ふと肌に触れる風の温度や、道端に咲く花の色にハッとすることがあります。
そんな自然の移ろいに対する人々の繊細な感覚や暮らしの知恵を切り取ったのが、「季節」(きせつ)にまつわる言葉です。
春の言葉

厳しい寒さが和らぎ、草木が芽吹く生命力あふれる季節の言葉です。
- 暑さ寒さも彼岸まで(あつささむさもひがんまで):
春の彼岸になれば冬の寒さが和らぎ、秋の彼岸になれば夏の暑さも落ち着くという、気候の移り変わりの目安。 - 春の雪と叔母の杖は怖くない(はるのゆきとおばのつえはこわくない):
春の雪はすぐに解け、老女の振るう杖も痛くないことから、見かけだけで実際は恐るに足らないことのたとえ。 - 春一番(はるいちばん):
立春から春分の間に、その年初めて吹く強い南風。本格的な春の訪れを告げる風とされる。 - 花冷え(はなびえ):
桜の花が咲く頃に、一時的に寒さがぶり返すこと。 - 春眠暁を覚えず(しゅんみんあかつきをおぼえず):
春の夜は心地よく、朝が来たことにも気づかずつい寝過ごしてしまう様子。 - 春宵一刻値千金(しゅんしょういっこくあたいせんきん):
趣深い春の夜のわずかな時間は、千金にも値するほど素晴らしいということ。 - 柳緑花紅(りゅうりょくかこう):
柳は緑、花は紅であるように、自然のあるがままの美しさや、当然の道理を指す言葉。 - 春風駘蕩(しゅんぷうたいとう):
春の風がのどかに吹く様子。転じて、人の性格や態度が温和でのんびりしているさま。 - 春日遅々(しゅんじつちち):
春の日は暮れるのが遅く、のんびりとしているうららかな情景。 - 春和景明(しゅんわけいめい):
春の気候が穏やかで、景色が明るく美しい様子。 - 三寒四温(さんかんしおん):
冬の終わりから春先にかけて、三日ほど寒い日が続いた後、四日ほど暖かい日が続く気候の周期。 - 春風満面(しゅんぷうまんめん):
喜びに満ちた穏やかな笑顔が顔全体にあふれている様子。 - 桜花爛漫(おうからんまん):
桜の花が満開になり、見事に咲き乱れている華やかな様子。 - 春の夜の夢(はるのよのゆめ):
春の夜に見る夢のように、はかなく消えてしまうものごとのたとえ。 - 山笑う(やまわらう):
春、山の草木が一斉に芽吹いて明るく彩られた様子を擬人化した表現。
夏の言葉

照りつける太陽のもと、自然が最も力強く活動する季節の言葉です。
- 夕立は馬の背を分ける(ゆうだちはうまのせをわける):
夏の夕立が、馬の背の片側だけを濡らすほどごく局地的に降る様子. - 五月晴れ(さつきばれ):
本来は梅雨の合間にのぞく晴れ間のこと。現代では新暦5月のさわやかな晴天を指すことが多い。 - 麦秋(ばくしゅう):
初夏、麦の穂が実って収穫期を迎える頃のこと。季節は夏だが、麦にとっての収穫の「秋」という意味。 - 蝉時雨(せみしぐれ):
多くの蝉が一斉に鳴きたてる声を、時雨(しぐれ)が降る音にたとえた夏の盛りの情景。 - 青嵐(あおあらし):
初夏に青葉を激しく揺らして吹き渡る、やや強い風のこと。 - 秋風が立つ(あきかぜがたつ):
夏の終わりに涼しい風が吹くこと。転じて、男女の愛情が冷めたり、物事への熱意が薄れたりすること。 - 夏炉冬扇(かろとうせん):
夏の火鉢と冬の扇のこと。時期外れで、その場では役に立たない物事のたとえ。 - 緑樹濃陰(りょくじゅのういん):
青々とした木々が生い茂り、色濃く涼しい木陰を作っている夏の情景。 - 暑さ忘れれば陰忘れる(あつさわすれればかげわすれる):
苦しいときに助けてくれた恩人も、苦しみが過ぎ去ると忘れてしまうという、人間の薄情さを戒めた言葉。 - 五月雨式(さみだれしき):
梅雨の雨が断続的に降り続くように、物事がだらだらと長引く様子を表す慣用句。
秋の言葉

