未来を知りたい、吉凶を見極めたいという願いは、昔から人々の行動を左右してきました。
当たるも八卦、当たらぬも八卦と言いながら、それでも占いに頼らずにはいられない人間の心理が、日本語にはそのまま刻み込まれています。
占いの不確かさ、見えない運命への向き合い方、そして吉凶という概念にまつわることわざ・慣用句・四字熟語をまとめました。
占いの「不確実性」を表す言葉
- 当たるも八卦当たらぬも八卦(あたるもはっけ あたらぬもはっけ):
「八卦」は易占いで吉凶を示す八つの形のこと。
占いは当たる時も外れる時もあるのだから、一喜一憂しすぎるなという知恵を伝える言葉。 - 吉と出るか凶と出るか(きちとでるかきょうとでるか):
良い結果になるか悪い結果になるか、やってみるまで分からない状態を表す言い回し。
先行きの不安を語る時に使う。
「前兆・お告げ・運命」を表す言葉
- 吉凶禍福(きっきょうかふく):
幸いと災い、良いことと悪いこと。
占いが判断の対象とする、人の運命を形づくる相反する二つの側面をまとめて示す四字熟語。 - 吉兆(きっちょう):
これから喜ばしい出来事が起こることを暗示する、前触れとなる現象や兆しのこと。
夢の内容を占う夢占いなどでよく語られる。 - 凶兆(きょうちょう):
これから災いや不幸が起こることを暗示する、不吉な前触れとなる現象。
動物の異常な行動や、不吉な夢などが例に挙げられる。 - 虫の知らせ(むしのしらせ):
良くないことが起こりそうだと、なんとなく胸騒ぎを覚える心理。 - 神託(しんたく):
神が人間の口や夢を借りて、その意思を人々に告げること。
古代ギリシアのデルフォイのアポロン神託が知られ、エジプトやバビロニアなどでも広く行われた。 - お告げ(おつげ):
神仏が夢や霊感、人の口などを通して、その意思を人間に知らせること。 - 天命(てんめい):
古代中国の思想で、天が人に与えた使命や定めた運命のこと。
『論語』の「五十にして天命を知る」で知られる。 - 宿命論(しゅくめいろん):
この世で起こる出来事は、すべてあらかじめ運命によって定められていて、人間の意志では変えられないとする考え方。
運命論ともいう。
占いに向き合う「人間の心理・行動」を表す言葉
- 易者身の上知らず(えきしゃみのうえしらず):
他人の身の上はよく占って当てる易者でも、自分自身の将来については正しく判断できないということ。 - おみくじを引く(おみくじをひく):
神社仏閣で吉凶や運勢を占うくじを引く行為。 - 辻占(つじうら):
道の辻に立ち、通りかかった人の言葉を道の神のお告げとみなして吉凶を占うこと。
江戸時代には菓子に占い文を挟んだ辻占も流行した。 - 卜する(ぼくする):
物事の吉凶や将来を占うこと。 - 縁起を担ぐ(えんぎをかつぐ):
ちょっとしたことでも吉か凶かを気にして、良い前兆を求め、悪い前兆を避けること。
「縁起」は本来、仏教で物事が因縁によって起こることを指す言葉。 - 験を担ぐ(げんをかつぐ):
「験」はしるし・効き目の意。
物事の吉凶の前兆を気にかけ、行動や持ち物、言葉づかいにまで細かくこだわろうとする心理を表す。 - 人事を尽くして天命を待つ(じんじをつくしててんめいをまつ):
できる限りのことをしたら、あとの結果は天に任せるという心境。
南宋の歴史書『読史管見』が、大軍を破った知らせを受けた東晋の宰相・謝安の心境を描いた文に基づく。
吉兆の「兆」は甲羅のひび割れ

(写真:BabelStone、Wikimedia Commons/CC BY-SA 3.0)
「卜する」の「卜」は、古代中国で亀の甲羅や獣の骨を火で炙り、表面に走ったひび割れの形を写した字です。
古代の人々は、ひび割れの向きや形から神の意思を読み取っていました。
後漢の時代にまとめられた字書『説文解字』は、「兆」を亀を焼いてできた裂け目のことだとし、「占」を「卜」と「口」を合わせた字で、ひび割れを見て問うことだと説明しています。
吉兆・凶兆の「兆」も、「占い」の「占」も、もとをたどれば甲羅のひび割れに行き着きます。









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