意味
「温厚篤実(おんこうとくじつ)」とは、気性が穏和で情け深く、まごころがあって人を欺かない実直な人柄のことです。
単に優しいだけでなく、周囲の信頼に足る裏表のない美徳を称賛する響きを持っています。
- 温厚(おんこう):性質が穏やかで情に厚いこと。
- 篤実(とくじつ):情に厚く誠実なこと。
語源・由来
「温厚篤実」は「温厚」と「篤実」を組み合わせた四字熟語で、このうち「篤実」は古代中国の占いと哲学の書『易経』に見える言葉です。
「篤実」の出どころは、同書の「大畜(たいちく)」の彖伝にある「剛健篤実、輝光日新其徳(剛健にして篤実、輝きがあって日々その徳を新たにする)」という一節です。
内面に美徳を蓄えることを説いたこの句から、「篤実」が誠実さを表す語として使われるようになりました。
これに穏やかさを表す「温厚」が重なった「温厚篤実」の四字は、南宋の『朱子語類』などに用例が見え、日本では優れた人物を称賛する言葉として定着しています。
使い方・例文
「温厚篤実」は、信頼関係を築く上で重要な、優れた人柄を称賛する場面で使われます。
- 誰もが憧れる、温厚篤実な人物である。
- 温厚篤実な態度で、人々の心を掴む。
- 彼は昔から、温厚篤実な性格だった。
類義語・関連語
「温厚篤実」のように、穏やかで誠実な人柄を表す類義語には以下のような言葉があります。
「温厚篤実」と類義語の違い
これらの言葉はどれも穏やかな人柄を表しますが、内面的な「誠実さ」や「道徳性」の強さに明確な違いがあります。
「温厚篤実」は真心と優しさ、「温柔敦厚」は穏やかさと誠実さ、「柔和温順」はおとなしさと素直さを重視します。
対義語
「温厚篤実」とは逆に、人柄の冷たさや不誠実さを表す対義語には以下のような言葉があります。
- 冷酷無比(れいこくむひ):
思いやりが全くなく、非常に冷たいこと。 - 狡猾(こうかつ):
自分の利益のために悪知恵を働かせること。 - 軽佻浮薄(けいちょうふはく):
気分が浮ついていて、言動が軽々しく落ち着かないこと。
「温厚篤実」の温厚は天地の気にも使われた言葉
「温厚」という言葉は、もともと人間の性格だけを評価する言葉ではありませんでした。
儒教の経書『礼記』の郷飲酒義には、「天地温厚の気は、東北に始まりて東南に盛んなり」という一節があります。
天地の厳しく引き締まった気と対にして、暖かく穏やかな気を「温厚」と呼び、これを天地の仁の気としています。
















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