礼も過ぎれば無礼になる

ことわざ
礼も過ぎれば無礼になる(れいもすぎればぶれいになる)

13文字の言葉」から始まる言葉
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丁寧な態度は人間関係の基本ですが、「過ぎたるは猶(なお)及ばざるが如(ごと)し」という言葉もあります。
丁寧すぎることが、かえって相手に不快感を与えてしまうとしたら…。
『礼も過ぎれば無礼になる』とは、まさにそのバランスの難しさを指摘したことわざです。
この言葉の正確な意味や背景、どのような場面で使われるのかを、具体例とともに見ていきます。

「礼も過ぎれば無礼になる」の意味・教訓

「礼も過ぎれば無礼になる」とは、どんなに丁寧な言動や礼儀作法も、度を越してしまうと、かえって相手に対して失礼にあたる、という意味です。

相手を敬うつもりの行動が、逆に相手に「水くさい」「他人行儀だ」「何か裏があるのではないか」といった不快感や警戒心を抱かせてしまうことを戒(いまし)めています。

「礼も過ぎれば無礼になる」の語源

特定の古典や故事に由来するというよりは、古くから人々の経験則として使われてきた言葉と考えられています。
度が過ぎた丁寧さは、相手との間に壁を作ったり、かえって相手の手間を増やしたり、不信感を抱かせたりすることがあります。
こうした人間関係の機微(きび)から生まれた、日本的な教訓と言えるでしょう。

「礼も過ぎれば無礼になる」の使い方と例文

この言葉は、過度な謙遜(けんそん)、頻繁すぎるお礼や贈り物、あまりにも堅苦しい言葉遣いなど、相手が負担や違和感を覚えるほどの丁寧さに対して、忠告や自戒として使われます。ビジネスシーンでも、過剰なへりくだりが逆に不信感を与える場合などに用いられます。

例文

  • 「彼の過剰に丁寧すぎる言葉遣いは、かえって距離を感じさせてしまう。「礼も過ぎれば無礼になる」の典型だ。」
  • (上司が部下に)「あまりに謙遜し続けるのはやめたまえ。「礼も過ぎれば無礼になる」というように、かえって嫌味に聞こえるぞ。」
  • 「お世話になったお礼にと何度も高級な贈り物を送っていたら、先方から『そこまでしていただかなくても』と言われてしまった。「礼も過ぎれば無礼になる」というが、相手に気を遣わせてしまったようだ。」

類義語・関連語

  • 過ぎたるは猶及ばざるが如し(すぎたるはなおおよばざるがごとし):
    何事もやり過ぎるのは、足りないのと同じくらい良くないという教訓。
  • 慇懃無礼(いんぎんぶれい):
    表面上は非常に丁寧だが、内心では相手を見下していること。
  • 角を矯めて牛を殺す(つのをためてうしをころす):
    小さな欠点を直そうとして、かえって全体をダメにしてしまうことのたとえ。

対義語

  • 礼儀は人を作る(れいぎはひとをつくる):
    礼儀作法を身につけることで、立派な人格が形成されるということ。
  • 親しき仲にも礼儀あり(したしきなかにもれいぎあり):
    どんなに親しい間柄でも、守るべき礼儀があるということ。
  • 無礼講(ぶれいこう):
    身分や立場の上下を問わず、堅苦しい礼儀を抜きにすること。

英語での類似表現

Too much courtesy is discourtesy.

  • 直訳:「過剰な礼儀正しさは、無礼である」
  • 解説:日本語の「礼も過ぎれば無礼になる」とほぼ同じ意味で使われる、最も直接的な表現です。
  • 例文:
    He kept apologizing so much that it became awkward. Too much courtesy is discourtesy.
    (彼はあまりに謝罪し続けるので、かえって気まずくなってしまった。礼も過ぎれば無礼になる、だ。)

Excessive formality can be perceived as insincere.

  • 意味:「過度な形式(堅苦しさ)は、不誠実だと受け取られることがある」
  • 解説:度が過ぎた丁寧さが、相手に「本心ではないのでは」という疑念を抱かせるニュアンスを表現します。
  • 例文:
    In this casual setting, excessive formality can be perceived as insincere.
    (このようなカジュアルな場では、過度な堅苦しさは不誠実だと受け取られかねません。)

「礼も過ぎれば無礼になる」に関する豆知識

この言葉は、特に日本の「おもてなし」文化や、相手への配慮を重んじる文化の中で、そのバランスの難しさを示すものとしてよく引用されます。良かれと思ってした「お節介」が、相手にとっては「余計なお世話」や「無礼」になってしまうことも、このことわざが示す教訓の一つです。

まとめ – 「礼も過ぎれば無礼になる」から学ぶ知恵

「礼も過ぎれば無礼になる」は、相手を敬う「礼儀」も、度が過ぎればかえって失礼にあたるという、人間関係の繊細さを示すことわざです。
大切なのは、形式的な丁寧さではなく、相手の状況や心情を思いやり、お互いが心地よいと感じる「適度な距離感」や「中庸」を見極めることでしょう。形式に囚われすぎず、相手を本当に思う心遣いが大切ですね。

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