ことわざ 故事成語

大山鳴動して鼠一匹

(たいざんめいどうしてねずみいっぴき)

大きな騒ぎや前触れのわりに、実際の結果が非常に小さいことのたとえ。

短縮形:大山鳴動

17文字の言葉 / 「た・だ」から始まる言葉
大山鳴動して鼠一匹 ことば
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意味

「大山鳴動して鼠一匹(たいざんめいどうしてねずみいっぴき)」とは、大きな山が音を立てて揺れ動くほどの大騒ぎをしたにもかかわらず、結果として出てきたのは鼠が一匹だけだった、という意味のことわざです。
転じて、前触れや騒ぎばかりが大きくて、実際の結果が非常に小さいことのたとえとして使われます。
期待外れ、肩透かし、といったニュアンスを含んでいます。

語源・由来

このことわざは、古代ローマの詩人ホラティウスの『詩論(Ars Poetica)』にある、次の一節に由来するとされています。

Parturient montes, nascetur ridiculus mus.
(山々が産気づいて、滑稽な鼠が一匹生まれるだろう)

この句はホラティウスの時代にすでにことわざとして通用していた表現とみられ、のちにヨーロッパ諸語に訳されて日本にも伝わりました。

日本語の用例としては、村上浪六の小説『八軒長屋』(1907年)に「山岳震動して鼠一疋」という形が出てきます。

使用される場面と例文

「大山鳴動して鼠一匹」は、騒ぎや期待が大きい割に、結果が小さい、つまらない、といった状況を表す際に使われます。

例文

  • 「国会での大論争の末、可決された法案は、ほとんど影響力のないものだった。大山鳴動して鼠一匹の典型例だ。」
  • 「あれだけ大騒ぎして準備したイベントだったのに、来場者はたったの3人…。大山鳴動して鼠一匹だったね。」
  • 「長時間に及ぶ会議の末、決定されたのは些細なことだった。大山鳴動して鼠一匹という結果に終わった。」

類義語

  • 蛇が出そうで蚊も出ぬ(じゃがでそうでかもでぬ):
    大騒ぎした割には、大した結果が出ないことのたとえ。
  • 空騒ぎ:騒ぐだけで、実際には何もないこと。
  • 張り子の虎(はりこのとら):
    見かけは立派だが、中身が伴わないもの。
  • 羊頭狗肉(ようとうくにく):
    見かけは立派だが、実質が伴わないこと。羊の頭を看板に掲げて、実際には犬の肉を売るという意味から。

関連語

  • 誇大広告(こだいこうこく):
    実際よりも大げさに宣伝すること。
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対義語

  • 微言大義(びげんたいぎ):
    簡潔な言葉の中に、深い意味が含まれていること。
    (「大山鳴動して鼠一匹」は大げさなわりに中身が乏しいこと、「微言大義」は短い言葉に深い意味があること。)

英語表現

「大山鳴動して鼠一匹」を英語で表現する場合、大騒ぎの割に結果が小さいことを表すフレーズが使われます。

Much ado about nothing

何もないことについての大騒ぎという意味で、大騒ぎしたわりに中身が伴わないことを表す表現。

The press conference was hyped for weeks but revealed nothing new — much ado about nothing.
(記者会見は何週間も話題になっていたが、何も新しい発表はなかった。大山鳴動して鼠一匹だ。)

The mountain labored and brought forth a mouse

山が産気づいて鼠を産んだという意味で、「大山鳴動して鼠一匹」の直訳に近い表現。

After months of hype, the new phone turned out to have almost no new features — the mountain labored and brought forth a mouse.
(何か月も話題になった末、新型スマホには新機能がほとんどなかった。大山鳴動して鼠一匹である。)

使用上の注意点

「大山鳴動して鼠一匹」には、相手を批判する響きがあります。
目上の人や、努力した人を面と向かって批判するのに使うのは、避けたほうがよいでしょう。
また、自分のことに使っても、言い訳がましく聞こえることがあります。

大山鳴動して鼠一匹と同じ筋の話がイソップ寓話にある

山が産気づいて鼠が生まれる、という筋は、イソップ寓話にも収められています。
山が大きくうめき声を上げ、人々が何が起きるのかと集まったところ、出てきたのは鼠が一匹だった、という短い話です。

ホラティウスは『詩論』の中で、大きく構えて書き出した詩がつまらない結末に終わることの喩たとえとして、この一句を引きました。
もとは詩の作り方についての注意として書かれたものです。

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