の原文通りの表現。
  • 権不十年(けんふじゅうねん):
    権力というものは10年も続くものではないというたとえ。
  • 驕る者は心ならず(おごるものはこころならず):
    おごり高ぶる者は、知らず知らずのうちに道理に外れたことをしてしまうということ。

対義語

「驕る平家」とは対照的に、成功しても慎み深い態度であることを示す言葉です。

  • 実るほど頭を垂れる稲穂かな(みのるほどこうべをたれるいなほかな):
    人格が高まるほど、人に対して謙虚になるということ。
  • 恭謙温和(きょうけんおんわ):
    うやうやしく謙虚で、おだやかなこと。

英語表現

「驕る平家は久しからず」を英語で表現する場合、以下の表現が定型句として定着しています。

Pride goes before a fall.

直訳すると「自惚れは破滅に先立つ」です。
聖書に由来する非常に有名なことわざで、教訓の内容が完全に一致します。

  • 例文:
    He became too arrogant after winning, but pride goes before a fall.
    (彼は勝利して傲慢になったが、驕る平家は久しからずだ。)

What goes up must come down.

直訳は「上がったものは必ず下がる」です。
頂点に達したものは必ず衰退するという、世の無常や栄枯盛衰を指す際に使われます。

  • 例文:
    His business failed suddenly. What goes up must come down.
    (彼のビジネスは突然失敗した。上がるものは必ず落ちるものだ。)

由来の背景:平家が見せた傲慢の極致

『平家物語』において、平家の「驕り」を象徴する有名なエピソードがあります。

平清盛の義弟である平時忠(たいらのときただ)が放ったとされる、「此一門にあらざらむ者は、皆人非人(にんぴにん)なるべし」という言葉です。
これは「平家の一門でない者は、人間ではないも同然だ」という意味であり、当時の平家がいかに自分たちの権力を絶対視し、他者を見下していたかを物語っています。

この極端な傲慢さが周囲の反感を買い、結果として平家はわずか20年ほどで滅亡へと突き進むことになりました。この歴史的事実が、言葉の重みをより確かなものにしています。

まとめ

「驕る平家は久しからず」という言葉は、単なる歴史の教訓に留まりません。
私たちが何かを成し遂げた時、あるいは集団の中で強い立場に立った時、知らず知らずのうちに芽生える「おごり」への鋭い警告です。

成功の絶頂にいる時こそ、足元を見つめ、謙虚さを忘れない。この古い言葉は、変化の激しい現代を生きる私たちにとっても、進むべき道を照らす知恵と言えるかもしれません。

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