千辛万苦

四字熟語
千辛万苦(せんしんばんく)

7文字の言葉せ・ぜ」から始まる言葉
スポンサーリンク

千辛万苦(せんしんばんく)」という言葉を聞いたことはありますか? 何かを成し遂げるまでに、想像を絶するような多くの苦労や困難を経験したときに使われる四字熟語です。

この言葉が持つ具体的な意味や、どのような場面で使うのが適切なのか、その構成や似た言葉などを分かりやすく解説します。

「千辛万苦」の意味・教訓

「千辛万苦」とは、目的を達成するまでに、非常に多くの、さまざまな苦労や困難を経験することを意味します。

「千」も「万」も、数が非常に多いことを表しています。
「辛」は「つらい、苦しい」、「苦」も「くるしい」という意味です。

つまり、「千」と「万」もの「辛」さと「苦」しみを味わう、という文字通りの構成から、「数えきれないほどの、ありとあらゆる苦労」という強い意味が込められています。
単なる苦労ではなく、その量と種類の多さ、そして深刻さを強調する言葉です。

「千辛万苦」の語源 – 漢字の成り立ち

「千辛万苦」は、それぞれの漢字の意味を組み合わせることで成り立っています。

  • 千(せん):数が非常に多いことの例え。
  • 辛(しん):つらいこと。からい。苦しいこと。
  • 万(ばん):「千」と同じく、数が非常に多いことの例え。
  • 苦(く):くるしいこと。悩み。

これら四つの漢字が組み合わさり、「千と万の、辛くて苦しいこと」、すなわち「数えきれないほどの多くの苦労」という意味を表す四字熟語となりました。

「千辛万苦」の使い方と例文

「千辛万苦」は、目標の達成や成功の裏にあった、並大抵ではない努力や困難な道のりを表現する際に使われます。

「千辛万苦の末(すえ)に」「千辛万苦して」「千辛万苦を重ねる」といった形で使われることが多く、その苦労が並外れたものであったことを示します。ビジネスでの大きなプロジェクトの達成、スポーツでの勝利、あるいは学問の探求や、単に困難な時代を生き抜いてきたことなど、多大な苦労が伴った場面で用いられます。

例文

  • 「彼は千辛万苦の末、ついに司法試験に合格した。」
  • 「この製品は、開発チームが千辛万苦して完成させた努力の結晶だ。」
  • 「戦後の混乱期を、祖父母は千辛万苦しながら生き抜いてきたと聞いている。」
  • 千辛万苦を重ねて手に入れた勝利だけに、喜びもひとしおだった。」

類義語・関連語

「千辛万苦」と似たような、苦労や困難を表す言葉を紹介します。

  • 艱難辛苦(かんなんしんく):
    困難に出会い、つらく苦しい思いをすること。「千辛万苦」とほぼ同じ意味で使われる、非常に近い表現です。
  • 悪戦苦闘(あくせんくとう):
    困難な状況の中で、必死に苦しみながら努力すること。苦労している「最中」の様子を表すニュアンスが強いです。
  • 苦心惨憺(くしんさんたん):
    目的を達するために、心をくだき、あれこれと非常に苦労し工夫を重ねること。精神的な苦労に焦点を当てることが多いです。
  • 七転八倒(しちてんばっとう):
    何度も転んでは起き上がるように、激しい苦痛や困難にもだえ苦しむ様子。

対義語

「千辛万苦」とは反対に、物事が順調に進むことや、苦労がない状態を示す言葉です。

  • 一帆順風(いっぱんじゅんぷう):
    追い風を受けて船が快調に進むように、物事が順調に進むことのたとえ。
  • 順風満帆(じゅんぷうまんぱん):
    上記「一帆順風」と同じ意味で、物事が非常に順調であること。
  • 安楽(あんらく):
    心身ともに楽で、悩みや苦しみがないこと。

英語での類似表現

「千辛万苦」の「数えきれないほどの苦労」というニュアンスを英語で表現する際に近い表現です。

(Go through) hardships and tribulations

  • 意味:「困難や試練を経験する」
  • 解説:「hardships」(困難、苦境)と「tribulations」(試練、苦難)という、苦しさを表す二つの単語を重ねることで、「千辛万苦」のニュアンスに近くなります。”go through”(経験する)と合わせて使われることが多いです。
  • 例文:
    She went through countless hardships and tribulations to raise her children alone.
    (彼女は女手一つで子供たちを育てるために、千辛万苦を経験した。)

(After) much toil and trouble

  • 意味:「多くの労苦と面倒の(末に)」
  • 解説:「toil」(骨折り仕事、労苦)と「trouble」(面倒、困難)を使い、多大な苦労を表します。シェイクスピアの『マクベス』の有名なセリフ “Double, double toil and trouble” にも見られる組み合わせです。
  • 例文:
    After much toil and trouble, they finally completed the restoration of the old castle.
    (千辛万苦の末、彼らはついにその古い城の修復を完了させた。)

まとめ – 千辛万苦を乗り越えた先に

「千辛万苦」は、数えきれないほどの多くの苦労を意味する四字熟語です。この言葉は、単に「苦しかった」という事実を述べるだけでなく、多くの場合、その困難な道のりを乗り越えた末の「達成」や「結果」の重みを強調するために使われます。

私たちが何か大きな目標に挑戦するとき、そこには大小さまざまな困難が伴うものです。この言葉は、そうした苦労を経て何かを成し遂げた人々の忍耐と努力の軌跡を、わずか四文字で力強く表現していると言えるでしょう。

スポンサーリンク

コメント