涼しい風が吹き抜け、空が高く澄み渡る実りと物思いの季節の言葉です。
- 秋の日は釣瓶落とし(あきのひはつるべおとし):
秋はあっという間に日が沈んでしまう様子を、井戸に素早く落ちる釣瓶になぞらえた言葉。 - 女心と秋の空(おんなごころとあきのそら):
秋の天気が変わりやすいように、女性の感情も移ろいやすいことのたとえ。 - 天高く馬肥ゆる秋(てんたかくうまこゆるあき):
空は澄み渡って高く見え、馬も食欲を増してたくましく育つような、快適で実り豊かな秋の季節のこと。 - 秋茄子は嫁に食わすな(あきなすはよめにくわすな):
美味しい秋ナスを嫁に食べさせるのはもったいないという意地悪な意味と、体を冷やすからという気遣いの意味を持つ言葉。 - 灯火親しむべし(とうかしたしむべし):
秋の夜長は涼しく、灯りの下で静かに読書をするのに適しているということ。 - 小春日和(こはるびより):
晩秋から初冬にかけての、春のように暖かく穏やかな晴天のこと。※春の言葉と間違えやすいため注意。 - 一葉落ちて天下の秋を知る(いちようおちててんかのあきをしる):
一枚の葉が落ちるのを見て秋の訪れを悟るように、わずかな前兆から全体の大きな動きや衰退を察知すること。 - 秋高気爽(しゅうこうきそう):
秋の空が高く澄み渡り、空気が爽やかで心地よいこと。 - 実るほど頭を垂れる稲穂かな(みのるほどこうべをたれるいなほかな):
稲穂は実が入るほど重みで穂先が垂れるように、人も学識や徳が深まるほど謙虚になるものだというたとえ。 - 秋の扇(あきのおうぎ):
夏に重宝された扇が秋になると不要になるように、寵愛を失って捨てられた人や、用済みになった物のたとえ。
冬の言葉

厳しい寒さの中でじっと春を待ちわびる、静寂と忍耐の季節の言葉です。
- 冬来たりなば春遠からじ(ふゆきたりなばはるとおからじ):
厳しい冬の次には必ず暖かい春が来るように、つらい時期を耐え抜けば必ず良い時期が巡ってくるという励まし。 - 雪は豊年の瑞(ゆきはほうねんのしるし):
冬に大雪が降ると雪解け水が豊富になり、害虫も死ぬため、翌年は豊作になるという農村の言い伝え。 - 冬将軍(ふゆしょうぐん):
厳しい冬の寒さや、シベリアから南下してくる冷たい寒気団を擬人化した言葉。 - 枯れ木も山の賑わい(かれきもやまのにぎわい):
つまらないものでも、全くないよりはマシであることのたとえ。※目上の人に使うと失礼にあたるため注意が必要。 - 雪中松柏(せっちゅうしょうはく):
雪の中でも松の葉が緑色を保つように、困難な状況にあっても志や信念を曲げないことのたとえ。 - 一陽来復(いちようらいふく):
冬至を境に日が長くなることから、長く続いた悪い出来事が終わり、ようやく良い方向へ向かい始めること。
四季を通じた言葉
移り変わる一年の自然の美しさと、そこから見出された人生の教訓を表す言葉です。
- 雪月花(せつげつか):
冬の雪、秋の月、春の花という、四季それぞれの美しい自然の風景のこと。 - 花鳥風月(かちょうふうげつ):
花や鳥、風や月といった自然の美しい景色。また、それらを鑑賞して詩歌を詠むような風雅な心。 - 山紫水明(さんしすいめい):
日に照らされた山が紫色に染まり、川の水が清らかに澄んでいる美しい自然の情景。 - 栄枯盛衰(えいこせいすい):
草木が茂っては枯れるように、人や国家の勢いにも栄える時と衰える時があり、永遠に続くものはないということ。 - 諸行無常(しょぎょうむじょう):
この世のあらゆる現象は絶えず変化しており、永遠に同じ状態で留まるものはないという仏教の教え。 - 万物流転(ばんぶつるてん):
宇宙にあるすべてのものは、季節が巡るように絶えず変化し移り変わっていくという真理。 - 梅花凌雪(ばいかりょうせつ):
雪の中でも梅が凛として花を咲かせるように、困難な状況にあっても志を曲げず清らかさを保つことのたとえ。 - 歳寒の松柏(さいかんのしょうはく):
冬の厳しい寒さの中でも松や柏が枯れないように、苦境に立たされて初めて、その人物の真の強さや節義が明らかになるというたとえ。








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