意味
「春の雪と叔母の杖は怖くない(はるのゆきとおばのつえはこわくない)」とは、一見すると恐ろしそうに見えるが、実際には大したことがなく、恐れるに足りないことのたとえです。
春先に降る雪は、冬の吹雪のように激しく見えることがあっても、地面に着いた端から溶けて消えてしまいます。
また、叔母が杖を振り上げて打っても、力が弱く痛くないとされます。
この二つを並べることで、一時的な騒ぎや見かけ倒しの脅威を表現しています。
- 春の雪:激しく降ってもすぐに溶ける。一時的な感情やトラブルの象徴。
- 叔母の杖:振り上げても力が弱く、打たれても痛くない。形ばかりの叱責の象徴。
語源・由来
「春の雪と叔母の杖は怖くない」は、降っても積もらない春の雪と、打たれても痛くない叔母の杖という、恐れるに足りない二つを並べたことわざです。
冬の雪は生活を脅かす「根雪」となりますが、春の雪は気温が高いため積もることがありません。
この「降るけれども積もらない」という性質が、一時的な怒りや実害のない災難に例えられました。
使い方・例文
「春の雪と叔母の杖は怖くない」は、相手の怒りがすぐに収まることが分かっている場合や、表面的なトラブルを楽観視する際に使われます。
例文
- 部長の説教は派手だが、春の雪と叔母の杖は怖くないで、三十分もすれば忘れている。
- 威勢のいいライバル校の宣言も、春の雪と叔母の杖は怖くないだ。
- 弟が泣いて抗議しているが、春の雪と叔母の杖は怖くない、すぐ泣き止む。
誤用・注意点
「春の雪と叔母の杖は怖くない」は、年配の女性が振るう杖を、すぐ消える春の雪と並べて「大したことはない」と見立てた言葉です。
脅しが実際には効かないことのたとえとして使われますが、たとえの材料になっているのは年齢と性別なので、実在の人に向ければ相手を見くびった言い方になります。
口先だけの脅しを指したいのであれば、人を持ち出さない言い方があります。
類義語・関連語
「春の雪と叔母の杖は怖くない」と似た意味を持つ言葉には、以下のようなものがあります。
- 五月の鯉の吹き流し:
口は大きく開けているが、腹の中(中身)は何もないこと。 - 幽霊の正体見たり枯れ尾花(ゆうれいのしょうたいみたりかれおばな):
恐ろしいと思っていたものの正体が、実は大したことのないものだったということ。 - 吠える犬は噛まぬ:
威勢よく騒ぎ立てる者ほど、実際には大した実力や実行力がないこと。 - 虚仮威し:
中身がないのに、外見だけを恐ろしげに見せて相手を威圧すること。
対義語
「春の雪と叔母の杖は怖くない」とは対照的に、油断できない状況を表す言葉です。
- 油断大敵(ゆだんたいてき):
大したことはないと気を許していると、大きな失敗を招くということ。 - 笑中に刀あり(しょうちゅうにかたなあり):
見かけは優しく怖くないが、心の中には恐ろしい企みを持っていること。
英語表現
「春の雪と叔母の杖は怖くない」を英語で表現する場合、以下の定型句がニュアンスに近いです。
His bark is worse than his bite
「彼の吠え声は、噛みつくよりもひどい」
激しく吠える犬に限って実際には噛みつかないことから、口は悪いが実害はない人を指します。
Don’t worry about his anger; his bark is worse than his bite.
(彼の怒りなんて気にするな。春の雪と叔母の杖は怖くないようなものだ。)
春の雪と叔母の杖は怖くないと同じ組み立ての句がほかにもある
すぐに消える春の雪を、別のものと並べて言う句は「叔母の杖」のほかにもあります。
「春の雪と子供の喧嘩は長引かぬ」は、春の雪がすぐ溶けるように、子供の喧嘩もすぐに収まることを言います。
「春の雪と年寄りの腕自慢は当てにならぬ」は、年寄りが腕前を自慢しても、春の雪と同じで当てにならないという意味です。











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