意味
「雪は豊年の瑞(ゆきはほうねんのしるし)」とは、「瑞」がめでたい兆しや吉兆を指すことから、雪が多く降るのは豊年の前兆であるという意味です。
雪を単なる厄介者としてではなく、豊かな収穫をもたらす前触れとして前向きに捉えた言葉です。
こうした天気の言い伝えは「天気のことわざ」や「天気俚諺」(= 天気に関することわざ)とも呼ばれます。
誤用・注意点
この言葉の正しい読み方は、「ゆきはほうねんのしるし」です。
「瑞」という漢字は「瑞々しい(みずみずしい)」といった言葉でよく使われるため、「ゆきはほうねんのみず」と読み誤りやすい言葉です。
しかし、ここでの「瑞」は水分を意味する水ではなく、「めでたい兆候」を意味する大和言葉の「しるし(兆し)」として読まれています。
漢字の見た目や印象に引きずられやすい言葉ですので、注意が必要です。
語源・由来
「雪は豊年の瑞」は、雪の多い年は豊作になるという、農耕にまつわる言い伝えです。
冬に雪が多く降ると、雪解け水で夏に水田の水が涸れる心配がなく、気温も高くなって豊作になるとされてきました。
ただし、雪の多さと豊作との関係は、統計的に実証されたものではありません。
中国の南朝宋の謝恵連が書いた「雪賦」には、雪をめでたいしるしとする、次の一節があります。
盈尺則呈瑞於豐年,袤丈則表沴於陰德。
(雪が一尺積もれば豊年のめでたいしるしを示し、一丈にも及べば陰の気の災いを表す。)
このことから、「雪は豊年の瑞」は中国の影響を受けた言葉とも考えられています。
使い方・例文
「雪は豊年の瑞」は、冬の大雪を前向きに捉えたり、その年の豊作を期待したりする場面で使われます。
- 雪は豊年の瑞を信じて春の訪れを待つ。
- 寒さは厳しいが、雪は豊年の瑞と前向きに受け止めたい。
類義語・関連語
「雪は豊年の瑞」と似た意味を持つ言葉には、以下のようなものがあります。
- 瑞雪(ずいせつ):
豊年の兆しとなる雪、またはおめでたい雪のこと。 - 雪は五穀の精(ゆきはごこくのせい):
雪は米や麦などの穀物を育む精霊のようなものであり、雪が多いと豊作になるということ。
英語表現
「雪は豊年の瑞」を英語で表現する場合、以下の言葉が当てはまります。
A snow year, a rich year
意味:雪の年は豊作の年
雪が農作物に良い影響を与えるという、英語圏における同様の経験則を表すことわざです。
As the saying goes, a snow year, a rich year.
(ことわざにもある通り、雪は豊年の瑞だ。)
雪は豊年の瑞と同じ見立てが、万葉集の雪の宴の歌にある
『万葉集』巻十七の題詞によると、天平十八年の正月、雪が数寸積もり、左大臣の橘卿らが太上天皇の御所で雪かきに奉仕しました。
そのあとの酒宴で、雪を題に歌を詠むよう命じられ、葛井連諸会が次の歌を詠んでいます。
新 年乃婆自米尓 豊乃登之 思流須登奈良思 雪能敷礼流波
(新しき年の初めに豊の年しるすとならし雪の降れるは:新しい年の初めに、豊作の年のしるしを見せるというのだろう、この雪が降っているのは。)
正月の雪を豊作の前触れと見る考え方が、奈良時代の宮中の歌にすでに詠まれています。












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