幸福の絶頂である「天国」と、苦しみのどん底である「地獄」。
これらは宗教的な世界観を示す言葉であると同時に、私たちの実生活における極端な幸・不幸の比喩としても広く使われています。
今回は、「天国と地獄」というテーマに関連する、主なことわざ、慣用句、四字熟語、仏教用語などを紹介します。
「天国と地獄」に関連する言葉 一覧
ことわざ
- 地獄の沙汰も金次第(じごくのさたもかねしだい):
(地獄の裁判も金でどうにかなるということから)この世は、金さえあれば解決できないことはないというたとえ。 - 地獄で仏(じごくでほとけ):
地獄で仏に会ったように、非常に困難で苦しい状況のときに、思いがけない助け(救い)に出会うことのたとえ。
慣用句
- 天国と地獄(てんごくとじごく):
二つの物事の間に、天国と地獄ほどの非常に大きな差があることのたとえ。 - 天にも昇る心地(てんにも のぼるここち):
(天国に昇るような気持ち)この上なく嬉しく、幸福な心持ちのこと。 - 生き地獄(いきじごく):
生きながらにして、地獄のような非常な苦しみを味わうこと。また、そのような境遇。 - 奈落の底(ならくのそこ):
(「奈落」は地獄のこと)これ以上落ちようのない、どん底の状態。 - 修羅場(しゅらば):
(仏教の「修羅道」から)阿修羅が戦うような、激しい争いや混乱が起きている場所。地獄のような惨状。 - 修羅の巷(しゅらのちまた):
(「修羅場」と類義)激しい戦いや争いが繰り広げられる場所。
四字熟語
- 阿鼻叫喚(あびきょうかん):
(仏教の「阿鼻地獄」から)地獄の底で苦しみに泣き叫ぶさま。非常にむごたらしい状況のこと。 - 欣喜雀躍(きんきじゃくやく):
(雀が躍り上がるように)天にも昇る気持ちで、非常に喜ぶさま。 - 雲泥の差(うんでいのさ):
(天の雲と地の泥ほどの差)二つの物事の間に、天国と地獄ほどの非常に大きな違いがあること。
故事成語
- 桃源郷(とうげんきょう):
俗世間を離れた、美しい別天地。天国のような理想郷のたとえ。(中国の『桃花源記』より)
仏教用語
- 極楽(ごくらく):
(「極楽浄土(ごくらくじょうど)」とも)阿弥陀仏がいるとされる、一切の苦しみがなく安楽に満ちた世界。天国に相当する。 - 浄土(じょうど):
仏や菩薩(ぼさつ)が住む、清らかな世界。 - 地獄(じごく):
生前に悪行を重ねた者が、死後に苦しみを受けるとされる世界。 - 奈落(ならく):
(サンスクリット語「Naraka」の音写)地獄のこと。 - 六道(ろくどう):
(「六道輪廻(りんね)」)衆生が、生前の行いによって生まれ変わるとされる六つの世界(天上道、人間道、修羅道、畜生道、餓鬼道、地獄道)。 - 有頂天(うちょうてん):
(元は仏教で「天の最も上」を指す言葉)喜びのあまり、我を忘れて夢中になること。 - 阿鼻地獄(あびじごく):
(「無間地獄(むげんじごく)」とも)八大地獄の中で最も重い苦しみを受ける、最下層の地獄。 - 焦熱地獄(しょうねつじごく):
八大地獄の一つ。猛火によって身を焼かれる激しい苦しみの地獄。 - 血の池地獄(ちのいけじごく):
地獄の一つ。生前に女性をたぶらかしたりした者などが落ちるとされる、血の池。 - 針の山(はりのやま):
地獄にあるとされる、鋭い針や刃で覆われた山。 - 餓鬼道(がきどう):
(六道の一つ)生前に強欲だった者が落ち、常に飢えと渇きに苦しむ世界。 - 修羅道(しゅらどう):
(六道の一つ)常に争いや戦いを続ける世界。
その他の言葉
- 天国(てんごく):
(仏教用語の「極楽」とは別に)キリスト教などで、神がおり、善人が死後に行くとされる幸福な世界。 - エデンの園(えでんのその):
(旧約聖書から)アダムとイブが最初に住んでいたとされる楽園。 - 地獄絵図(じごくえず):
この世の地獄かと思われるような、非常にむごたらしく恐ろしい光景。
まとめ – 極端な世界が示すもの
「天国と地獄」に関連する言葉を紹介しました。
「地獄の沙汰も金次第」のような教訓や、「阿鼻叫喚」「針の山」のような具体的な苦しみの様子、そして「極楽」「桃源郷」のような理想の世界まで、多くの表現がありました。
これらの言葉の多くは仏教やキリスト教などに由来しており、人々の死生観や倫理観に深く影響を与えてきたことがわかります。
そして、これら「天国」と「地獄」という両極端な言葉は、現代でも私たちの幸・不幸を表す比喩として、強く生き続けていますね。









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