私たちの暮らしと切り離せない「健康」や「医学」。古くから、病気との向き合い方、健康のありがたさ、医者という存在について、多くの言葉が生まれてきました。
この特集では、「医学・医療」に関連することわざ、慣用句、故事成語、四字熟語、そして仏教語を集めて一覧にしました。
「医学・医療」に関連する言葉 一覧
ことわざ
- 病は気から(やまいはきから):
病気は気の持ちようで重くも軽くもなるということ。精神状態が健康に影響するという意味。 - 医者の不養生(いしゃのふようじょう):
医師が人には健康に気をつけるよう言うのに、自分自身は健康に注意しないこと。転じて、立派なことを言いながら実行が伴わないことのたとえ。 - 良薬は口に苦し(りょうやくはくちににがし):
よく効く薬が苦くて飲みにくいように、身のためになる忠告は聞き入れがたいものであるというたとえ。 - 一に看病二に薬(いちにかんびょうにくすり):
病気を治すためには、薬よりもまず心のこもった看病が第一に大切であるということ。 - 鬼の霍乱(おにのかくらん):
鬼のように丈夫な人が、珍しく病気になることのたとえ。「霍乱」は、日射病や暑気あたりなど、急性の病気を指します。 - 風邪は百病の元(かぜはひゃくびょうのもと):
風邪はさまざまな病気を引き起こす原因となるため、油断してはいけないという戒め。 - 酒は百薬の長(さけはひゃくやくのちょう):
適量の酒は、どんな薬にもまさるほど健康によいということ。(ただし、「されど万病の元」と続くこともあります。) - 腹八分目に医者いらず(はらはちぶんめにいしゃいらず):
食事を満腹まで食べず、八分目程度に控えておくのが健康によく、医者にかかる必要もなくなるということ。 - 柚が色づくと医者が青くなる(ゆずがいろづくといしゃがあおくなる):
柚が黄色く色づく秋頃は気候が良く、病気になる人が減るため、医者の仕事が減って顔色が悪くなるということ。 - 二階から目薬(にかいからめぐすり):
二階から階下の人に目薬をさすように、遠回しで効果が得られず、もどかしいことのたとえ。
慣用句
- 毒にも薬にもならぬ(どくにもくすりにもならぬ):
害もないが、特に役にも立たないこと。あってもなくてもよいもののたとえ。 - いい薬になる(いいくすりになる):
失敗したり苦しんだりした経験が、その後の自分にとって良い教訓となること。 - 采薪の憂い(さいしんのうれい):
(病気で薪(たきぎ)を採りに行くこともできないという意から)自分の病気を、遠回しに控えめに言う言葉。
四字熟語
- 医食同源(いしょくどうげん):
病気を治す薬と、日々の食事は、本来同じ根源からなるものであるという考え方。健康を保つためには食生活が重要であるという意味。 - 才子多病(さいしたびょう):
才能に恵まれた人は、とかく体が弱く病気がちであるということ。 - 良薬苦口(りょうやくくこう):
「良薬は口に苦し」と同じ意味。
故事成語
- 病膏肓に入る(やまいこうこうにいる):
病気が身体の奥深く(膏肓=心臓の下の部分)まで入り込み、治療の施しようがなくなった状態。転じて、趣味などに深くのめり込み、救いようがない状態を指すこともあります。 - 自家薬籠中の物(じかやくろうちゅうのもの):
自分の薬箱の中にある薬のように、いつでも自分の思い通りに使えるものや、自由に使いこなせる技術・知識のこと。 - 耆婆扁鵲(きばへんじゃく):
古代インドの名医「耆婆(ぎば)」と、古代中国の名医「扁鵲(へんじゃく)」のこと。転じて、きわめて優れた医師を指すたとえ。
仏教語
- 生老病死(しょうろうびょうし):
人間として避けられない四つの苦しみ。「生まれること」「老いること」「病気になること」「死ぬこと」。 - 応病与薬(おうびょうよやく):
病に応じて薬を与えること。仏が、人々の悩みや迷い(病)に合わせて、適切な教え(薬)を説くことのたとえ。
その他
- 医は仁術(いはじんじゅつ):
医術は、人を救い命を助ける、仁愛の道であるということ。医師のあるべき姿を示した言葉。
まとめ
今回は、「医学・医療」や「健康」「病気」に関連することわざや四字熟語などを特集しました。
「病は気から」のような心の持ちようを説くものから、「医者の不養生」といった皮肉を込めた教訓、「医食同源」のような生活の知恵まで、実に多くの言葉が残されています。
これらは、昔から人々が健康をいかに大切に思い、病気とどう向き合ってきたかの証でもあります。先人たちが残したこれらの言葉が、皆様の暮らしや健康を考える上での小さなヒントとなれば幸いです。









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