感覚的な「痛み」や、精神的な「痛み」。
私たちの生活において、「痛み」は避けることのできない感覚の一つであり、また他者の苦しみを理解するきっかけにもなります。
今回は、「痛み」というテーマに関連する、主なことわざ、慣用句、四字熟語、故事成語などを紹介します。
「痛い」に関連する言葉 一覧
ことわざ
- 泣きっ面に蜂(なきっつらにはち):
泣いている顔を蜂が刺すように、不幸や不運(痛み)が重なって起こることのたとえ。 - 弱り目に祟り目(よわりめにたたりめ):
(「泣き面に蜂」と類義)弱っているところに、さらに災難(痛み)が重なること。 - 喉元過ぎれば熱さを忘れる(のどもとすぎればあつさをわすれる):
(熱さ・痛さも)苦しいことを経験しても、時が過ぎればその苦しさを忘れてしまうことのたとえ。 - 怪我の功名(けがのこうみょう):
失敗や何気なくやったこと(痛みを伴うこと)が、思いがけず良い結果を生むこと。
慣用句
- 痛い目に遭う(いたいめにあう):
苦しい経験や、ひどい仕打ちを受けること。 - 痛いところを突かれる(いたいところをつかれる):
触れられたくない弱点や、隠している事実を的確に指摘されること。 - 痛くもない腹を探られる(いたくもないはらをさぐられる):
やましいことが何もないのに、疑いをかけられること。 - 痛くも痒くもない(いたくもかゆくもない):
何の苦痛も感じないこと。また、どんな非難や悪口を言われても全く平気であるさま。 - 痛む腹を探られる(いたむはらをさぐられる):
やましいことがある(腹が痛む)のに、それを他人に探られること。 - 頭が痛い(あたまがいたい):
心配事や難題があって、悩ましい状態であること。 - 辛酸をなめる(しんさんをなめる):
(「辛酸」は、つらく苦しいこと)非常につらく苦しい経験をすること。 - 傷口に塩を塗る(きずぐちにしおをぬる):
すでに痛んでいる(悪い)状態のものを、さらに悪化させるような言動をすること。 - 塗炭の苦しみ(とたんのくるしみ):
(「塗」は泥、「炭」は火)泥にまみれ、火で焼かれるような、非常にひどい苦しみ(痛み)。 - 胸が痛む(むねがいたむ):
(「心が痛む」とも)他人の不幸や苦しみに対して、同情や罪悪感などで精神的な苦痛を感じること。 - 胸が張り裂ける(むねがはりさける):
深い悲しみや苦しみで、胸が裂けるかと思うほどつらいこと。 - 骨身にしみる(ほねみにしみる):
寒さや苦労、忠告などが、体(心)の芯まで深く感じられること。 - 耳が痛い(みみがいたい):
他人の言葉が、自分の弱点や欠点を的確に指摘しているため、聞くのがつらいこと。 - 身を切るような(みをきるような):
刃物で身を切られるかのように、非常に(寒さや痛みが)厳しいさま。
四字熟語
- 阿鼻叫喚(あびきょうかん):
(仏教の「阿鼻地獄」から)非常にむごたらしい状況の中で、苦痛や恐怖に泣き叫ぶさま。 - 七転八倒(しちてんばっとう):
(「七転八苦(しちてんばっく)」とも)激しい苦痛のために、何度も転がり倒れて苦しむさま。 - 千辛万苦(せんしんばんく):
(「辛苦」はつらく痛むこと)様々な苦労や困難を経験すること。 - 満身創痍(まんしんそうい):
体中が傷だらけであること。転じて、精神的にひどく痛めつけられた状態。
故事成語
- 羹に懲りて膾を吹く(あつものにこりてなますをふく):
熱い吸い物(羹)でやけどした(痛い思いをした)のに懲りて、冷たいなますまで吹いて冷まそうとすること。一度の失敗に懲りて、必要以上に用心すること。
(中国の『楚辞』より) - 断腸の思い(だんちょうのおもい):
子猿を失った母猿の腸がちぎれていたという故事から。はらわたがちぎれるほどの、非常につらく悲しい思い(痛み)。
(中国の『世説新語』より) - 病膏肓に入る(やまいこうこうにいる):
病気(痛み)が不治の状態になること。
(中国の『春秋左氏伝』より) - 骨肉相食む(こつにくあいはむ):
家族や血縁者同士が、憎しみ合い、争うこと。精神的な痛みを伴う争いのたとえ。
(中国の曹植の詩より)
仏教用語
- 四苦八苦(しくはっく):
(「生老病死」の四苦と、「愛別離苦」などの四苦)人間が生きていく上で避けられない、あらゆる苦しみ(痛み)。
まとめ – 痛みが伝えるもの
「痛み」に関連する言葉を紹介しました。
「七転八倒」のような直接的な身体の痛みから、「胸が張り裂ける」のような精神的な痛み、そして「耳が痛い」のような弱点を突かれる苦痛まで、実に様々な「痛み」が表現されていました。
これらの言葉は、痛みが私たちにとっていかに切実な感覚であるかを示すと同時に、その経験から得られる教訓(「喉元過ぎれば」など)をも伝えています。
他者の痛みに寄り添う心を大切にしたいものですね。









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