「指」や「爪」は、手の末端にありながら、非常に細かな動作や人間の本質的な態度を示す部位として、多くの表現に用いられています。
「指」は、非難や羨望(せんぼう)の対象を示したり、「爪」は倹約や才能、あるいは隠された本性を象徴したりします。
「指をくわえる」「爪に火をともす」「能ある鷹は爪を隠す」など、現代でも日常的に使われる表現が豊富で、指・爪にまつわる言葉は人間の態度や本質を巧みに表現しています。
ここでは、「指」や「爪」に関連する、主なことわざ・慣用句・漢語表現を紹介します。
「指・爪」に関する ことわざ
- 爪に火をともす(つめにひをともす):
ろうそくも買えないほど貧しい暮らしの中で、爪の先に火をともして明かり代わりにするという、江戸時代の極端な倹約ぶりを表す言い方。 - 能ある鷹は爪を隠す(のうあるたかはつめをかくす):
鷹が獲物に飛びかかる瞬間まで鋭い爪を隠しておく狩りの習性になぞらえ、実力ある者ほどそれを誇示しないというたとえ。 - 十指の指すところ(じっしのさすところ):
多くの人が指摘し、世間の非難の対象となるところ。大勢に指をさされるようなことは欺けないという、中国古典「礼記」の一節に由来する。
「指・爪」に関する慣用句
指に関する表現
- 指をくわえる(ゆびをくわえる):
何かを食べたそうに指をくわえる子どもの仕草になぞらえ、うらやましく思いながら手出しできず傍観する様子。 - 指一本触れさせない(ゆびいっぽんふれさせない):
相手にわずかな干渉や危害すら一切許さないという、徹底して大切に守り抜こうとする強い保護の姿勢を表す言い方。 - 指を折る(ゆびをおる):
指を一本ずつ曲げて数える動作を指し、日数を心待ちにする様子や、多くの中でも特に優れたものとして数え上げられることを表す。 - 指折り数える(ゆびおりかぞえる):
指を一本ずつ折り曲げながら日数を数える古くからの動作から、待ち遠しい気持ちで日を過ごす様子。 - 指を差す(ゆびをさす):
人差し指で相手を示す動作は古くから非難やあざけりの意味を帯び、指を差すこと自体が悪口の代名詞となった。 - 後ろ指を指される(うしろゆびをさされる):
本人の見ていない所で指を差されるように、陰でこっそり非難されたり悪く言われたりすること。中世の軍記物語にも見える言い回し。 - 指図する(さしずする):
指をさし示して人にあれこれ命令すること。自分では手を動かさず、人に働かせる態度を含んだ表現。 - 指切りげんまん(ゆびきりげんまん):
江戸時代の遊里で、誓いの証に小指を切った風習が起源とされ、後に子どもの間で約束を交わす遊びへ広まったという。
爪に関する表現
- 爪の垢を煎じて飲む(つめのあかをせんじてのむ):
優れた人の爪の垢さえ薬になるはずだという昔の発想から、その人にあやかり見習おうとする気持ちを表す言い方。 - 爪を研ぐ(つめをとぐ):
猫などが獲物を狙う前に爪を鋭く研ぎ澄ます狩りの様子になぞらえ、油断なく機会をうかがい入念に備えることを表す。 - 爪が長い(つめがながい):
動物が獲物をがっちりつかんで離さない長い爪のイメージから、欲が深くどこまでも貪欲な性質のたとえ。 - 爪痕を残す(つめあとをのこす):
強い印象や、自分の生きた証、確かな業績などを残すこと。もとは動物が引っかいてつけた傷跡を指し、そこから比喩的に広まった言い方とされる。
「指・爪」に関する漢語表現
- 屈指(くっし):
(「指を屈(かが)める」の意)多くの中でも特に優れており、指折り数えられること。「屈指の強豪」など。
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